Q. ランチは控えめがいいと言われました。ごはんの量で眠気は変わりますか?
Q. 「ランチは控えめにするべきですか? いつもお昼のライスは『大盛り』や『おかわり』をするのですが、午後の仕事で眠くならないように、おかわりはやめた方がいいと同僚に注意されました。食べた後は少しは眠くなるものだと思いますが、ごはんの量がちょっと多いくらいで、眠気の強さは変わるものなのでしょうか?」A. 個人差はありますが「腹八分目」に。食べる速さも重要です
食べる量には個人差がありますので、一概に「大盛りはやめるべき」「おかわりはしない方がよい」とは言えません。しかし午後の仕事への影響を考えるなら、ランチは満腹になるまで食べるのは控え、「腹八分目」にしておいた方がいいでしょう。午前中に頑張って仕事を進めて、おなかが空いていれば、お昼の休憩はしっかり取って「がっつり食べたい!」と思うものです。しかし、炭水化物(糖分)を摂取すると、消化・吸収されて、血糖値(血中グルコース濃度)が上がります。
グルコース濃度の上昇に伴って、脳の「睡眠中枢」にある神経細胞が活性化され、「覚醒中枢」にブレーキをかけてしまいます。これが食後に「眠気」が起こるしくみです。
満腹になるほど食べすぎると、腹八分目のとき以上に、血糖値は上がります。血糖値が上がりすぎると眠気が強くなるため、脳の活動が低下するのは避けられません。午後の仕事のことを考えるなら、食後の血糖値上昇は、最低限のレベルにとどめておくのがよいでしょう。
また、食べる量だけでなく、実は「食べる速さ」も重要です。同じ量を食べた場合でも、食べる速さによって血糖値の上昇の仕方が変わります。特に「ランチ」の場合は、お昼休みの限られた時間内に食べなくてはならないため、つい「早食い」になりがちです。
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阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))