自分の名前に悩む少女の葛藤と変化を描いた漫画『くらげって呼ばないで』が2024年10月にpixivで投稿された。彼女は名前で呼ぶ友人に怒りをぶつけ、2人の間合いは少し変化する。それでも、これまで通り振る舞う友人の姿を目にした主人公は……。
(参考:漫画『くらげって呼ばないで』を読む)
主人公は自分の名前に悩むものの、作者・鯖乃ナツメさん(@sabanekonosub)のその名前に対する印象は、彼女と異なるものであったと言う。本作を創作したきっかけ、創作するなかで意識したことなど、話を聞いた。(あんどうまこと)(あんどうまこと)
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
鯖乃ナツメ(以下、鯖乃):出掛けた先でたまたまクラゲを見る機会があり、そのときに「海月(くらげ)という名前の主人公はどうだろうか」と考えたことがきっかけです。海月という名前の女の子というキャラクターを起点に、本作のストーリーを練っていきました。
|
|
ーー海月という名前に対する、当時の鯖乃さんの印象は?
鯖乃:可愛くて、軽やかなイメージでした。ただ、それは外から見た際の印象であり、もしも本人だったらどう思うのだろうと考えながら、徐々にストーリーを発展させていきました。
ストーリーの流れとして海月という名前を肯定してくれるキャラクターが欲しいなと思い結衣をデザインしました。海月という名前を「かわいい」って言ってくれる人はどんな人物か考えたときに、元気なキャラクターなんじゃないかなと思いましたね。
ーー2人は身長差のある関係として描かれていたと感じます。
鯖乃:なぜ結衣が海月という名前で呼ぶことに執着するのかと考えたとき、身長が高いがゆえに小さくてかわいいものに対して憧れがあると考えました。作中ではそのことを示唆するシーンは描いていませんが、キャラクターの構想段階ではそういったことを考えながら描いていました。
|
|
そんな2人の関係性として、いつも一緒にいる2人だけど、それほどベタつきはしない、けれど常に一緒にいる……。何となく心地がいい関係をイメージしていました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
鯖乃:終盤、海月が結衣に対して「今でも本当に自分の名前をかわいいと思ってるのか」と聞くシーンがありますが、結衣の返答を聞いた海月が何て答えるのか、とても悩みました。
自分の名前をそう簡単に好きになることはできない、それでも自分の名前を肯定してくれる人がいることは嬉しい。そんな着地となるように海月の返答を描きました。
ーー「もしもこのキャラクターならどんな行動を起こし、どんな言葉を口にするか」といった、2人のキャラクター像が非常に明確なものとしてつくり込まれていると感じました。
|
|
鯖乃:キャラクターをつくっていく上で、漫画に描かない部分も含めどんなものが好きで、家族関係はどうなのか、兄弟はいるのかといった部分はしっかりと考えることは心がけています。
好きなものの存在や兄弟の有無が重要というよりも、そういった些細な設定を積み重ねていくなかで「このキャラクターはこんな人物なんじゃないか」といったイメージをつかむことを大切にしています。
ーー漫画を描きはじめたきっかけは?
鯖乃:面白い漫画を読んで「自分もこんな漫画が描いてみたい」と憧れを抱いたからです。元々イラストを描くことは好きでありつつも、ストーリーを考えることは苦手で……。
物語の設定から考えたりとか、特定のシーンから考えたりなど、さまざまな創作方法を試すうちに、キャラクターをしっかり作り込む方法へと変わっていきました。私の場合はキャラクターからしっかりとつくり込んだ方がストーリーを練りやすいと感じます。
個人的に好きな漫画のキャラクターのタイプとして、しっかりとした芯があり、何かに必死になれるような人が好きです。自分の譲れないもののために必死になったり、頑張ったりできるキャラクターが登場する漫画を描いていきたいです。
ーー本作を読むなか、些細に見えるようなことでも本人たちにとっては大きな出来事で、だからこそ一生懸命になれる2人の姿が印象的でした。
鯖乃:大人の視点から見たら名前で呼び続ける結衣も、些細なことで怒ってしまう海月も子どもなんですよね。2人はまだちゃんと子どもで、青い2人の世界を描くことを意識していました。
ーー今後の目標を教えてください。
鯖乃:次の作品を描くことです。今後も自分の好きな漫画、自分の納得できる作品を描いていければいいなと思います。
(あんどうまこと)
|
|
|
|
Copyright(C) 2024 realsound.jp 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。