南海電気鉄道は11月13日、ダイヤ改正を発表しました。実施日は12月21日です。この中で、「都会のローカル線」と言われる汐見橋線(汐見橋〜岸里玉出)の終電繰り上げが発表されました。終電繰り上げ後の汐見橋線の状況を確認しつつ、同線の意外な活用法を考えていきたいと思います。
終電繰り上げであの有名路線よりも早くに
汐見橋線は汐見橋駅から岸里玉出駅までの4.6kmを結ぶ路線です。正式には高野線の一部ですが、岸里玉出駅で高野線と分断されているため、事実上は別路線として運営されています。汐見橋線は大阪市内を走りますが、30分間隔の運行ということもあり、「都会のローカル線」として紹介されることが多いです。
11月現在の汐見橋線の終電は、汐見橋駅発が22時45分、岸里玉出駅発が22時25分です。しかし、12月21日以降は汐見橋駅発が22時10分、岸里玉出駅発が21時45分と、大幅に前倒しされます。大阪市内の他の路線と比べると、終電が圧倒的に早いですが、大都市圏にある列車本数が少ない路線の終電(平日)をいくつか比較してみましょう。
まず、工場への通勤路線として知られるJR和田岬線(兵庫〜和田岬)の終電は、兵庫駅発が21時55分、和田岬駅発が22時04分です。次に、愛知県の名鉄築港線(大江〜東名古屋港)の終電は、大江駅発が21時44分(臨時列車)、東名古屋港駅発が21時50分(臨時列車)です。最後に、JR鶴見線(鶴見〜扇町・大川・海芝浦)では、鶴見駅発の終電が23時15分です。
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JR和田岬線、名鉄築港線、JR鶴見線はいずれも工場勤務者向けの路線としての性格が強いですが、汐見橋線はこれらと遜色ない(!?)ほど早い終電となります。汐見橋線沿線には工場もありますが、主に住宅地が多いため、「生活路線」としての性格が強いです。これらの3路線と比較すると、特にJR鶴見線鶴見〜扇町間に近いですが、汐見橋線の終電はJR鶴見線よりも1時間以上早く、関西だけでなく全国の都市圏と比較しても、極端に早い終電となっています。
難波を回避できるのが汐見橋線の強み
列車本数が少ない汐見橋線ですが、筆者のおすすめの活用法があります。阪神沿線から南海本線へ向かう際、一般的な方法は阪神なんば線の大阪難波駅で下車し、南海難波駅へ乗り換えることです。しかし、大阪難波駅から南海難波駅までは少し距離があり、10分ほど歩く必要があります。また、最近はインバウンド客の増加により、難波駅周辺が非常に混雑しています。
一方、汐見橋駅は阪神桜川駅の隣にあり、乗り換えがとても楽です。しかも、混雑に悩まされることはありません。実際に平日の夕方、汐見橋線に乗ると、汐見橋駅から桜川駅へ乗り換える人々を見かけました。
ただし、岸里玉出駅では南海線・高野線ともに普通列車(各停)しか停車しないので注意が必要です。また、高野線ホームから汐見橋線ホームへは連絡通路を5分ほど歩かなければなりません。
いずれにせよ、今後も汐見橋線は関西で注目される路線として存在感を保ち続けることでしょう。
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(まいどなニュース特約・新田 浩之)