原発から出る高レベル放射性廃棄物「核のごみ」の最終処分を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)は22日、最終処分場選定に向けた「文献調査」の報告書を北海道と調査地域である道内の寿都町、神恵内村に提出した。次の段階の「概要調査」に進むには2町村長に加え知事の同意が必要となるが、鈴木直道知事は反対する考えを改めて示した。
NUMOの山口彰理事長から報告書を受け取った鈴木知事は「仮に概要調査に移行しようとする場合、現時点において反対の意見を述べる考えに変わりはない」と説明した。その上で「(全国的に)調査地点に広がりが見られない。北海道だけの問題となることを懸念する」と強調した。一方、山口氏は東京や大阪などでも説明会を開催する方針を表明。報告書提出後に記者団の取材に応じ「国民の理解をきちんと得る。疑問に対し丁寧に答えていく」と述べた。
文献調査は、最終処分場選定に向けて3段階ある調査のうちの第1段階に当たる。活断層や火山などのデータから不適当な地域を除外するもので、2020年に寿都町、神恵内村で全国で初めて開始した。
報告書によると、寿都町は全域が、神恵内村は積丹岳から15キロ以内の範囲を除く南部が、次の概要調査に進むことができるとされた。
寿都町の片岡春雄町長と神恵内村の高橋昌幸村長は報告書の提出を受け、それぞれ文書でコメントを発表。片岡氏は「今後も(最終処分への)理解を深める取り組みを進める」とし、高橋氏は国とNUMOに対し「丁寧で分かりやすい説明と情報提供に努めていただくようお願いする」と求めた。2町村は、住民投票などを通じ地域の意向を確認する方針を示している。
原子力発電環境整備機構(NUMO)の山口彰理事長(左)から文献調査報告書を受け取る北海道の鈴木直道知事=22日午後、札幌市