FIAがアウディの不利を緩和する財務規則変更を推進。スイスの高賃金を考慮した調整目指すも、ライバル全チームが反対

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2024年11月28日 17:40  AUTOSPORT web

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アウディF1ショーカー(ローンチ・リバリー)
 ハースF1チームの小松礼雄代表は、ザウバーを買収して2026年からF1に参戦するアウディがメリットを得るコスト上限の調整案に対し、残りの9チームが反対していることを明らかにした。この案は賃金が高い国を考慮してコスト上限を調整するというもので、スイスに拠点を置くアウディ/ザウバーが最も大きな恩恵を受けるものと考えられている。

 小松代表は、この計画が重大な複雑化を招き、スポーツの財務レギュレーションに“厄介な問題”を引き起こす可能性があるという強い懸念を表明した。

 2026年からアウディのファクトリーチームとなる現在のザウバーは、スイスに拠点がある。スイスは賃金が高いため、イギリスやイタリアに拠点を置くF1のライバルチームと比べ、財政的に不利な状況にある。

 FIAは、経済協力開発機構のスイスの賃金データをもとに2026年のコスト制限ルールを改正し、スイスのより高い物価と賃金を考慮した調整を行うことで、こうした格差に対処することを目指している。

 しかし小松代表は、FIAの提案は危険な前例となるとして声高に批判している。

「なぜスイスに拠点を置くチームには免除が認められるのでしょうか。チームをどこに設立するかは各チームが選択します。ロンドンとオックスフォード、そしてイングランド北部では物価が異なります」と小松代表は説明した。

「では、どこで止めるのか。どこで線を引くのか。そうしたことを考えると、社会保障やその他のあらゆるものを考慮する必要があります」

「また、人々がスイスに住む理由はさまざまなのではないでしょうか。以前、ザウバーからある人を雇おうとしたのを覚えていますが、彼はチームと山を愛していました。だからイギリスに来たがらなかったのです。つまり、こうしたすべてのことが諸要素に含まれるのです」

「ひとつの側面だけを見て『ここはより高い』と言うのは非常に危険だと思います。ビールか何かの値段だけを見て、『ここはより高いから免除すべきだ』と言うことが可能になります」

 小松代表は、F1チームがほぼ全会一致でFIAの提案に反対していると明かした。

「実際には、F1コミッションの会議では、ザウバーを除く全チームが反対しています。ですから、なぜFIAがそれを全面的に進めようとしているのか分かりません」と小松代表は語った。

 小松代表は、フェラーリやレッドブルといったチームが施設を運営しているイタリアなど他の国の経済状況の違いを無視して、スイスのコスト問題に取り組むことの公平性についても疑問を呈している。

「それでは、イタリアの人たちはどうなのかと言わざるを得ません。フェラーリとRBもイタリアにいくつか施設を持っています。また、我々には半分イタリア、半分イギリスの施設がありますが、どこで止めるのでしょうか」

 小松代表は、イタリアでは入国した専門家に対して最初の4年間は税制優遇措置が設けられており、これが財務ルールの標準化の試みをさらに複雑にしていると指摘した。

 メルセデスからフェラーリに移籍したシャシー担当テクニカルディレクターのロイック・セラを例に挙げ、小松代表は「彼を例に使いたくはありませんが、イギリスからイタリアに上級エンジニアが移籍した場合、イタリアでは確かに大きな経済的利益が生じます」と語った。「それは相殺されているでしょうか。もちろんそんなことはありません」

 小松代表は、この特定の問題以外にも、複雑さが増すと新たな課題が生じることが多いと主張し、FIAの規制へのアプローチを批判した。

「あらゆる側面から検討しなければ、完全に公平にするのは非常に難しいことです。あらゆる次元を見ることはできるでしょうか。私はそうは思いません」と小松代表は語った。

「FIAをあまり批判したくはないですが、予選でのセーフティカー導入の時間やトラックリミットといった競技規則など、他のルールにも言えることです」

 小松代表は、過剰な規制は裏目に出る可能性があると警告した。

「特定の詳細を定義して規制すればするほど、あらゆるシナリオを確実にカバーする必要が出てきますが、詳細にすればするほど、それらをカバーするのが難しくなり、別の問題が生じるのではないでしょうか」と、小松代表は主張した。

「そうして、もし彼らが『スイスは免除』と言ったら、次は何が起こるのか。これは予選でのセーフティカーの時間の問題のようなもので、彼らは予選やアウトラップなどにおけるひとつの問題を解決しようと試みましたが、その後、別の問題を生み出しました」

「ですから私としては、シンプルにしておくほうがはるかによいと思います」

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