「怪我が多かったので、何もできないシーズンだったなと悔しさと同じことを繰り返してやっているわけなので、そうですね、納得のいかない1年でした。情けなかった1年だなと思います」。
ロッテの松川虎生はプロ3年目の今季は故障に泣き悔しい1年となった。
松川はプロ1年目の22年は開幕スタメンマスクを被るなど、1度もファームに落ちることなく76試合に出場したが、2年目の23年はシーズンの大半をファームで過ごし9試合の出場に終わった。
3年目の今季に向け、自主トレでは「とにかく強いスイング、下半身がすごく大事だと思うので、下半身を重点に置いてやっていきました」と打撃練習に力を入れ、守備面では「スローイングの安定性という部分では去年より良くなっていると思うので、そういうところをしっかり今だけじゃなくて、継続していってシーズン中もやっていければなと思います」とスローイングを強化した。
「レギュラーを取るために1試合が大事だと思うので、そういうところで結果を残せるようにやっていければなと思います」と、練習試合、オープン戦でアピールしていくことを誓った。
練習試合では2月14日のサムスン戦で適時打を含むマルチ安打をマークすると、2月25日の韓国ロッテ戦では一軍の実戦では初となる本塁打。オープン戦が始まってからも一軍に帯同し、開幕一軍に向けさらに状態を上げていきたいところだったが、3月9日のソフトバンクとのオープン戦を最後にオープン戦の出場なし。開幕をファームで迎えた。4月終了時点の打率.222だったが、5月は18日のDeNA二軍戦から24日のオイシックス戦にかけて5試合連続安打を記録するなど、月間打率.303。
しかし6月1日のヤクルト二軍戦を最後に2ヶ月近く出場なし。8月2日のヤクルト二軍戦で実戦復帰し、8月20日に「いつチャンスが来るかわからないですけど、しっかりがむしゃらに食らいついて頑張っていければなと思っています」と今季初昇格。
ファームで過ごしていた期間、自分に課して何か取り組んだことなどあったのだろうかーー。
「怪我があったので、怪我の後でスタメンだったり、途中から出ることが多かったですけどセカンドスローにしても出力を戻すというか、怪我前より上げられるようにと思って取り組んできました。守備のところはいい感じでできているかなと思います。バッティングの部分でもいい感じに振れていると思うので、練習から意識しながらやっていたかなと思います」。
打撃でいえば、昨季から“強く振ること”、“左足の使い方”を取材のたびに口にしていたが、今は「軸がぶれないようにと言われているので、そこだけっすね」とのこと。試合の映像を見ていると、左足を大きく上げて打ったり、すり足気味で打ったりと様々な構えを試していた。
「そうっすね、何種類か持つのはすごく大事だと思うので、そういうところは探りながらやっていたかなと思います」。
昨季は試合後に打撃練習、ウエイトトレーニングに励んでいた。
今季も変わらず、「ウエイトもそうですけど、全体的にレベルアップすることは大事なことだと思うので、そこを意識してやっていました」と、さらなる技術、体力向上を目指しトレーニングを積んできた。
ファームでレベルアップを図りながら、いつ一軍から声がかかってもいいように、“自分ならこうやって守る、打つ”ということを考えながら、一軍の試合を観ていたのだろうかーー。
「こうやって守ろうとか、こうやって打とうとかは、テレビ越しではわからないのですが、その感じるところがあると思うので、そういうところは観ながら勉強をたくさんやりました」。
21日の日本ハム戦で今季初出場を果たすと、佐々木朗希が先発した22日のソフトバンク戦に『9番・捕手』で今季初スタメン出場。2−3の4回二死一、二塁の第2打席、加藤貴之が1ストライクから投じた2球目のストレートをセンター前に弾き返し、今季初安打を放ったが、24日に一軍登録を抹消。
今季はプロ入り3年目で自己ワーストの2試合の出場に終わった。シーズン終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「とにかく全部強くすることがすごく大事だと思うので、強くしながら、技術を高めてやっていければ」と攻守のさらなるレベルアップを図った。
来季プロ4年目を迎える。一軍には佐藤都志也、田村龍弘がおり、ファームにもイースタン・リーグ2位の打率.290をマークした寺地隆成がいる。捕手の競争が熾烈になった。「周りもいい選手がたくさん増えていると思いますけど、キャッチャーとして強い意志を持っている。誰にも負けないようにと思ってやっています」と決意。
「1年目は試合に出て、2年目、3年目は吉井さんが言っていたと思うんですけど、二軍で修行と言ってもらっていますが、そういう立場ではないと思います」と危機感を示す。「一軍で試合に出て、結果を出さないといけない。4年目はしっかり自分のプレーを出せるように強い心を持ちながら試合に挑んでいければと思っています。この秋、冬でやっていきたいです」。直近2年の悔しさを来季、一軍のグラウンドでぶつける。
取材・文=岩下雄太