ホンダのエース不在のなか新型プジョーが2勝目。王者バカンが初の連覇を達成/TCR豪州最終戦

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2024年11月16日 07:20  AUTOSPORT web

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レース2ではジョーダン・コックス(プジョー308 TCR/シェフラーGRM)が2代目『プジョー308 P51 TCR』での2勝目を獲得
 今季限りでその役目を終えることがアナウンスされている『The Bathurst International(バサースト・インターナショナル)』での最終戦を迎えたTCRオーストラリア・シリーズ第7戦は、新型モデル増殖のニュースや前戦で発生したアクシデントの余波が残るなか、レース2ではジョーダン・コックス(プジョー308 TCR/シェフラーGRM)が2代目『プジョー308 P51 TCR』での2勝目を獲得。

 そしてザック・スーター(アウディRS3 LMS 2/タフリフト・レーシング)の挑戦を退けた王者ジョシュ・バカン(ヒョンデ・エラントラN TCR/HMOカスタマー・レーシング)が連覇を決め、シリーズ初となる2度目の王座に輝いている。

 各カテゴリーを集積し、TCRを筆頭に国際的なドライバーを呼び込む目的で始まった『The Bathurst International』は、この11月8〜10日に“聖地”マウントパノラマで開催されたシーズン最終戦を持って、わずか3年の歴史で幕を閉じることとなった。

 しかしそのレースウイークには数多くの話題がもたらされ、ニュージーランドのフォーミュラ・フォード王者である18歳のブレイク・ノウルズ(アウディRS3 LMS 2/99モータースポーツ)が「僕自身、TCRオーストラリアをずっと追い掛けてきたし、最終的には2025年に本格的にチャンピオンシップへ挑戦したい」と語り、今回TCR初参戦を果たすことに。

 さらにフランス本国のプジョースポールと開発委託契約を結び「世界初の豪州製TCRモデル」となる2代目『プジョー308 P51 TCR』を手掛けた古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)は、計画どおり前戦の2台に続いてアーロン・キャメロンとライアン・カシャ(プジョー308 TCR/チーム・バルボリンGRM)に対しても2台の新造モデルを用意。これで来季以降は世界中のチームやドライバーに新型車両を供給する責任を負うGRMが、まずは自陣営のラインアップを刷新することとなった。

 その一方で、前戦シドニーのレース2で発生したスーターを起因とする多重アクシデントにより、アウディとともに車両大破を喫していた元王者トニー・ダルベルト(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ホンダ・レーシング・チーム・ウォール)は、修復車両のチーム内共有も含め最終戦からの撤退を表明した。

「シドニー・モータースポーツパークで車両が損傷したため、残念ながら2024年のシーズンは早期に終了した」との声明をリリースしたダルベルト。

「過去5年間のTCRオーストラリア・シリーズでの成果を非常に誇りに思っており、ウォール・レーシングとホンダ・オーストラリアの継続的なサポートに感謝したい。バサーストでの次の週末に向け、各チームとドライバーの皆さんの幸運を祈っている」

■トラブルに巻き込まれなかったバカンが王座獲得
 これで修復後のダルベルト車は僚友ウィル・ハリス(FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)が引き継ぐこととなり、予選ではポールポジション争いに絡んでのフロントロウ2番手を獲得してみせる。

 そのシビックを上回ったのは、同じく前戦のクラッシュでタイトル獲得の望みに大きな打撃を被ったスーターのアウディで、ディフェンディングチャンピオンのバカンに挑むべくヒョンデを2列目3番手に追いやり、自身初のポールシッターに輝いた。

 迎えた土曜レース1は、スタートでアウディに仕掛けたハリスのホンダが行き場を失い、コースオフで早々にポジションを落とすと、レースリーダーの座を狙ったバカンも名所“フォレスト・エルボー”でスライドを抑え切れず、背後のディラン・オキーフ(リンク&コー03 TCR/アシュリー・シュワード・モータースポーツ)に先行を許す。

 これで先頭集団の順位は決し、起死回生のポール・トゥ・ウインを飾ったスーターは3位に甘んじたバカンに対し28ポイントにまで差を縮めて日曜を迎えることに。するとここでまず主役に躍り出たのは“伏兵”と言っていい新人ノウルズで、初参戦のアウディでレース2に向けたポールポジションを射止める大仕事を成し遂げる。

 しかし18歳の夢はスタート早々に打ち砕かれ、ブラッド・ハリス(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/エクスクルーシブ・スイッチボード・ウォール・レーシング)とライアン・カシャのプジョーが接触し、その巻き添えとなったノウルズはリードを失ってしまう。

 これで主導権を得たのが2列目と3列目から先頭に躍り出たプジョーのコックスとベン・バルグワナ(プジョー308 TCR/ハンチャ・レーシング)で、後者こそ4周目に新型プジョーの油圧警告アラームが鳴ったためクルマを停めることになったが、コックスはデビューウインに続いて新型へ2勝目をプレゼントすることに。

 一方のタイトル戦線は、王者バカンがスーターを抑えて6位でチェッカーを受け、これで今季最終ヒートを前に両者の差は29ポイント差へと拡がった。ここでポール発進を切ったアウディは一時リードを保ったものの、背後のリンク&コーが決定的な動きを見せ、難所“グリフィンズ・ベンド”へ向かう途中でサイド・バイ・サイドに持ち込まれ、アウディを壁に張り付かせる事態は避けられたものの、これで結果的に順位を落としてしまう。

 この時点からリードして勝利を確保したオキーフに対し、トム・オリファント(ヒョンデi30 N TCR/HMOカスタマー・レーシング)に次ぐ3位表彰台スポットまでファステストを記録しながらカムバックしたスーターだったが、タイトル獲得には届かず。トラブルに巻き込まれることなくヒョンデ・エラントラN TCRを6位でフィニッシュに導いたバカンが18ポイント差で王座を獲得し、TCRオーストラリアで初の複数回チャンピオン獲得者としてシリーズ連覇を成し遂げた。

 またこれは、所属先のヒョンデ系トップカスタマーのHMOカスタマー・レーシングにとっても、創設初年度から5シーズンで3度目のタイトル獲得を意味している。

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