球場を盛り上げ、選手とファンをつなぐチアリーダー。中でも、台湾プロ野球(CPBL)のチアリーダーは数年来、日本のファンからも熱い視線が向けられています。
台湾チアを“箱推し”するねとらぼでは多くの台湾チアにインタビューし、それぞれの魅力をお届けしています。今回お話を聞いたのは、「富邦ガーディアンズ」のチアチーム「Fubon Angels」(以下FA)の秀秀子(ショウショウズ)さん。チームもチアも情熱あふれる“熱さ”で知られる中、2024年シーズンからFAの隊長に就任し、チームをけん引。11月に開幕する野球の国際大会「世界野球プレミア12」の台湾代表チア“AMAZE”にも選ばれた秀秀子さんの魅力に迫ります。
・富邦は家族
―― 初めに、チアになられたきっかけを教えてください。
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秀秀子 小学校1年生の頃にダンスを始めて、その後もずっとダンスの専門教育を受けてきました。大学は、台湾芸術大学に進んでモダンバレーと民族舞踊を専攻しました。ダンス経験は10年以上になります。
こういった経験や、ステージに立つのが好きだったこと、あとは周りの友人がチアリーダーを勧めてくれたこともあって、チアをやってみようと応募しました。入った当初は野球の知識が全然なくて、チアをやりながら好きになっていった感じです。
―― 長年チアをやられてきたと思いますが、楽しいこと、大変なことを教えてください。
秀秀子 楽しいのは、たくさんの人と知り合えることですね。富邦のファンの皆さんとは、家族のような関係だと思っています。
チアを始めたころは、他のステージ同様あくまで1つの仕事だろうと捉えていました。それがチアをしていく中で、楽しいときも悲しいときもみんなで一緒に共有できる、富邦というチームの“心のつながり”を感じました。入団当初に思っていたより、温かくて、感動的で、大きな家族のようです。
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大変なことは、試合中負けている場面など気持ちが落ちてしまうようなときでも、私たちはファンの皆さんの先頭に立って応援を盛り上げなければならないことです。冷静さを保つため試合にのめり込みすぎてもいけないですし、ファンのような心理で一喜一憂していてもいけない。これは、時に大変ですね。
あとは、多くのファンが私たちのことを好きになって応援してくださっているのですが、中には勢い余って少し行きすぎてしまう方もいて……。トラブルが起きたり、メンバーが怖い思いをするケースもあります。うまくコミュニケーションを取りつつ、お互いが気持ちよく過ごせるようにしていきたいです。
・FAの隊長就任 秀秀子先輩と呼ばれて
―― 2024年は隊長に就任されました。隊長として過ごした2024年シーズン、これまでとの違いはどんなところでしたか?
秀秀子 Fubon Angels(以下FA)の場合、キャプテンは会社が選ぶのではなく、メンバーの投票で決めています。隊長になってからは、自分のパフォーマンスだけでなくメンバー全員に気を配らないといけなくなりました。
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2024年はメンバーが22人+練習生と大きく増え、中には3人の韓国人メンバーもいます。FAの注目度が増し、新たにファンになってくださる方もたくさんいらっしゃった年だったので、プレッシャーは大きかったです。
―― 台湾の報道を見ていると、FA後輩メンバーの「秀秀子先輩がすごくよく面倒を見てくれた」という声をよく目にします。年下のメンバーと接する上で、何か気をつけていることはありますか?
秀秀子 FAはそれぞれ違う個性・魅力を持つ子が集まっていることが特徴です。あの子は気品があって、あの子は活発、あの子はダンスがうまくて、あの子は歌が得意というような感じ。だから、まずはその子がどんな子なのか、何が強みなのか、私自身がしっかりと理解することを心がけています。
チームの空気も、あまり先輩後輩の上下関係が強い感じではないです。みんなで遊びに行ったり、後輩にプレッシャーを与えすぎない雰囲気で、各個人の良さが生かされやすい環境になっているように思います。
―― 秀秀子さんが特に応援している選手はいますか?
秀秀子 最近チームに加入した張育成選手です(編注:張育成選手は今シーズン途中のドラフトで全体1位指名を受け富邦入り、2022-23年はMLBレッドソックスでもプレー)。彼には、チームにさらなる結束と、勝利に向かう新たな雰囲気をもたらしてくれることを期待しています。
好きな選手でいうと、チアの中には大谷翔平選手が好きというメンバーがたくさんいます(笑)。「すごい選手だね」とチアの間でもよく話題になるんです。
・どこを切り取ってもかわいい秀秀子。その秘密
―― 球場で見ていると、秀秀子さんはファンのカメラを見つけるのがうまく、カメラへのウインクやポーズもとても上手なイメージがあります。ああした技術はどうやって身につけたのですか?
秀秀子 まず、アイコンタクトは非常に重要だと思っています。あるとき、きちんとアイコンタクトすることですごくポジティブな印象を与えられることに気づき、それ以来ファンの方々の目を見ることを恐れなくなりました。
チアに入った当初は、笑顔や身体の動きも今よりずっとぎこちなかったです。家に帰って自分の写真や動画を見たり、上手な先輩の動きを参考にしたり、ずっと練習を重ねてきたことで、今では自然にウインクなどができるようになりました。
―― 2024年は、イベント「わくわく日本祭」で、日本ハムファイターズのファイターズガールが来台したり、韓国のKIA Tigersのチアとの交流があったりと、海外との関わりが多い1年でしたね。
秀秀子 そうですね。台日韓3カ国での交流をしていく中で、それぞれの衣装はもちろん、応援動作も国によって大きな違いがあると感じるようになりました。お互いに学習できる機会があるのは、良い意味での文化の衝突になっていると思います。
実際、韓国に行った際にも、チアの動きの多くを台湾での応援に活用できると感じました。私たち台湾のチアリーダーの応援スタイルは、もともと韓国を参考にした部分が大きいですからね。日本のチアリーダーの躍動感や動きの大きさも学んで取り入れる価値のあるものだと思います。今後も海外の良いと思ったところを、チームに持ち帰って、さらに進歩させていきたいです。
―― 今シーズンから加入した韓国チア3人から受けた刺激は大きかったですか?
秀秀子 正直なところ、どんな子が来るのか分かっていなかったので、どう仲良くしていくか、言葉が通じない中でどうコミュニケーションを取っていくか、(韓国の3人がずっと台湾にいられるわけではない中で)どう練習を進めるかなど心配もありました。
ただ、実際に加わってからは、チームにしっかり溶け込んでくれました。メイクの仕方を教えあったり、お互いのここが良いねという話をしたり、さまざまな形で交流しています。
刺激という点では、彼女たちを見て、どう自分を見せていくか、セルフプロモーションの大切さを改めて感じます。近年は彼女たち3人だけでなく、海外から多くのチアが台湾に来ています。そんな中、自分のカラーをしっかり出し、他の人に見てもらうことがより重要になったと私は感じています。私たちのチームの新人たちも、韓国から来た3人を見て、どうすれば自分がもっと目立てるか考えるようになったんじゃないかと。すごく良い刺激です。
・『ハイキュー!!』にどハマり秀秀子さん
―― ところで、秀秀子さんは日本の漫画がすごく好きだとお聞きしたのですが、特にお気に入りの作品はありますか?
秀秀子 元々は『HUNTER×HUNTER』がすごく好きで。その後は『ハイキュー!!』にどハマりしました(笑)。『ハイキュー!!』好きが高じて、大学でバレーの授業を取ったほどです。
―― HUNTER×HUNTER! 日本では約1年9カ月ぶりに『HUNTER×HUNTER』の連載が再開されましたよ。ちなみに、日本には何度か行かれていると思いますが、特に印象的な食べ物はありましたか?
秀秀子 (日本語で)「ラーメンがおいしい、あとすき焼きが大好き!」
―― 場所ではどこか印象に残っているところはありますか?
秀秀子 白川郷が特に好きで、過去に数度行きました。静かな空気感が心地よくて。高山の朝の市場を巡ったりもしました。現地の人たちと同じような生活感を味わうのも好きです。
―― 日本でも年々FAの人気が高まり、新荘棒球場(新荘野球場)にFAを見に来るファンも増えています。日本のファンが新荘棒球場に来た際にオススメのグルメはありますか?
秀秀子 球場の正面に、FAのメンバーでもある蓁蓁が経営するフライドチキン屋さん「炸?大獅 新莊棒球場店」があります。球場からすぐ近く、日本人にも食べやすい味で、値段もリーズナブル。オススメです。
―― 将来の目標はありますか?
秀秀子 テレビやYouTubeの番組に出演させていただくことがあるのですが、もっとおしゃべりを磨いて、将来は他のメンバーと自分たちのYouTubeチャンネルを開きたいと思っています。良い司会者になりたいです。
―― 最後にこれを読んでいる日本のファンにメッセージをお願いします。
秀秀子 日本のファンの皆さんからプレゼントやお手紙をいただく機会が多くて、いつも本当に感謝しています。2023年、2024年と日本での交流試合やイベントにチームを代表して参加させてもらいましたが、中国語や日本語で手紙を書いてくれたり、空港に出迎えに来てくれたり、皆さんの気持ちが本当にうれしかったです。
普段は遠く離れていますが、私をこんなに好きでいてくれることに感動しました。また、わざわざ海を渡って、私に会いに新荘に来てくれるファンの皆さん、ありがとうございます! また、日本に行きたいですし、次は皆さんの故郷にも遊びに行ってみたいです!
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