作家・青山美智子 新作小説「人魚が逃げた」を書きあげて「“神様、私に小説をありがとう”って本当に思った」

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2024年11月28日 11:20  TOKYO FM +

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作家・青山美智子 新作小説「人魚が逃げた」を書きあげて「“神様、私に小説をありがとう”って本当に思った」
TOKYO FMの音声配信プラットフォームAuDee(オーディー)の番組「元・本屋の新井、スナックのママになる。」。“日本で一番有名な書店員”の新井見枝香がAuDee内に「スナック新井」を開店。小説家、編集者、書店員に踊り子のお姉さんなど、さまざまなお客様をお招きし、出版事情の裏側や、いま一番切なくなる漫画、書店とストリップ劇場の未来にいたるまで、“大人のここだけ事情”をトークしていきます。

11月11日(月)の配信では、作家の青山美智子さんがゲストに登場。11月14日(木)に発売された短編小説「人魚が逃げた」(PHP研究所)を書くことで得た「気づき」について語ってもらいました。


(左から)パーソナリティの新井見枝香、青山美智子さん



青山美智子さんは1970年生まれ、愛知県出身。大学卒業後、シドニーの日系新聞社で記者として勤務。2年間のオーストラリア生活ののち帰国し、上京。出版社で雑誌編集者を経て、執筆活動をスタートします。デビュー作「木曜日にはココアを」が第1回宮崎本大賞を受賞。「猫のお告げは樹の下で」で第13回天竜文学賞を受賞します。「お探し物は図書室まで」「赤と青とエスキース」「月の立つ林で」「リカバリー・カバヒコ」と、2021年から4年連続で本屋大賞にノミネートされています。

◆評価されるべきは“表現者”だけではない

青山:「人魚が逃げた」を書けたことで、自分のなかの一皮がむけた。

新井:そうなんだ!

青山:毎回新たなチャレンジって言ってはいるんだけど(笑)。改めて、自分は小説を書くのが好きなんだなって思った。毎回、書きあげたときにボロボロと涙が出てくるんだけど、今回は特に強く感じた。「神様、私に小説をありがとう」って本当に思ったし、これからも小説が書きたいなってすごく思った作品になった。

新井:すごい!

青山:本編にはアンデルセンが出てくるんだけど、そもそもアンデルセンの人魚姫にするかどうかも決まっていなくて。途中から人魚姫をベースにしようってなったから、最初から狙ったわけではなかったんですよ。

新井:へええ!

青山:アンデルセンの自伝がめちゃくちゃ面白かったの。アンデルセンってめちゃくちゃ変な人っていうので有名だったんだけど、すごく共感した。アンデルセンの変な部分に「私もこれと同じことやるわ!」と思った。

新井:アンデルセンって生きているうちに評価はされていたの?

青山:されていました。人魚姫が出世作なんですよ!

新井:そうなんだ!

青山:それまで童話は文学としてあまり認められていなかったんだけど、アンデルセンって自分の創作で童話を書いた第一人者なんですよ。アンデルセンのことをいろいろ知ったけど、今存在していない人のことを知れるのって書物が残っているからなんだよね。彼が書いた自伝や、彼にまつわる手紙が残っていて、それをちゃんと本として残そうとした人がいたから私たちは読めるわけですよ。

アンデルセンはもちろんすごいんだけど、それを残そうとした人たちの功績もすごいなって思うんですよね。今で言う編集者とか書店員、印刷屋さん、そして読者だよね。読者さんが読みたいと思ったから、その本を作るわけだから。そういうのをすごく感じたの。

新井:子どもの頃に読んだ、有名な人の伝記ってそもそも何のためにあるんだって考えちゃった。あれを作りたいと思った人がいる、という事実をもうちょっと考えたほうがいいんだよね。

青山:伝記もほとんどがフィクションだと思うんだよね。自伝だってさ、自分の都合が悪いことはきっと書かないじゃない? そこも込みでフィクションとリアルの境はなくていいんだなって思った。みんな、自分の世界で生きればいいんだよって思う。


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音声版「元・本屋の新井、スナックのママになる。」
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<番組情報>
番組名:元・本屋の新井、スナックのママになる。
配信日時:隔週月曜・10時配信
パーソナリティ:新井見枝香

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