東京から新大阪までの乗車券を購入すると、「東京都区内→大阪市内」として発行されます。一方、特急券は「東京→新大阪」と表示されます。また、神戸市内から大阪市内へ移動する際に「神戸市内→大阪市内」という乗車券が発行されることはありません。さらに、新大阪〜東京間とユニバーサルシティ〜東京間の運賃は同じです。では、どのような条件で「〇〇市内(東京都区内)」の乗車券が発行されるのでしょうか。また、なぜ大阪駅からの場合とユニバーサルシティ駅からの場合で運賃が同じなのでしょうか。
基準は営業キロ201km以上
冒頭に書いたからくりは、JRが定めた「特定都区市内」という制度とリンクしています。
JRは、特定都区市内として11のゾーンを定めています。それは、札幌市内、仙台市内、東京都区内、横浜市内、名古屋市内、京都市内、大阪市内、神戸市内、広島市内、北九州市内、福岡市内です。これらは全て「大都市」に設定されています。これらのゾーンにある駅の駅名標には、「神」や「九」といった表記が見られますが、これはその駅がゾーンに属していることを示しています。
これらのゾーンにある駅では、原則として、各ゾーン内にある中心駅から営業キロ201km以上にある駅との区間の乗車券には「〇〇市内(東京都区内)」が表示されます。個別の駅名は表示されません。
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運賃計算は中心駅を基準とします。都区市内発着のきっぷは、それぞれのゾーン内において、どの駅からでも乗り始められ、降りれます。ただし、それぞれの同じゾーン内では途中下車はできません。
例えば京都市内の場合、中心駅は京都駅です。京都駅から鳥取駅(山陰本線230.3km)までの運賃は4070円です。一方、保津峡駅から鳥取駅までの営業キロは216kmであり、本来は京都駅からよりも運賃が安くなるはずです。しかし、保津峡駅は京都市内に含まれるため、運賃は京都〜鳥取間と同じ4070円になります。なお、隣の馬堀駅は京都市内に含まれないため、鳥取までの運賃は馬堀〜鳥取間の営業キロに基づき3740円となります。
「東京都区内→大阪市内 東海道新幹線経由」の乗車券を持っている場合、途中で名古屋市内に立ち寄り、例えば名古屋〜八田間に乗車する場合はどうなるのでしょうか。この場合、名古屋市内はその乗車券に含まれていないため、名古屋〜八田間の運賃が別途発生します。
山手線各駅の駅名標に「山」「区」がある理由は
例外として、東京都区内には「東京山手線内」というゾーンが別に設定されています。これは山手線および山手線内の各駅が対象です。これらの駅の駅名標にある「山」「区」の表記は、東京都区内であり、かつ東京山手線内の駅であることを示しています。東京山手線内の中心駅も東京都区内と同じく東京駅です。このゾーンは、東京駅から営業キロ101〜200kmにある駅との区間に適用され、先ほどと同じ要領で運賃計算をします。
神戸市内の中心駅は三ノ宮駅ではない?
特定都区市内ごとに運賃計算の基準となる中心駅があります。これはゾーン内で最も主要な駅を指しますが、神戸市内の中心駅は市内で最も乗車人員の多い三ノ宮駅ではなく、神戸駅です。神戸と三宮の複雑な関係を象徴する興味深い点といえるでしょう。
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(まいどなニュース特約・新田 浩之)