茶トラといえば、遺伝子の関係で男の子であることが多いため、女の子はレア。そして、白い毛が少なくて、茶色の被毛に茶色の縞模様がある「まるどら」と呼ばれる子も珍しいと言われています。
そんな2つのレアを奇跡的に兼ね備えているのが、@komugi_kunseiさん宅の小麦ちゃんです。(初公開日は2020年11月3日 記事は取材時の状況)
◆真夜中の散歩中に「レアな茶トラ猫」に遭遇!
小麦ちゃんと出会ったのは、夜中の散歩中。道路沿いにいる、1匹の痩せた猫に目が行きました。
「最初は主婦の方が撫でていたので遠くから見ていましたが、その方が立ち去ったので近づいてみました。そしたら、ずっとニャーニャー鳴いていて。かわいかったので、おうちに招くことにしました」
それから1週間後。ネットで茶トラの性格を調べていた飼い主さんは、まるどらや女の子がレアなことを知りました。
「驚きましたが、それよりも、まるどらっていう響きが好きだなって思いました」
茶トラは、巨大化する子が多いもの。しかし、小麦ちゃんは女の子であるからか「茶トラ巨大化説」には当てはまらないよう。
現在の体重は4.7kgと平均的ですが、保護した時には動物病院の先生から「茶トラにしては小柄だね」と言われたのだそう。おうちでは遊び好きで甘えん坊な性格を、いかんなく発揮。遊びたくなると鳴いたりちょっかいをかけたりして、飼い主さんを翻弄しています。
◆なにげない幸せを記録し続けたい
小麦ちゃんは、大きな瞳や目周りの特徴的な模様など、たくさんの胸キュンポイントを持つ美猫さん。その中でも、飼い主さんは特にマズルを見てキュンとしています。
しかし、小麦ちゃんには変顔が得意という、意外なギャップが。日常の中では、よく変な表情をし、飼い主さんを笑顔にしています。
また、たまにご飯を一気食いして吐いてしまった後は、申し訳なさそうに小さく鳴き、スリスリ。
「こうした姿を見ると、物事が判断出来ているんだなあと感心しますが、可哀想なのにかわいい……と複雑な気持ちにもなります」
愛猫が見せてくれるさまざま表情は、その瞬間しか見られない貴重なもの。だからこそ、飼い主さんはTwitterやインスタグラム、ブログ、YouTubeなどを活用し、その瞬間の思い出をしっかりと記録するようになりました。
「もともと私は記録を残したり、写真や動画を撮ったりしない性格でした。でも、小麦に関することは忘れたくないなあと思ったので、備忘録としてアップしています」
◆レアでも普通でも、可愛さは変わらない
思い出の詰まった写真や動画は、どれもかけがえのない宝物。「なにげない幸せ」は時間が経ったら忘れてしまいやすく、失った時に初めて大切さに気付くことも多いもの。しかし、日頃から大切に保管し続けていれば、目の前にいてくれる存在の尊さを再確認できます。
「月並みな表現かもしれませんが、小麦は家族のような存在。人間の家族より大事にしています(笑)」
そう語る飼い主さんは1日でも長く、共に生き続けていくため、小麦ちゃんの健康管理にも気を配っています。実は小麦ちゃん、保護した直後に膀胱炎が判明したり、便秘になったりしたことがあったよう。そのため、飼い主さんは水分摂取量や排便の頻度、固さ、量を特に注意深くチェックしています。
◆毎日、全力で遊んでいます
「あとは毎日、遊ぶ時間を設け、全力で遊んでいます。小麦と遊ぶ時間を最優先することがマイルールです」
レアであっても、なくても小麦は小麦。大切な家族であることには、変わりない。飼い主さんの猫愛の裏には、そんな気持ちが隠れているような気もします。
命の価値や愛猫への愛情は、希少性の有無では変わらない……。2人の穏やかで楽しい日常は、そんな事実を、私たちに教えてくれているようにも思えます。
<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291