「スリムだったら不倫しなかった」「すげえ肉だ」夫の一言で過激ダイエットした妻たちの失敗談

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2024年11月12日 22:11  All About

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世の女性というものはいつも美しくありたいと願うものなのだ。だから夫の何気ない一言で激しいダイエットを行い、体調を崩すということは、よくあるケースだ。たとえ妻だとしても、外見をあれこれと批判することは、謹んだほうがいい。
ダイエットは、いつの時代も女性たちの話題の的だ。いくつになっても体型は気になる。できればかっこよくいたい。そう思うのも当然だろう。

夫の一言でダイエットを決意

「ママ友のアヤノさんは、夫の一言でダイエットを決意したんだそうです。短期間で10キロ痩せたけど、その後がなんだかつらそうで……」

心配そうにそう話してくれたのはトモミさん(47歳)だ。アヤノさんは、子どもが小学生だったころからつきあっている友人だという。

「彼女の夫、不倫していたらしいんです。責めるアヤノさんに、夫は『きみが若いころみたいにスリムだったら浮気なんかしなかった』と言ったんですって。ひどいですよね。彼女の夫だって髪が薄くなってる。年をとるのはお互いさまじゃないですか。

でもアヤノさんは夫の気持ちを取り戻したいとダイエットに励んだんです。無理しないほうがいいよと言ったんですけど……」

1カ月半で10キロ減量し、アヤノさんは夫から謝罪されたという。痩せたから洋服のサイズもダウンしたし、何でも着られてうれしいと言っていたのだが、どうもその後、体調不良に陥っているらしい。

「疲れやすくなって息も上がりがちなんですって。メイクが濃くなったなと思っていたんですが、顔色が悪いかららしい。早く病院に行って診てもらったほうがいいと説得しているところです。

そういう事態を招いていることを夫に言ったほうがいいと言いました。でも彼女、とにかく夫の気持ちをもう一度自分に向けたい一心だったんでしょうね。そう考えると、なんだかせつなくなります」

夫に尽くしてきた専業主婦のつらさ

専業主婦で、子どもと夫に尽くしてにきたアヤノさんは、もともと「夫を頼りに生きてきたところがある」とトモミさんは言う。でもそれがアヤノさんの幸福の形だったから、友人としてはそういう生き方もあると思うしかなかった。

「だけど人間だから、夫だって間違いもおかすし裏切ることもある。私だったらそんな夫、さっさと捨てちゃえと思いますけど、彼女はそうはならなかった。

夫を責めたけど、逆に妻に非があるから浮気したんだと言われて、そのまま受け入れてダイエットしてしまう。そういう思考回路が私にはわからなかった。でもそれが彼女なんですよね」

今はとにかく、病院に行くことを勧めることしかできないとトモミさんは悲しそうに言った。

ダイエット成功の万能感

「私も実はダイエットで体を壊したことがあります」

ユキさん(43歳)は苦笑しながらそう言った。それは3年前のこと、やはり夫の一言がグサッときたからだった。

「久々にいいムードになって、夫に抱き寄せられたとき、『すげえ肉だな』と夫がお腹をつまんだんですよ。これがかなりグサッときまして。その場は拒否しました。夫は『冗談だよ』と言ったけど、妙な緊張感が流れた瞬間でした。そのとき決意したんですよ、ダイエットして夫を見返してやろうと。悔しかったんです」

不用意な夫の一言で、ユキさんの心に火がついてしまった。摂取カロリーが消費カロリーを下回れば太らないはずと思い、彼女は食事を極端に減らした。栄養ドリンクなどに頼り、食べるのはほんの少しの野菜と魚、鶏肉だけだった。炭水化物は一切摂らない。めったにしなかった運動も激しく行った。

「3週間で8キロくらい痩せました。お腹の肉はつまめなくなっていたので、夫に自慢したんです。夫は目を丸くして『悪かったよ。肉がつまめても問題ないよ。それよりむしろそんな短期間で痩せたのが怖い』って。なんだよと思いましたが、せっかくダイエットしたんだし、これからも続けていこうと思っていたんです」

ところがその2週間後、彼女は極度の貧血で倒れてしまった。あげく搬送された病院で「栄養不良」と診断される。

「入院することになり、病院の天井を見ながら、私、何をやってるんだろうと思いました。まだ小学生の息子と娘に心配をかけてまで、意地になってダイエットしたのはなぜなのか、自分でもわからなかった。ただ、やればできる、私を舐めるなと夫に思わせたかったのかもしれない……」

痩せたらもっと、すてきな女性に

ダイエットの甘い誘惑、というものがあるのかもしれない。痩せれば人生が変わるのではないか、痩せたらもっとすてきな女性になれるのではないか……。若くないからこそ、そう思いこんでしまうのは誰もが理解できるだろうが、実際に短期間で痩せるのは健康上、よろしくない。

「その後も、ちょっと摂食障害になりかけた時期がありました。食べるのが悪みたいに思えて。でも夫が心から謝ってくれたこと、子どもたちが『太っていても痩せていても関係ない。ママはママ』と言ってくれたことで、今は普通に食べられるようになっています。

そういえば高校生のころも一時期、食べないダイエットをやって心身ともに不調になったことがあるんですよね。それを思い出して、今後は気をつけようと思っています」

ダイエットで心身をすり減らしたら意味がない。「若いときと違って、見え方より健康であるかどうかが重要だと、やっと思えるようになりました」。

ユキさんはツヤのある肌を輝かせながらそう言った。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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