サッカー日本代表ワールドカップベスト8のカギは久保建英と鈴木彩艶 福田正博がふたりに期待する理由

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2024年11月28日 07:30  webスポルティーバ

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福田正博 フットボール原論

■サッカー日本代表は、来年3月のW杯アジア最終予選での勝利で本大会出場が決まるところまでこぎつけた。その先はW杯本大会へ向けての強化になるが、本番までの1年半で福田正博氏が飛躍を期待している選手ふたりを挙げた。

【鈴木彩艶は最終ラインのカバーができるか】

 サッカー日本代表はW杯アジア最終予選で危なげなく勝ち点を積み上げ、来年3月の予選再開初戦のバーレーン戦で勝利すれば、2026年W杯本大会の出場権を獲得できることになった。

 そこを越えれば目標にする『ワールドカップでベスト8以上の成績』のための強化に取り組んでいくことになるが、本大会までの1年半で次のふたりのキーマンの成長は不可欠なものだ。

 ひとりはGKの鈴木彩艶(パルマ)だ。世界的なGKに見劣りしない190センチ、98キロの体格は、これまでの日本代表GKにはなかったものだ。W杯アジア最終予選のアウェー中国戦では、相手コーナーキック時に中国の選手たちが密集してGKの動きを封じようと試みたが、鈴木は高さと強さでそれを物ともせずに跳ね返した。セリエAで対戦しているFWは中国選手たちよりもさらに高くて強いだけに、鈴木にとっては難しいプレーではなかったように見えた。

 立派な体格に加えて、反応速度の速さと俊敏な動きも抜群にいい。そして、彼がいまパルマで経験値を高めているのが、「前に出るか、出ないか」の部分だ。セリエAのなかで、パルマは最終ラインを高くして守るスタイルを採る。そのために最終ライン後ろの広大なスペースを鈴木が守らなければならない。

 彼はもともと前に出ていくことを恐れないタイプだが、闇雲に出ればいいというものではない。ゴールエリアから出て守るのか、とどまるのか。そこの判断力を高める機会はチームの戦い方によるところが大きいなかで、パルマの戦い方は鈴木が伸ばすべき能力とマッチしていると言える。パルマでGKとして大輪の花を咲かせてもらいたい。

【久保建英はインカーブシュートを決められるか】

 もうひとりは久保建英(レアル・ソシエダ)だ。彼の成長なくして日本のW杯ベスト8以上はないとは、誰もが思っていることだろう。

 2022−23シーズンから所属するレアル・ソシエダでは、攻撃の中心として存在感を発揮している。1年目は35試合9得点、昨季は30試合7得点。レアル・ソシエダに所属する前のラ・リーガでの4シーズンでの総得点は6ゴールだったが、所属したチームが守備的な戦術を敷くことが多かったのが影響した。ただし、ここでの経験があったからこそ久保の守備力やフィジカル強度が高まったのだと思う。

 レアル・ソシエダでは攻撃センスが開花したのだが、ゴールをお膳立てするシーンに比べると、まだまだゴールを決めるシーンは多くはない。日本代表でも右サイドからチャンスメイクすることは多いが、久保がゴールを決めきるシーンがもっと増えてくれば破壊力は倍増するはずだ。

 W杯アジア最終予選のアウェー中国戦で、久保は右サイドからゴール中央にカットインしてシュートを放ったが、相手GKに弾かれて得点にはつながらなかった。あのゴール左に向けてカーブをかけたシュートが決まるようになれば、久保のテクニックがもっと生きてくるのは間違いない。

 ゴールファーサイドへのインカーブシュートが決まるようになれば、相手DFはそれに対応しようと足を伸ばすようになるだろう。そうなれば今度はそのDFの股下からゴールニアサイドを狙ったり、キックフェイントから切り返してDFをかわしてシュートを打ったりもできる。そこでのテクニックや視野を久保は備えているだけに、あのカーブをかけた巻いたシュートをもっと磨き上げてもらいたいと思う。

 この巻いたシュートのコツを久保が掴めば、セットプレーからの得点シーンも見られるようになると期待している。シュートのキックの質が高まれば、FKで直接ゴールを狙うキックにも活きてくるからだ。

 以前に、久保はFKで名を馳せた日本代表OBのもとを訪ねて、コツを聞いたという。昔の日本代表には中村俊輔や遠藤保仁などFKを得意にする選手が数多くいたが、いまはスペシャリストが見当たらない。FK向上を意識して取り組んでいる久保が覚醒する日が待ち遠しいところだ。

【サッカーで勝負を決めるのは、ゴール前の選手の力】

 リオネル・メッシも、バルセロナでデビューしてから数年はゴールを決めるタイプではなかった。それが21歳で臨んだ5シーズン目で23得点をマークすると、翌シーズンは34ゴールでリーグ得点王。FKでも数多くのゴールを決めるようになった。ラ・リーガでのシーズンを重ねるなかでフィジカル強度やパワーが増し、持ち前のスピードとテクニックをシュートに生かせるようになったからだ。

 フィジカル強度やパワーが備わってきた久保建英がキックのコツをつかみ、得点に直結する選手へと進化を遂げることができれば、日本代表は間違いなく一段も二段も上のステージに行けると思う。

 サッカーで勝負を決めるのは、攻撃でも守備でもゴール前の選手の力によるところが大きい。久保建英は2001年生まれの23歳、鈴木彩艶は2002年生まれの22歳。サッカーは年齢でやるものではないが、まだまだ成長途上にある両選手が、ここからの1年半で飛躍的に進化する可能性は大きい。1年半後のワールドカップに向けて彼らが歩んでいく日々に注目していきたい。

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