「俺をあおっただろ!」スマホで撮影しながら怒鳴る軽自動車の運転手。警察を呼んだ結果…

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2024年11月15日 09:31  日刊SPA!

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※写真はイメージです
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険は今年、『2024年あおり運転実態調査』を実施。あおり運転をされたことがあるドライバーは72.5%であった。昨年の53.5%よりも大幅に上昇し、この半年間でも24.1%と多くのドライバーがあおり運転に遭遇していることがわかった。

 今回は、あおり運転に恐怖しながら、“救世主”に助けられた2人のエピソードを紹介する。

◆いつの間にかあおり運転のターゲットに…

 松本伸二さん(仮名・40代)は、今ほど“あおり運転”という言葉が認識されていなかった時代の体験を話してくれた。

「仕事帰りの夜21時頃、いつも通り自宅に向かっていたのですが、道が空いている中、脇道から古い軽自動車が合流してこようとしていました。しかし、特に気にすることなく走っていたんです」

 松本さんはその軽自動車を横目に通り過ぎたのだが、その後、驚くべき展開が待っていた。

「軽自動車が私の車の後ろにピタリとついてきて、どんどん車間距離を詰めてくるのがバックミラー越しに分かりました」

 ちょっとイラっとしながらも、松本さんはそのまま走り続けていた。しかし、次の瞬間、軽自動車は蛇行運転をはじめたそうだ。

「明らかに私だけをターゲットにした“あおり運転”です。周りに他の車もなく、少し怖さも感じましたが、疲れていたので“言い争っても無駄だ”と思い無視をしていました」

 その間も執拗にあおり続ける軽自動車。さらに、次の信号で前方に停車している2台のバイクを見つけた。

◆予期せぬ“助け”に感謝

 「もし、バイクにも絡まれたらどうしよう」と不安に思いつつ、松本さんは警察に通報しようと考えていた。しかし……。

「2台のバイクは、私が“あおられている様子”を途中から見ていたらしく、信号待ちの際に、手で『先にいけ』と合図をしてくれたんです。私はその合図に従って、バイクの間を通り抜けて進みました」

 すると、バイクの2人組は軽自動車の前に立ちふさがり、運転席の窓ガラスを叩いた。そして、「いい加減にしろよ!」という怒鳴り声が、松本さんにも聞こえてきたという。

 信号が変わると、軽自動車は慌ててUターンをして逃げていったのだとか。

 その後、松本さんは無事に帰宅し、「あの恐怖から解放されてホッとした」と振り返る。

「驚いたのは、私を助けてくれた人が見た目はヤンチャそうなバイクの2人組だったことです。彼らがいなければどうなっていたのか分かりません。助けてくれたことに感謝しています」

 松本さんは、“あおり運転”を体験したことで、見た目の印象で人を判断してはいけないと痛感したという。

◆スマートフォンを向けながら叫んでくる運転手

 仕事帰りにあおり運転に遭遇した田中直人さん(仮名・30代)。

「ある日、蛇行運転や急停止を繰り返す軽自動車を見かけました。明らかに不審な運転だったので、注意深く走っていたんです」

 そして、ガソリンスタンドの前に差しかかったとき、軽自動車が急停止した。田中さんは怖くなり、対向車線に車が来ないことを確認し、軽自動車を避けるようにガソリンスタンドに入ったという。そして、セルフの給油をしようとした瞬間……。

「軽自動車が私の後ろにとまって、運転手が降りてきました。そして、いきなり怒声を浴びせました」

“おい、お前! ハイビームで俺をあおっただろ!”

 運転手はスマートフォンを田中さんに向けながら、叫んだようだ。

「これ以上因縁をつけるなら警察を呼びます」

「実際、ヘッドライトを点けていましたが、ロービームで走っていて、他の運転手に迷惑がかからないように配慮していました。その旨を説明して謝罪したんですが、相手は全く納得せず、さらに怒りが増した様子で……。スマホをもう1台取り出して撮影をし始めました」

 事態が収拾できないと悟った田中さんは、ガソリンスタンドのカウンターに駆け込み、店員に事情を説明したという。

「店員さんは、『できるだけ揉めごとに関わりたくない』と言っていましたが、助けを求めました」

 そして、店員は運転手に「これ以上因縁をつけるなら警察を呼びます」と警告したそうだ。

◆警察官からの言葉にホッとした

 しかし、相手の怒りは依然として収まらず、スマートフォンを田中さんに向けたまま叫び続けたという。

 そこで田中さんは、店員と協議をして警察に通報することに決めた。通報から15分後、警察官が到着する。

「2人の警察官は相手に聞き取りを行い、強い口調で『スマホをしまってください。もし事実なら、脅迫罪が適用される可能性があります』と伝えました。それを聞いた相手は、すぐにスマホをしまい、車に乗って黙って立ち去っていきました」

 田中さんは警察に感謝をしながら、すぐに解放されたという。去り際には、警察官の1人から、「災難でしたが、あなたが冷静に対処し、すぐに警察を呼んだのは非常に賢明な判断でした」と言われ、心からホッとしたと話す。田中さんはその言葉を聞いて、晴れやかな気持ちになれたそうだ。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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