太ももからふくらはぎまでポカポカして心地よく、つい眠くなってしまう――寒い冬の日、電車の座席に座るとじんわりとした温かさを感じたことがある人も多いのでは。こうした電車の座席のような温かさを再現した、ユニークな暖房器具がある。家電メーカーのサンコーが10月29日に発売した「まるで電車の座席ヒーター」(希望小売価格6980円)だ。開発の経緯を、同社の広報担当者に聞いた。
まるで電車の座席ヒーターは、座布団のようにイスやソファなどの上に置いて使用する暖房器具だ。広報担当者が「少し変わった見た目」と話す通り、座布団のような本体部分に、ふくらはぎを温めるヒーターがつながっている。サイズは本体部分が47(幅)×10(高さ)×54(奥行)センチで、ふくらはぎに当たる部分は44(縦)×33(横)センチだ。
太ももとふくらはぎを全体的に温めるため、太もも部分2カ所とふくらはぎ部分2カ所の計4カ所にヒーターを搭載。温度は「強(46度)」「中(44度)」「弱(42度)」の3段階で、有線リモコンで調整する。また、モバイルバッテリーで使えるUSB給電式を採用。本体の右側面にはモバイルバッテリーを収納するポケットを付けた。
広報担当者によると、ふくらはぎの裏側とヒーターをしっかり触れるようにすることが、開発のポイントだったという。 椅子やソファに座る姿勢は人ぞれぞれであり、座っている最中に足を動かすこともある。姿勢や足の動きを邪魔せず、ヒーターをしっかりふくらはぎに当てる必要があった。
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●きっかけは社員の一言
そこで開発担当者が思い付いたのが、ポリカーボネート板だった。ヒーターを邪魔しないよう、ふくらはぎ部分の左右と真ん中の3カ所に、弾力性があるポリカーボネート板を搭載。その結果、座っていない状態のときは、ふくらはぎ部分はピンと伸びているものの、座るとそれぞれの姿勢や足の角度に合わせて自然にフィットするようになった。
また、本体後部の左右には、60センチのひもが付いている。このひもをイスに結び付けることでしっかりと固定でき、座っている時や立ち上がった時に、椅子からずれにくくする効果があるという。
広報担当者によると、もともとのコンセプトは電車の座席をイメージしたものではなく、ふくらはぎを温める暖房器具だったという。試作品を社内で試したところ、ある社員から「まるで電車の座席みたい」との発言が。この一言がきっかけとなり、商品名や販促時のコンセプトが決まったという。「『ふくらはぎを温める』だけでは商品をイメージしづらいと感じていました。商品を表す的確な一言だったと思います」(広報担当者)
電車の座席らしさは色にもあらわれている。もともとはグレー1色のみだったが、電車の座席を連想させるレッドを追加し、2色展開とした。
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今年は猛暑が長く続いた上、11月に入ってもなかなか気温が下がらなかった。あったかグッズにとっては不利な状況が続いたが、広報担当者は「寒さが本格化し、暖房器具が売れ始めるのはこれから」と期待を寄せる。まるで電車の座席ヒーターは、消費者の支持を得られるか。
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