11月6日、警視庁は東京都府中市に住む市議会議員の秋田隆一(りゅういち)容疑者(27)を不同意わいせつの疑いで逮捕した。
秋田容疑者は8月4日から翌5日の未明にかけて、自宅マンションで20代男性に睡眠作用がある薬物を混入した飲食物を摂取させ、わいせつな行為をしたという。
政治家の“師匠”は記者の連絡を無視
「8月3日から4日は『府中市商工まつり』というイベントが開催されており、秋田容疑者も参加。そこで知り合った男性を含めた複数人で打ち上げを行い、その後に2人きりで2次会に行ったようです。その際に男性の飲み物に睡眠薬を盛ったと見られています」(全国紙社会部記者、以下同)
2次会の席で男性は意識を失った。目が覚めると秋田容疑者のマンションにいる。秋田容疑者から下半身を触られていることに気づくと、たまらず「やめてくれ!」と訴えたが、秋田容疑者はやめなかった。
「被害者男性は知人に助けを求めて迎えに来てもらい、性被害を打ち明けました。午前4時半ごろ、警視庁府中署に通報。男性の体内からは睡眠作用のある薬物が検出されました」
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警察の取り調べに対して、秋田容疑者は「間違いありません」と、容疑を認めている。
秋田容疑者は愛知県豊川市の出身。同県豊橋市の県立高校を卒業後、明治大学法学部に進学。チアリーディング部で活躍した。
大学卒業後は、府中市で活動する東京都議の小山くにひこ氏が設立した政治塾に1期生として入塾。同時にデジタル関連の会社を設立して、経営していたという。
2023年4月、府中市議会選挙に初出馬して当選。最年少の市議となった。それから1年半あまりで、今回の逮捕劇。いったい、何があったのか――。
秋田容疑者にとって政治家の“師匠”にあたる小山都議の事務所を訪ねた。が、小山都議は不在。事務員がスケジュールを確認するが、
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「今夜も明日も公務が詰まっていて、予定がいっぱいです」
とのこと。そこで、小山都議に電話をしてもらうように頼んだが、
「先生には伝えますが、電話するかどうかはわかりません」
という。そこで、翌日も小山都議の事務所に電話をしたが、とうとう折り返しの連絡はなかった。
事件現場となった秋田容疑者の自宅マンションは、府中市にある2DKの部屋で、月の家賃は14万円ほど。およそ2年前から単身で居住。
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自宅近くの商店街には女性ファンも
自宅兼事務所のようで、同じマンションの住民は、
「通路やエレベーターで会えば、会釈をする程度でした」
と話す。近くにある商店街でも評判を聞いてみた。
「いつもニコニコして、明るくて、愛想もよかったです。きちんと挨拶するし、好感の持てる青年でしたよ。商店街やマンションの自治会のお祭りには準備段階から参加して、みんなと一緒に汗を流していました。お祭り本番には神輿も担いでね。都議の小山さんの“一番弟子”で、地縁のない府中市に馴染もうと一生懸命でしたよ」(商店街の男性店主)
この商店街界隈では“ファン”もいたという。
「だって若いイケメンで、人柄もよかったですから、応援している女性は多かったですよ。だから、こんな事件を起こしちゃってショック! きっと魔が差したとかではなく、準備していた睡眠薬を使った計画犯でしょうね」(商店街の女性店主)
ともに府中市のために政治活動をしていたある市議の1人は、政治家として有望だったと惜しむ。
「所属していた委員会では、ハッキリとした発言をしていました。若いのにすごいなと思っていましたよ。デジタルという得意分野もあって、将来も期待していたのですが」
別の市議も、意見をズバズバいう秋田容疑者の姿勢は頼もしかったという。
「ほかの市議は、慣れてくると市役所におもねる意見を言うようになるのですが、彼の場合は言うべきことはきちんと言うという姿勢があって素晴らしかった」
2024年の夏、府中市議の視察団が秋田容疑者の地元・愛知県豊川市を訪れたことがあった。
「訪問先の裏手に彼のおばあちゃんの家があってね。彼が行くと、おばあちゃんが庭先に出てきて、日傘を彼にさしてあげたまま、長い時間、話し込んでいて。その様子を見て、ああ、こうやって可愛がられて育てられたんだなって思いました」(別の市議)
家族から大事にされ、政治家としての資質も十分だったであろう秋田容疑者が、どうしてこんな事件を起こしてしまったのか。
「プレッシャーやストレスは常にあったと思います。優等生に見られて、市民の期待に応えようとして、いつも気が張っていた印象があります。そこにお酒が入った勢いで、爆発しちゃったのか。真面目すぎて、周りに悩みを言えなかったのかも……」(容疑者の自宅近くに住む住民)
秋田容疑者は代理人を通じて議員辞職を市議会議長へ提出。11月11日に受理された。