「橋が落ちる!」「怖い怖い」。兵庫県知事選挙最終日となった11月16日、神戸・三宮センター街は聴衆が膨れ上がり、一時騒然となった。斎藤元彦氏のスピーチを見に集まった聴衆が商店街の歩道橋に集まると、サイレンが鳴り響き、歩道橋下の人たちが「橋が(重みで)曲がってるやん」「(橋が)折れる!」「ビルの中に入って」と橋上の人たちに離散するよう呼びかけ、「センター街の歩道橋が重量オーバーで警報が鳴り危険な状況に」とX(旧Twitter)に投稿された動画が広く拡散された。
【写真】「人が動かなくなった」斎藤元彦氏の知事選ラストスピーチのため、ブリッジにも聴衆が集まった
まとめサイトでは「センター街歩道橋、重量オーバーで警報発動!崩落寸前の危機を回避」などと伝えられた。果たして歩道橋は重量オーバーによってサイレンが鳴ったのか。橋は曲がってしまったのか。三宮センター街1丁目商店街振興組合の桂隆(かつら・たかし)事務局長に聞いた。
11月16日夕方、三宮センター街東口は兵庫県知事選に立候補した大澤芳清氏や稲村和美氏、斎藤元彦氏が次々に演説を行い、人が増えていたという。
「大澤さんの演説の時からブリッジ(歩道橋)に人がいて、その後、稲村さん、斎藤さんと立候補者が変わるうちに、どんどん聴衆が増えていった」
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橋の上では桂事務局長ら商店街関係者や、ブリッジとつながるマルイの関係者、警備員が「(橋を)通り過ぎてください」と呼び掛けていたが、斎藤さんの演説前に身動きが取れないほど聴衆が膨れ上がり、「ブリッジに人がとどまり、動かなくなってしまった」と振り返る。維新参議院全国比例区支部長の飯田哲史さんが「三宮、爆発的な人出。一歩も動けないぐらいの集まり!」とXに投稿した写真には、橋の上にも聴衆が集まっている様子が写っていた。
商店街に架けられたブリッジは、1995年の阪神・淡路大震災後、設けられたもの。「多くの人が滞留するための場所じゃない」。ヴィッセル神戸でプレーしたイニエスタらスターや芸能人、国会議員が訪れた時にもなかったという規模の人出に「今まで商店街にこんなに人が集まったことはない。どのくらいの重量までもつのか分からない」と焦りを募らせていた。
そんな時、「(橋が)たわんでる!」と橋の下の群衆から声が上がった。危機を感じた警備員が持っていた拡声器のサイレン機能をオンにし、けたたましい警報音がアーケードに響いた。
橋の近くにいた聴衆は「橋が落ちる」「怖い怖い」「(橋の上から)動いて!」と身振り手振りを交えて大声を上げ、橋の左右に人々が分かれた。騒動を聞きつけた警察も駆け付け、橋を通行止めにし、雑踏事故などの危険は回避された。
重量オーバーによる警報ではなく、警備員のとっさの判断によるサイレン発動だったが、警官からは「(雑踏事故を防ぐことができて)結果的に良かった」と言われたという。
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また、商店街を挟むマルイ2階と南側の建物をつなぐブリッジは、二つの建物に高低差があるため、もともと傾いている。桂事務局長は「傾斜のある橋を見上げた人が『たわんでいる』とビックリしたんじゃないか」「人が集まり、橋が揺れていたことも影響したと思う」と話した。
(まいどなニュース・伊藤 大介)