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フランスのコートダジュール大学とInstitut Universitaire de Franceに所属する研究者らが発表した論文「Leidenfrost jets」は、液体の噴流(液体ジェット)が高温の表面に触れることなく跳ね返る現象が新たに発見された研究報告である。
熱々のフライパンに水滴を落とすと、水滴がコロコロと転がり回る様子を見たことがあるだろうか。これは「ライデンフロスト効果」と呼ばれる現象で、高温の表面に落ちた液体が、瞬時に気化して表面との間に蒸気の層を作り、その蒸気のクッションによって液体が浮遊する仕組みである。
研究チームは、この現象が液滴だけでなく、サブミリメートルスケール(1mmに満たない長さ)の噴流でも起こることを実証した。実験では、水よりも気化しやすいエタノールを使用し、噴流を高温に熱した平板に向けて噴射した。研究チームは噴流の速度や角度をさまざまに変えながら、高速カメラを使って現象を詳細に観察した。
実験の結果、噴流が平板に一切触れることなく跳ね返ることが判明した。噴流は自身が生成する蒸気層の上を滑るように進む。ただし、平板の温度や噴射するエタノールの量、噴流の速度、入射角度が特定の条件でなければ浮遊は成功しなかった。
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Source and Image Credits: D. Paulovics, T. Frisch, C. Raufaste, and F. Celestini. Leidenfrost jets. Phys. Rev. Fluids 9, L112001 - Published 5 November 2024
※Innovative Tech:このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。X: @shiropen2
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