運輸安全の重要性を考える国土交通省主催のシンポジウムが19日、オンラインで開かれ、来年に発生40年を迎える日航ジャンボ機墜落事故遺族の美谷島邦子さん(77)が講演した。鉄道や航空などの事業者を前に、美谷島さんは「効率や利益を優先し、地道な安全対策の積み重ねが置き去りにされてしまうことのないようにしてほしい」と求めた。
事故で次男=当時(9)=を亡くした美谷島さんは、運輸事故では原因究明と被害者支援が重要だと強調。日航役員も講演し、今年1月に羽田空港で起きた海上保安庁の航空機との衝突事故で、日航機の乗客乗員全員が助かった背景として、社員による墜落事故現場への慰霊登山などの取り組みを挙げた。
JR福知山線脱線事故などを受け、国交省は2006年、事業者の輸送安全への取り組みを評価する制度を導入。同年からシンポジウムを毎年開催してきたが、今年は初めて事業者だけでなく一般にも公開した。