東レが、同社の高級シルク調のポリエステル素材「シルック®」の60周年を記念して、植物由来PETと複合紡糸技術「NANODESIGN®」を融合した新素材「シルック美來™(SillookMirai™)」を開発した。2025年春夏シーズンから、メンズ・ウィメンズ向けの和装および洋装のアウターやボトムス用として展開する。2025年度は10万メートル、2027年度は50万メートルの販売を目指すという。
東レは1964年に、絹が持つ光沢やドレープ、ふくらみ感のほか、「絹鳴り」といった独特の音色も追求した素材として初代シルックを開発。以来、シルックシリーズは日本の伝統的な絹織物文化と現代技術を融合させた革新的なテキスタイルとして、長年にわたり高い評価を得てきた。
今回開発されたシルック美來は、従来の石油由来原料に代わり、植物由来原料を約30%使用した環境配慮型素材。資源枯渇や地球温暖化などの地球環境問題に注目が集まる中、東レはこれまでシルックで培ってきた経験をベースに、PET原料の一部を石油由来から植物由来に置き換える技術と、東レ独自のNANODESIGN技術を融合し、従来のシルックを超える高質感や快適機能性を実現したシルック美來を開発した。
同新素材は、NANODESIGNの深化によって実現した、表面凹凸の異なる異形断面繊維が混在する糸束構造により、シルクタッチや自然な光沢といった高質感に加え、着物の裾がすれ合う際の絹鳴りといった目に見えない美しさも表現。また、テキスタイル表面に形成された凹凸斑は、これまでのシルックでは達成が困難だった和装における着用時の着崩れ防止をはじめ、優れた耐洗濯性やイージーケア性も叶えるという。