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イタリアのボローニャ大学に所属する研究者らが発表した論文「Seals and signs: tracing the origins of writing in ancient South-west Asia」は、最初期の文字体系の一つである原楔形文字の起源について、それ以前から使用されていた円筒印章(メソポタミアで所有者などを示すために使われた印章)との関連性を示した研究報告である。
原楔形文字は紀元前3350〜3000年にかけてメソポタミアで使われた初期の記録システムで、後の楔形文字に発展する。
研究チームは、円筒印章が導入された紀元前3700年頃から原楔形文字出現までの時期に、メソポタミアを含む南西アジア一帯で使われていた円筒印章を詳しく調査した。これらの円筒印章は湿った粘土の上を転がすことで長方形の模様を残すもので、主に物資の管理や取引の記録に利用されていた。
研究チームが特に注目したのは、円筒印章に刻まれた模様の中に、後の原楔形文字と同じような記号が複数存在したことである。例えば、網をかけた容器や房飾りのついた布などを表す印章の図像は、原楔形文字の中でも似た記号として登場する。
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これらの結果は、原楔形文字の発明が突然起きたのではなく、それ以前から存在していた行政的な記録システムと密接に結びついて発展したことを示している。ただし研究は、印章と文字がその後も別個の情報システムとして併存し、それぞれ独自の発展を遂げていったことも明らかにしている。
Source and Image Credits: Kelley K, Cartolano M, Ferrara S. Seals and signs: tracing the origins of writing in ancient South-west Asia. Antiquity. Published online 2024:1-19. doi:10.15184/aqy.2024.165
※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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