「デジタル地域通貨」標的に=プレミアム狙いか、不正チャージ横行―セキュリティー対策急務

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2024年11月20日 07:31  時事通信社

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時事通信社

大阪府警本部=大阪市中央区
 自治体が提供する「デジタル地域通貨」を、フィッシングで盗み取ったクレジットカード情報を用いてチャージする不正が全国各地で確認されている。チャージや決済時に5〜数十%の高いプレミアムが付くため標的にされているとみられ、捜査関係者は、本人確認手続きを厳格にするなどのセキュリティー対策強化を呼び掛けている。

 大阪府警は5日、同府豊中市内の加盟店で利用できる同市のデジタル通貨「マチカネポイント」を不正取得したとして、電子計算機使用詐欺などの容疑で、ベトナム国籍の20〜40代の男女7人を逮捕した。

 マチカネポイントのチャージ限度額は1人5万円で、最大2500円分のプレミアムが付く。捜査関係者によると、昨年11月6〜7日、1枚のクレジットカード情報で複数人分チャージする手口で、7400万円相当が不正取得された疑いがあり、府警は7人以外にも関与したグループがいるとみて捜査している。

 不正チャージは、埼玉県熊谷市が提供する地域電子マネー「クマPAY」でも確認された。捜査関係者は「被害は全国で複数件確認されているが、公表しない自治体もある」と話す。

 専修大の泉留維教授(地域通貨論)によると、デジタル地域通貨を導入した自治体などは2019年には32団体だったが、23年には219団体に増加した。今年も新たに導入した自治体があるという。

 捜査関係者は「新規導入の際にフィッシンググループに狙われる場合が多い」と警戒。管理アプリのセキュリティーを高めるように働き掛けているが、自治体関係者は「フィッシングで認証情報も盗み取られている場合は防ぎようがない」と頭を抱える。

 泉教授は「デジタル地域通貨は本来、地域経済活性化のためのもの。お得を売りに多くのプレミアムを付けて販売することで、セキュリティーにコストをかける余力がなくなっているのでは」と指摘。捜査関係者は「本人確認手続きの強化や、事前登録した名前と異なる名義のカードではチャージできない仕組みにすべきだ」と訴えている。 

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