アニメーターのスキルの土台となる「動画」の技術や知識を測る「アニメータースキル検定(アニ検)」が11月9日、東京や大阪など全国の6会場で行われました。16歳から61歳までの計およそ350人が、基礎的な「原画トレス」「目パチ・口パク」の検定に挑戦。関係者は今後の展開にも意欲を見せています。
【写真】まるでアニメーターの仕事現場みたいな雰囲気の検定会場
一般社団法人「日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)」が、アニメ文化の重要な担い手であるアニメーターの育成と裾野を広げることを目指し、初めて企画。9月には検定用の公式教科書を発売し、現役のアニメーターや志望者、アニメファンから大きな反響が寄せられました。
大阪会場となった大阪デザイナー・アカデミー(大阪市北区)では、約80人が受検。会場にはなんと、「ポケットモンスター」シリーズの原画、作画監督としても知られる59歳のベテランアニメーター、岩根雅明さんの姿もありました。
時間いっぱいかけて2セット描き、出来の良い方を提出したという岩根さんは「アニメーターには明確な『資格』がないので、仲間内ではずっと前から『こういう仕組みがあればいいよね』という妄想話はしていた。このアニ検がこれから上手くいってほしい、と応援する意味も込めて受検することにした」と話し、「周りの若い人たちに『あのじじいは誰や』と思われながら、虫メガネを駆使して頑張りました」と笑みを浮かべました。
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日本のアニメ業界は現在、制作本数が激増しており、人材不足が深刻化。多忙を極める現場では、ベテランから若手への技術や知識の継承もままならない状態だといいます。こうした現状に強い危機感を持つアニメーターの西位輝実さんは、検定の応援で大阪へ。「とにかくアニメーターの間口を広げるのが第一。今回は初めてなのでほぼ手探り状態でしたが、次からは会場をもっと増やすなどして、受検しやすい環境を整えていきたい」と話していました。
(まいどなニュース・黒川 裕生)