バスケットボール男子日本代表の渡辺雄太(30=千葉ジェッツ)が28日、日本協会へ不信感を示している八村塁(26=レイカーズ)について自ら言及した。28日、都内でオールスターゲームの出場選手発表会見に出席後、報道陣からの質問には応じない形式で説明の場を設定。八村とトム・ホーバス監督(57)の確執を「事実」と認め、「僕もちゃんと代表の一員として、責任をもってこの問題に向き合っていく」と関係修復に努める姿勢を強調した。
両者に亀裂が入ったのは昨夏のワールドカップ(W杯)後の会見だった。48年ぶりの自力出場を決めたパリオリンピック(五輪)へ向け、ホーバス監督が「彼(八村)がやりたいなら、彼から声をかけてくるべき」と発言。これに八村が不信感を覚え、関係が悪化した。ただ実際には、代理人の意向で日本代表のコーチ陣と八村とは直接連絡ができず、指揮官は「こちらから連絡をとれないから、塁から連絡をしてほしい」との意味で発言したのだという。それが誤解を招き、2人の溝は深まっていった。
渡辺はこうした経緯を説明した上で、ホーバス監督について「僕は日本代表のヘッドコーチとして誰よりもふさわしいと思っている。僕だけではなく、代表に関わるほとんどの人がそう思っている」と支持を表明。騒動後も自ら連絡し、精神的に疲弊した指揮官からの「しんどい」という“本音”も受け止めてきた。
一方で今月13日から批判を展開している八村へも直接コンタクトをとり、思いを確認。この日の対応にあたっても、事前に「僕なりの意見をメディアの前で話す。塁と対立する気はない」と伝え、本人から「大丈夫」と了承を得ていた。
八村に対する非難の声も増えつつあるが「塁も自らこういう発言をするとは思えない。おそらく(報道陣から)聞かれたから言ったんじゃないか」と冷静に推測。昨季までNBAで6季にわたってプレーした経験を踏まえ「僕はNBAでやっていく大変さを知っているからこそ、塁はNBAに集中してほしい。塁はNBAで頑張っている。そこにはリスペクトをしていただきたい」とフォローした。
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15分30秒にわたった説明では、渡辺が把握している事実と個人的な意見とを明確に区別した上で、つとめて整然と語り明かした。「彼ら2人がより良い関係を築いていけるように、コミュニケーションを活発にとっていけるようにしたい」。伝え方によっては自らも批判を浴びる可能性があった中、責任感に満ちた言動を見せ、事態解決への強い覚悟を示した。【藤塚大輔】
◆八村の発言 今月13日に日本協会の姿勢をビジネス優先とし、代表活動の在り方について批判を展開。23日にも再び苦言を呈し「プレーヤーファースト(選手第一)の精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくないし、そういう団体とはやりたくない」「(ホーバス監督の)練習のやり方、ミーティングも世界レベルではない」などと話していた。
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