“ヤンキー特化型”ドンキが大阪に上陸 ボンタン完売の店内はドキドキか、ギラギラか

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2024年11月12日 06:21  ITmedia ビジネスオンライン

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南大阪に「ギラギラドンキ」が登場、店内の様子は?

 ドン・キホーテには「〇〇ドンキ」という名称の店がたくさんある。コスメドンキ、お菓子ドンキ、お酒ドンキなど。


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 例えば、コスメドンキ。ネーミングの通り、女性をターゲットにしていて、店内にはSNSで話題になっているモノや韓国コスメなどがズラリと並んでいる。ターゲットを絞りに絞った、いわゆる専門店が増えているわけだが、個人的に気になっている店がある。4月2日に誕生した「ギラギラドンキ」だ。


 「ドンキらしい店だなあ。行ったことも聞いたこともないけれど、店の雰囲気はだいたい想像できるよね」などと思われたかもしれないが、実はギラギラドンキは店名ではない。南大阪の貝塚市にあるので、正式名は「ドン・キホーテ貝塚店」である。


 ギラギラドンキは店のコンセプトであって、店内は「ひと昔前のドンキっぽさ」を重視している。ひと昔前のドンキといえば、やんちゃな若者が多く、夜中に店の前でワイワイしている姿をよく見かけた。駐車場にも改造車がたくさん停まっていることがあったが、今のドンキは違う。改造車が爆音をあげることはほぼなくなり、やんちゃな若者がたむろする店ではなくなりつつあるのだ。


 時代の流れとともに“マイルドドンキ”が増えているわけだが、ギラギラドンキはどういった人をターゲットにしているのか。夜中に店にやって来て、駐車場でわいわいする。そんなかつてのやんちゃな若者をターゲットにしているのだ。


 店内の特徴は、いたるところでギラギラを感じられることである。天井にはミラーボールが回っていて、ショーケースには金のネックレスが並んでいたり、派手なデザインのスカジャンがあったり、ヘビ革の財布を扱っていたり(現在は販売していない)。夜になると巨大な公式キャラクター「ドンペン」が照らされていて、とにかく「派手」なのだ。


 かつてのドンキといえば、店の通路をあえて狭くして、足下から高いところまで商品を埋め尽くす、いわゆる“圧縮陳列”を導入しているところが多かったが、この店ではどうか。もちろん、圧縮陳列である。


●やんちゃな人をターゲット


 昭和のバブル期の記憶がよみがえるというか、隣の岸和田市で行われる「だんじり祭」の活気が伝わってくるというか。やんちゃな人にとっては「こんな店、待ってたで〜」と感じられたかもしれないが、そうではない人にとっては店内に入るだけでも、ちょっとした勇気が必要かもしれない。


 それにしても、なぜドンキはこのような店をオープンしたのか。店舗開発を担当した鋤谷晃一さんに聞いたところ、当初は「昭和レトロ」を感じられる店をつくりたいと思っていたそうだ。しかし、会議の席で、大阪のことをよく知らない人からこのように言われた。「南大阪はやんちゃな人が多いのでしょ。であれば、そうした人をターゲットにした店にしてはどうか?」と。


 もちろん、そんな人ばかりではないが、その言葉をヒントに1980年代を感じられる店づくりを始めた。「ふむふむ、なるほど。ということは、ドンキが80年代に販売していた商品がたくさん並んでいるのね」と思われたかもしれないが、実はそうではない。なぜならドンキの1号店が誕生したのは、1989年3月だから。ほぼ90年代である。


 いや、仮にドンキの1号店が1970年に登場しても、80年代に流行っていた商品を販売するのは難しいはず。40年ほど前の話になるので、すでに生産を中止していたり、中古品はプレミアが付いていて高額になっていたり。こうした事情があるので「パッと見て、なんだか懐かしいなあ。昔、流行っていたよねえ」と感じられるモノを販売することにした。


 店のコンセプトが定まった。ターゲット客も固まった。どんなモノを売るのかも決まった。では、どのような商品が売れているのか。大きくわけると4つあって、1つめは「コスメ」である。中でもカラコンが人気のようだ。数年ほど前からドンキでは、コスメに注力していて売り上げが伸びているが、ギラギラドンキでは他店と比べても好調のようだ。


 2つめは「金のネックレス」。カットの断面が2カ所ある「2面タイプ」よりも、上下に2面、左右に4面カットを施している「6面タイプ」のほうがよく売れている。2面よりも6面のほうが高額になるが、カット面が多くギラギラしていることがウケているようだ。


●ボンタンは完売


 3つめは「アパレル」。中でもスカジャンや平成ギャルがよく着ていた服が人気である。他のドンキではあまり扱わなくなったことから、10〜20代は目新しさを、30〜40代は懐かしさを、それぞれ感じて購入しているケースが目立つという。


 4つめは「高額カプセルトイ」。価格は1回1000円または3000円に設定しているが、関西エリアのドンキの中でもトップクラスの売り上げだそうだ。当初、高額カプセルトイは設置していなかったが、くじ引きが好調だったことを受け、急きょ導入に踏み切った。「さらに高額なカプセルトイが人気を集めるかもしれない」(貝塚店の栗本響店長)とにらんでいて、現在はその準備に追われている。


 オープン当初は扱っていたものの、現在は販売していない人気商品もある。例えば「ボンタン」。80年代に流行っていたズボンで、特徴はワタリが太く、スソ幅が細いこと。昭和のヤンキーが学生服のボンタンをよく履いていたが、そのカタチをしたジャージを販売していた。


 全国のドンキでボンタンを扱っていたのはギラギラドンキだけだったので、問い合わせが殺到して、数日で完売。「であれば、もっと売ればいいのに」と思われたかもしれないが、製造しているメーカーが少ないようで、追加販売はなかなか難しいようだ。


 さて、ギラギラドンキの売り上げはどうなっているのか。「具体的な数字は公表していません」(広報)ということだが、計画を上回るペースで推移しているという。ターゲットの狙いは的中したことになるが、その一方で課題もある。


 1つは「カー用品」。店は国道沿いにあるので、オープン前は「カー用品が売れるだろう」と予測していた。他店と比べてもたくさん扱っていたものの、想定を下回る結果に。


 もう1つは「家族連れ」。1人よりもたくさんの人がやって来るので「よいのでは?」と感じるが、悩ましい問題も。繰り返しになるが、ギラギラドンキのターゲットはやんちゃな若者なので、家族連れを想定していなかった。そうした背景があるので、子どもがほしくなるオモチャなどを販売していなかった。売れるチャンスがあったのに売るモノがない――。機会損失があったことを反省しているようだ。


●「ギラギラドンキ」次の出店場所


 オープンから6カ月がたったこともあって、何が売れるのか、何がなかなか売れないのかが見えてきたようである。ドンキの売場面積は1000坪ほどのところが多いが、ギラギラドンキは400坪ほど。他店と比べて狭いので、どの商品を売るのか、どの商品を売らないのか、といった判断は店の業績を大きく左右する。


 売上高の構成比を見ると、他店は食品が4割ほど占めているが、ギラギラドンキでは3割ほど。一方、アパレルと化粧品は他店が2割ほどに対し、ギラギラドンキでは3割ほど。こうしたデータが出たので、今後はよりアパレルと化粧品にチカラを入れていくそうだ。


 ギラギラドンキがまずまずの結果を出した……となれば、気になるのは「次の店舗」である。鋤谷さんは「まだ何も決まっていない」というが、気になることがひとつある。鋤谷さんはこの9月まで南関西エリアの支社長を務めていたが、現在は「北九州」の支社長である。


 となると、この質問は欠かせない。「2号店は、北九州でしょ?」と指摘したものの、これをきっぱりと否定。ギラギラドンキの仕掛け人は、どこでやんちゃな若者のハートをつかもうとしているのか。気になるところである。


(土肥義則)



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