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米NASAは11月26日(現地時間)、通信トラブルを起こしていた惑星探査機「ボイジャー1号」の再稼働に成功し、通常運用を再開したと発表した。ボイジャー1号では10月、主要な無線送信機「Xバンド送信機」に問題が発生。原因の特定や復旧が進められていた。現在は、問題が発生する前の状態に戻す修復作業も終えているという。
NASAは11月初旬にXバンド送信機を再稼働させ、18日週から観測データの収集を再開した。他にも、搭載する3つのコンピュータを同期させるシステムのリセットなども完了したという。
NASAによると、Xバンド送信機が停止した原因は、探査機の故障を保護するシステム。エンジニアが探査機のヒーターを稼働させた際、システムによってXバンド送信機が停止したという。保護システムは、探査機の電力が少なくなると、探査機の飛行に必要なシステムの電力を維持するために、それ以外のシステムを自動でオフにする。しかし、すでに飛行に不必要なシステムを切っていたため、Xバンド送信機が停止したとしている。
今回のような問題が発生した背景にあるのは、探査機で使える電力の減少だ。およそ47年前に打ち上げられたボイジャー1号は、プルトニウムが崩壊する熱を電力に変換している。しかし、毎年約4ワットのペースで電力供給量が低下しているという。
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対策として、NASAでは2019年ごろから、飛行に必要のないシステムを電源をオフにし始めた。しかし部品の経年劣化などにより、電力量を予測するコンピュータモデルの不確実性も高まっているという。
NASAは、ボイジャーの老朽化について「技術的な問題と複雑さが増し、ミッションエンジニアリングチームにとって、新たな課題になっている」と説明している。
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