業務上のノルマ達成のため、従業員に自社製品の購入やサービスの利用などを強制する「自爆営業」について、厚生労働省が防止に向けて動き出すと報じられています。
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読売新聞オンライン(11月24日)によると、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づく指針に自爆営業がパワハラに該当する旨を明記し、企業側への対策を求める方針だといいます。具体的な記載内容については今後の議論を踏まえて決まるそうです。
自爆営業は、会社のノルマを達成するために、自社商品を従業員のポケットマネーで買い取るなどが典型例です。弁護士ドットコムにも自爆営業に関する様々な相談が寄せられています。
前の職場から会社に対する売掛金の支払いを求められたという人は、自爆営業でパーティー券やおせち代を給与からの天引きで負担させられていたそうです。当時から不服だったようで、「借用書もなく、正直支払いたくない」といいます。
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保険代理店に勤めていた女性は、上司が大声で怒鳴り散らすなどのパワハラをきっかけに退職願を提出したところ、この上司から「身内を保険に入れてから辞めろ」「自爆営業をしろ」などと命令されたようです。「自爆営業せずに退職したい」とこぼします。
美容室が自爆営業の現場になることもあるようです。スタイリストとして勤めている人は、年2回のセールで店舗商品の売り上げノルマがあり、ノルマ未達は不足額がそのまま本人買い取りのペナルティになるといいます。
先輩スタイリストに聞いてみても「昔からだから」「(自爆営業せずに済むよう)売れば問題ない」と言われるだけ。勤続年数が増えるほどノルマが大きくなるため年々厳しくなり、「その月の生活が苦しくなるほど」と悩んでいるようです。
売り上げ目標としてノルマを課すこと自体は、一般的には業務命令の範囲内です。また、ノルマの有無にかかわらず、従業員が自分の意思で商品を購入する分には問題ありません。
しかし、購入を拒否したにもかかわらず、上司などにしつこく購入を迫られた場合はパワハラに該当する可能性があります。
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また、ノルマ未達のペナルティとして自爆営業させられている場合や自爆営業分を給与から天引きしている場合などは、労働契約の不履行について違約金を定めたり、あらかじめ損害賠償額を決めたりすることを禁止する労働基準法16条や、賃金は原則通貨で直接労働者に全額支払わなければならないとする同法24条などに違反しているおそれもあります。
違法な指示や業務命令に従う必要はなく、拒否する意思表示を明確にすることが重要です。それでも執拗に自爆営業を求められるようであれば、労働基準局や弁護士などへの相談も検討すべきでしょう。
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