「リターンライダー」とは、バイク趣味を再開する人のことを指します。
子育てや仕事などが一段落し、時間的にも金銭的にも余裕ができた人におすすめしたいモデルを、バイクジャーナリストが3機種紹介します。
●リターンライダー向けバイク:選び方のポイント
かつて若者の趣味の象徴であったバイクですが、現在は高齢化が進行。新車を購入している人の平均年齢は54歳を超えているという調査結果もあるほどです。このうちリターンライダーが占めている割合は不明ですが、決して少なくはないでしょう。
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一口にリターンライダーといっても、普段からクルマを運転している人であれば、交通状況を読む力や速度感覚は衰えていないはず。とはいえ、一般的には加齢とともに体力や視力が低下するので、若いころの感覚でバイクを操縦するのは非常に危険です。それを踏まえた上で、筆者がおすすめする最新の3台を紹介します。
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●ホンダ CB650R E-Clutch
・価格:108万9000円(税込、以下同)
・エンジン形式:648cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒
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・最高出力・最大トルク:95ps・63Nm
・車重:207kg
・シート高:810mm
最初に紹介するのは、ホンダの650ccネイキッド「CB650R」のEクラッチ仕様です。Eクラッチとは、クラッチコントロールを自動制御するシステムで、ホンダが世界で初めて採用しました。クラッチレバーは存在するのですが、発進からギヤチェンジ、そして停止に至るまで、レバー操作は一切不要です。
「そう言えばクラッチ操作が苦手だったなぁ」という人にぴったりなこのシステム。スタート時の半クラッチの制御は感心するほどに絶妙で、発進と停止を繰り返す渋滞路では本当に楽チンです。
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ホンダは他にも、「DCT」というクラッチレバーのないトランスミッションも開発していますが、それと異なるのはあくまで変速操作はライダーに委ねられているということ。そもそもCB650Rはネイキッドバイクとして非常に優等生であり、そこにイージーライドなギミックを加えたのですから、まさにリターンライダーにぴったりな1台と言えるでしょう。
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●ヤマハ XSR900 GP ABS
・価格:143万円
・エンジン形式:888cc水冷4ストロークDOHC4バルブ直列3気筒
・最高出力・最大トルク:120ps・93Nm
・車重:200kg
・シート高:835mm
続いて紹介するのは、ヤマハの「XSR900 GP ABS」。写真を見て「おぉ〜!」とうなった人は、間違いなくレーサーレプリカブームを経験しているはず。そうなんです、ヤマハは、1980年代のファクトリーGPレーサー「YZR500」をオマージュしたモデルを登場させたのです。この5月に発売されるや否や、わずか1カ月で年間販売計画台数を越える受注が入るなど、その人気の高さがうかがえます。
セパレートハンドルなので前傾姿勢がつらい、ハンドル切れ角が少ないので小回りが難しい、走行中にバーエンドミラーが見づらいなど、ベテランライダーですら不満に感じる部分は少なくありません。しかし、このスタイリングに惚れてしまった人は、他に乗りやすいバイクをすすめても見向きもしないでしょう。そのため、そうした欠点を許容できるかどうか、可能であれば実際に試乗して確かめてください。
888ccの水冷3気筒エンジンは、当時の「YZR500」並みのパワーを発揮しますが、低回転域から非常に扱いやすく、スロットルをていねいに操作すればライダーを慌てさせることはありません。専用に開発された前後のサスペンションは非常に上質で、マシンとの一体感の演出に貢献しています。これに乗って徐々に昔の勘を取り戻し、たまの休日に心地良い汗をかいてください。
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●ハーレーダビッドソン X500
・価格:83万9800円〜
・エンジン形式:500cc水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒
・最高出力・最大トルク:47HP・46Nm
・車重:208kg
・シート高:820mm
最後に紹介するのはハーレーです。ベテラン好みの重量級バイクで知られる米国の老舗ですが、手薄だったエントリーユーザーを獲得するために、2023年10月に「X350」と「X500」という中排気量モデルを発売しました。
X350は普通二輪免許で乗れるハーレーとして大いに話題になったため、X500はやや陰に隠れてしまった印象があります。しかし、500ccの並列2気筒エンジンは低回転域からトルクがあって楽しく、ハンドリングは穏やかで扱いやすいなど、実はX350よりも間口が広いといっても過言ではありません。
ミドルクラスのクルーザー(アメリカン)と言えばホンダの「レブル500」が人気なのですが、X500も外車でありながら価格はほぼ同じ。ハーレーはあえて戦略的なプライスに設定したのです。いつかはハーレーと考えていた人にとって、これは魅力的な1台となるでしょう。
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●まとめ
以上、リターンライダーにおすすめの3機種を紹介しました。今回は大型二輪免許が必要なモデルばかりを紹介しましたが、最近は400cc以下にも魅力的なバイクがたくさんあります。免許証と予算、そしてライディングスキルに合った機種を選び、ぜひ安全運転でバイクライフを再開してください!