“薬剤師ホスト”が抱く壮大な野望「医療格差や患者のたらい回しといった問題を改善したい」

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2024年11月27日 16:01  日刊SPA!

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薬剤師志望の優秀な学生との関係性を築き、開業する薬局の採用につなげるためにも塾の運営は続けている
 難関大学を卒業後、就職活動をせずに夜職で稼ぐ人が増加している。彼らの目的は、若いうちに一気に稼ぎ、その資金や得た知名度を次のキャリアに活かすことだ。
 歌舞伎町のホストクラブ「ECLIPSE」で働く月神ルイさん(@yukiamesora04)もその一人。薬剤師資格を取得後、お金を稼いで薬局を開業するという夢を持ち、ホストとしての道を選んだ。経営者として、そしてホストとして成功を目指すルイさんのキャリア観を聞いた。

◆研究者を志すも、バンド活動に夢中に。大学には足が遠のく

 科学に興味を持っていたルイさんは新薬の開発者を目指し、学生時代から勉強に勤しんだ。

 難関理系大学に合格し、学業に励んでいたルイさん。しかし、ある日人生を変える出来事が訪れる。

「大学の友人に誘ってもらって行った音楽ライブに衝撃を受けました。そのときに初めて音楽の楽しさ、かっこよさに目覚め、自分も音楽の道に進みたいと強く思うようになりました」

 ルイさんはすぐにバンドを結成。音楽活動に夢中になるあまり、次第に大学に通う頻度は減っていった。

◆薬剤師になることに両親は大反対…

 本気で音楽に取り組む一方で、このまま突き進んでもいいのかと不安な気持ちもあったという。

「ライブハウスで、40歳を過ぎても『バンドで食っていく!』と言っている音楽仲間を見て、『この道で成功するのは相当大変だろうな……』と思いました」

 そこでルイさんは『手に職を』と考え、薬剤師免許を取得することに決めた。

「両親には『音楽で食っていきたいから、薬剤師免許を取れる大学に行きたい』とは言えず、薬学部にいきたいとだけ伝えました。それでも大反対を受け、『どうしても行きたいなら、自分の金で行け』って言われましたね。やはり両親は研究者の道を歩んでほしかったのだと思います」

「編入する際にかかる約600万円の学費を自分で払うこと」を条件に両親を説得し、薬学部に編入した。バンド活動とバイトをしながら薬剤師国家試験の勉強をしなければならない。圧倒的に時間が足りないなかで試験を突破するために、ルイさんは自分なりの勉強法を編み出した。

「薬剤師国家試験って、とにかく覚えることが多いんです。試験前に焦って勉強しても間に合わないですし、僕はバンド活動も続けていたため、短期間に効率よく勉強しなければなりませんでした。そこで僕は授業で習ったらすぐに過去問を解くようにしました。過去問を先に解くことでどういう覚え方をしたらいいのか分かるし、自分が苦手なところを把握できるんです」

 薬剤師国家試験の勉強法や覚えやすい語呂をSNSで発信していると、「勉強を教えてほしい」と連絡をもらうように。需要を感じたルイさんは、薬剤師を目指す人のための塾を始めた。すると全国から生徒がたくさん集まり、その授業料で自身の学費を払えるようになった。

「両親は塾がうまくいったことを喜んでおり、今は僕の仕事を認めてくれています」

◆薬剤師の待遇を変えるため、ホストになることを決意

 薬剤師国家試験をトップクラスの成績で合格し、免許を取得。そして大学卒業後にバンド活動をしていたが、コロナ禍で思うようにライブができなくなり、音楽の道を諦めざるを得なかったという。だが、そのときのルイさんにはもう、薬剤師になるという選択肢はなかった。

「日本では高齢化が進み、医療費が過剰にかかっている現状があります。病院実習の際、待合室で高齢の患者さんたちが『今日はあの人(別の高齢の患者)が来てないね』と話し合い、まるで団欒の場のようになっている様子を目にしました。高齢者が優先される一方で、若い世代の診察が後回しにされることもあります。このような無駄な医療費が発生している状況を目の当たりにし、医療格差や患者のたらい回しといった問題を改善したいと強く感じました。

 そこで、自分の薬剤師資格を活かして、無駄な通院を減らす取り組みを進め、薬剤師が地域の人々と直接関わる機会を増やしたいと考えるようになりました。そして、薬剤師の地位向上を目指した薬局を自分で開業することを決意しました」

◆「薬剤師ホスト」の肩書きがXでバズって売上アップ

 ホストは未経験だったが、バンドマン時代にファンと接していたことで、女性への接客は最初から得意だったというルイさん。入店1か月目から売上ランキング上位に入ることができたという。

「『資格を活かさないでホストになるなんて』とバッシングを受けて嫌われると思い、最初は薬剤師資格を持っていることを隠していました。しかしX(旧Twitter)に力を入れようと覚悟を決め、恐る恐る公表したら、びっくりするほどバズり、批判的な声はほとんどありませんでした。そして、そのポストを見て来店するお客さんも増え、さらに売上が伸びました」

 2024年11月15日に、東新宿で薬膳カフェ併設の薬局をオープン。薬局だけでなく薬膳カフェも手がけることを決めた背景には、「日本の医療を変えたい」という強い思いが込められている。

 店舗のコンセプト作りから物件選び、スタッフの採用まで、すべてをルイさんが手がけている。

「11月にオープンした1店舗目は、あくまでスタートラインです。上場企業を目指して薬膳カフェ併設の薬局を全国に展開し、医療業界に貢献していきたいです」

<取材・文/橋本 岬>

【橋本 岬】
IT企業の広報兼フリーライター。元レースクイーン。よく書くテーマはキャリアや女性の働き方など。好きなお酒はレモンサワーです

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  • それらの問題が起きてる根本の原因は1980sから医学部=理系の偏差値トップ層になってるからだと思うのだが
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