なぜ日産が好き? 湘南に集結した純正コンプリートカーオーナーに聞いてみた

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2024年11月21日 11:41  マイナビニュース

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自動車メーカー各社はそれぞれに熱量の高いファンを抱えているものだが、そもそもなぜ、ファンはそのブランドが好きになるだろうか。日産自動車の純正コンプリーカーが大集結するイベント「AOG 湘南里帰りミーティング」の会場で熱そうな人たちに話を聞いてきた。


毎年300台以上が“里帰り”



「AOG 湘南里帰りミーティング」(AOG=オーテックオーナーズグループ)は、日産車の純正コンプリートカーを手がける「AUTECH」(オーテック)と「NISMO」(ニスモ)の両ブランド車に乗るオーナーが集まるイベントだ。自動車メーカーが主催するオーナーズイベントの先駆けとして知られる同イベントが始まったのは2004年のこと。今では参加台数が300台を超える人気行事になっている。どんなクルマとヒトが参加しているのだろうか。


オーテックジャパンは2022年4月、日産のモータースポーツ部門を担当していたニスモと合併し、社名を「日産モータースポーツ&カスタマイズ」(NMC)に改めた。オーテック、つまりNMCの本社が茅ヶ崎市にあり、湘南で開催される本イベントに日本中からオーナーが集結することが“里帰り”というイベント名の由来だ。



参加台数100台強、参加人数150人の規模で始まった里帰りミーティングは、2013年の台風と2020年〜2021年のコロナ禍で3度中止になっただけで毎年開催されていて、2023年は332台/550名が参加、今年は405台/766名の応募(速報値では354台/611名が参加)があったという。



車種別では「セレナ」(そのうちオーテック49台、ニスモ10台)と「ノート」(オーテック24台、ニスモ44台)がそれぞれ77台で最も多く、後には「マーチ」55台(ニスモ14台、12SR24台、A30が8台)、「スカイライン」26台(4ドアGT-R11台、ニスモ6台)、「オーラ」26台(オーテック2台、ニスモ24台)、「エクストレイル」23台(オーテック17台)が続く。ほかには「シルビア」「エルグランド」「ステージア」といった車種も参加。広大な大磯ロングビーチの駐車場を埋め尽くした。


39万km走行を超える猛者も!



これら参加車の中から毎年、最も遠くから来た「遠来賞」と最も走行距離が多い「過走“大将”」が選ばれる。今年の結果を押さえておくと、遠来部門では北東方面が北海道室蘭市からやってきた「ぬまっち」さんと「セレナe-POWER オーテック」、西南方面が佐賀県武雄市の「Kuroneko E52」さんと「オーラ ニスモ」、過走部門では39万4,871kmを誇る千葉県「みっちい」さんの「デュアリスクロスライダー」が受賞した。


「ぬまっち」さんによると、納車1年で走行距離はすでに3万5,000kmを超え、今回も室蘭〜青森のフェリー以外は走りっぱなしで大磯に到着したのだそう。オーテックのセレナはフロントにメタルの粒々が特徴的な「ドットグリル」を装着しているはずなのだが、娘さんが“集合体恐怖症”のため標準のものに戻したそうだ。


過走“大将”の「みっちい」さんは、すでに仕事を引退していて時間があり、毎日100km以上を走り込んでいるというから、まだまだオドメーターを伸ばしていきそうだ。

新旧コンプリートカーが競演



会場には一般参加車のほか、新型「セレナ AUTECH SPORTS SPEC」などオーテック各モデル、「GT-R NISMO」をはじめとするニスモ各モデル、さらにはニスモ創立10周年を記念して制作されたストリート向けコンプリートカー「270R」、ニスモとオーテックがコラボした初のロードカー「フェアレディZ バージョンニスモ type380RS」が展示されていた。惜しくも2024年6月に生産終了した海外向けカスタムカーの日産「パトロール スーパーサファリ」も見ることができた。また、スーパーGT500クラスで活躍した真っ赤な「MOTUL AUTECH GT-R(2019)」や、白バイに先導されて登場した神奈川県警のR33型4ドアGT-Rのパトロールカーも大人気だった。


熱いファンから日産に注文!



参加者の皆さんに「なぜ日産が好きなのか」を聞いてみると、「日産車はレースをベースにした特別なエンジンを搭載しているモデルが多く、それが他のメーカーと違うところ。そこに惹かれてしまう」という声が圧倒的に多かった。質問に答えてくれた方の中には、R33の4ドアGT-Rに乗り続ける中で、すでに3度もエンジンを載せ替えたというほどの猛者もいた。



また、「祖父が自動車工場をやっていて父親が日産に勤めていたことから、物心ついた頃からクルマに囲まれて日産車好きに。当時、自宅には初期型キューブとプレサージュがありました」という人も。「今の日産には、もっと遊べるものとかタフギア的なモデルがあってもいいのでは」と注文も忘れなかった。



さらに、「スーパーパトロール」を熱心に見つめていたお父さんは、「26年ほど前、私はこのクルマの後ろのピックアップ部分を作っていました。砂漠の細かい砂がミッションやエンジンに入り込みにくいので、タフな日産車は中東では大人気。王様のご子息が砂漠でレースに使ったり、一方でイラン・イラク戦争では荷台に銃を載せたりして使われていたようです」と懐かしそうに語ってくれた。



広い会場では、あちこちに車種ごとの“島”ができていて、オーナーさんが椅子を並べてのんびりと話し込むというゆったりした時間が流れていた。まさに、里帰りして集まった家族のような雰囲気だ。最後に集合写真を撮影してイベントは終了。関係者が並んで手を振る中、帰路につく参加者らはみんな笑顔で、日産車のオーナーになったらぜひ参加してみたいミーティングだった。


原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。RJC(日本自動車研究者ジャーナリスト会議)会員。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)

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