劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』が期間限定で劇場公開中。大ヒット記念で19日に新宿バルト9にて、Wビギンズナイトが開催された。
【動画】劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』の大ヒット御礼PV 2009年9月から2010年8月にかけて、平成仮面ライダー第11作目として放送された「仮面ライダーW」の正統続編として2017年8月から「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載を開始し、累計発行部数240万部を超えたマンガ『風都探偵』。2022年8月には仮面ライダー史上初のシリーズアニメ化され、幅広い世代から人気を得た。本作では、主人公の左翔太郎(CV:細谷佳正)と相棒のフィリップ(CV:内山昂輝)が仮面ライダーWとして戦うきっかけとなったエピソード・ビギンズナイトを描く。キーパーソンとなる翔太郎の師匠・鳴海荘吉のキャストには津田健次郎が配役された。
現在上映中の劇場版『風都探偵 仮面ライダースカルの肖像』と2009年公開の『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』の2本立て上映、そして椛島洋介監督、田崎竜太監督(※崎=たつざき)によるW監督トークショーを実施。MCはエグゼクティブプロデューサーである塚田英明氏が担当した。
映画本編の上映後、椛島監督、田崎監督、塚田プロデューサーが登壇。塚田プロデューサーが前説として、『MOVIE大戦2010』の『仮面ライダーディケイド 完結編』を話題に出し、客席からは大きな笑いと拍手が。『仮面ライダーW』で園咲琉兵衛を演じた寺田農さんが、屋台のシーンの撮影で長時間待たされて怒っていたという、映画の撮影秘話も飛び出した。
劇場版『風都探偵』の感想について聞かれた田崎監督は「撮影現場の緊張感とかも思い出され、いろいろなものを吸い込んでリジェネレーションしていただいたなという気がして。椛島監督の『W』に対しての愛がすごく出ていて、ビックリしたと同時にうれしかった」と語った。
椛島監督は『仮面ライダーW ビキンズナイト』を研究し、仮面ライダースカルとタブー・ドーパントが戦った場所のロケ地の完全再現を目指したと明かし、田崎監督がスカルの足元の通路に隠れている翔太郎のシーンの構図、カメラアングルの再現度の高さを絶賛。それを受けて椛島監督は「いつもの僕だと、(翔太郎がいる)通路と(スカルがいる)上の部分を一体化してくれとオーダーするんですけど、今回はあえてやらずに。ただ、翔太郎が見上げているシーンはタービンの下にカメラを入れていて。あれは3Dならではのアングルかなと」と話した。
田崎監督は地球(ほし)の本棚の映像表現について、『マトリックス リローデッド』を参考にし、同じ本棚をコピーする手法で合成のカロリーを抑えつつ、奥行きを演出したと振り返る。話題は荘吉が地球の本棚に入るシーンへと移り、田崎監督は詳細が描かれた『風都探偵』に対して、『W ビギンズナイト』の描写を「力技でしたね(笑)」とコメント。椛島監督は「スカル(メモリ)のエネルギーをぶつけないと、あそこの構造式を壊せないかなと。スカルの音声を連呼させたり、構造式にSKULLの文字を入れたりして、(構造式を)破壊していると演出しています」と語った。
『MOVIE大戦2010』だけでなく、『仮面ライダー×仮面ライダーOOO(オーズ)&W(ダブル) feat.スカル MOVIE大戦CORE』と「Nobody's Perfect」のミュージックビデオでも、吉川晃司が演じる荘吉を演出した田崎監督は、吉川を「歳が近いこともあって、非常に意思疎通がしやすい方」と語り、身体能力の高さを絶賛。椛島監督は吉川と直接会った際、柔軟な吉川とハードボイルドな荘吉のギャップに驚いたそう。田崎監督は荘吉の演出について、「僕が作り込んだというより、脚本を読んで吉川さんが持ってきたものが、すごく鳴海荘吉だった気がします」と話した。
アニメで荘吉を演じた津田健次郎の印象を、椛島監督は「すごく話しやすく、素敵な方」とコメント。リアルな舌打ちがほしかった舌打ちのカット以外では、演技でお願いしたことはなかったそうで「声は違うけれども、吉川さんの鳴海荘吉もしっかり内包されているようなキャラクターになったかなと思います」と振り返った。
塚田プロデューサーは『MOVIE大戦2010』終盤に登場した別の世界の荘吉のシーンを思い返し、「『またどこかの世界で会おう』と言っているのが、これアニメの世界の鳴海荘吉もあるなと」と新解釈を披露。椛島監督もお気に入りのシーンで、「顔だけ(スカルの)変身が解けるじゃないですか。あれがやりたくて(アントライオン・ドーパント戦の)顔の変身、ちょっと遅らせていますからね」と明かし、会場から拍手が起きた。
田崎監督は「15年前の映画も愛してくださって、本当にありがとうございます」と、ファンへの感謝を伝えた。椛島監督は、自身が着てきた劇場版『風都探偵』仮面ライダースカルTシャツを見せながら、劇場物販と23日開催の生コメンタリー上映をアピール。「『あれ話せばよかったな』と、終わってから思い出すこともあるので、気になる人はXで絡んでください」と話し、笑いと拍手に包まれてイベントは幕を下ろした。