久保建英の「連係力」がさく裂 アヤックス戦1G1Aの活躍に地元紙が「魔法」と激賞

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2024年11月29日 17:10  webスポルティーバ

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 11月28日(現地時間)、レアレ・アリーナ。ヨーロッパーグ(EL)でオランダの名門アヤックスを迎えたレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は、エースの久保建英が華々しいゴールを決めている。ELでは、ビジャレアル時代以来の得点だ。

 自らの見事なアシストで1−0とリードしていた終盤だった。右サイドに陣取った久保は、相手のクリアボールを敵陣で拾うと、そのままドリブルに入る。すると、彼が進むべき道ができたように、するすると切り込む。敵選手をことごとく立ちすくませ、まるで魔法をかけたようだった。そして最後は鋭いカットインから、左足でコントロールしてゴールに突き刺した。

「2点目のシーンは、久保は何ができるかを、完璧に説明していた。彼はこうした急発進で切り込んだ時、短剣そのものになる」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、久保のゴールをそう評している。しかし、相手を剣で斬って捨てると言うよりは、一時的にフリーズさせる"呪術"のようでもあった。

「(1−0でリードしていたが、安定しておらず)チームは終盤の準備はできていなかったはず。そこで久保が魔法の瓶を開け、勝利を確実にする1点を決めた。背番号14がラ・レアルのELに望みをつなげたと言える」(『アス』)

 久保はチームを双肩に担っていたが、その魔法にはタネがあった。

 この日のラ・レアルは、不甲斐ない内容、結果だったバスクダービー(アスレティック・ビルバオ戦)での不名誉を挽回しようと、立ち上がりからミケル・オヤルサバルを中心に強度の高さを示している。しかし、単純に強いプレッシングや前に行く姿勢だけでノッキングした。アヤックスのキープ力の高い選手に起点を作られると、多くのセットプレーを許し、むしろ劣勢だったと言えよう。

 それを劇的に変えたのが久保だった。

 前半43分、久保は右サイドから左サイドにずれ、スペースを見つけると、アイエン・ムニョスからのパスを引き出す。そして絶妙にテンポを作り、シェラルド・ベッカーにスルーパス。そのクロスをオヤルサバルがターンからシュートに持ち込む。ボールは枠を外れたが、決定機だった。

【ゴールに結びついた「連係力」】

 久保は連係の渦の中心になることで、簡単にチャンスを作り出していた。サッカーでは、コンビネーションを作るほうが、効率的な攻撃を生み出せる。そこでのスキル、ビジョンこそ、"センス"と言われる。

 その一方、久保は「個」の強さも見せつけている。

 前半アディショナルタイム、自陣でオヤルサバルからのパスを引き取ると、猛然とドリブルをスタート。久保番だったヨレル・ハトに、悪夢をよぎらせた。結局、折り返しのパスがブロックされたところで放った右足シュートは外れたが、「ゴールに向かう手段はいくらでもある」と敵を精神的に追い込んでいる。

 後半の久保は、心理戦でハトを凌駕していた。オランダ代表左サイドバックを、ものともしていない。縦への突破から右足での決定的なクロスなど、警戒心から飛び込めなくなった相手をなぶるようだった。

 昨年10月、サン・セバスティアンでの取材で、ラ・レアルでレジェンドと言われる元選手たちに、久保のプレーの特徴について聞いているが、共通していたのは「連係力の高さ」だった。

「周りを使い、使われるコンビネーション」

 それは、誰しもに与えられているわけではない。このセンスを持っていることで、限りなく選択肢が増える。だからこそ、久保の個人での突破にも、相手は後手に回らざるを得ない。必然として、ディフェンスにパニックが起こるのだ。

 アヤックス戦は、その点で象徴的だった。

 66分、久保は右サイドバックで途中出場したホン・アランブルとの素早いパス交換で右サイドを突破し、内側を攻略。ハトを置き去りにし、左足での精度の高いクロスを、ファーサイドから飛び込んできたアンデル・バレネチェアに合わせ、先制に成功している。

 その連係力を思い知らせていたことが、冒頭のダメ押しゴールに結びついた。

 言うまでもないが、それは魔法でも、呪術でもない。さまざまな手数を見せていたからこそ、敵はすでに混乱していた。アヤックスはハトを下げ、新たなマーカーを送り込んできたが、後ろから久保を削るしか能がなく、イエローカードを献上。そして、まるで道が開け放たれたかのような不思議な現象が起きたのだ。それは必然だった。

「久保がまたもチームを背負う戦いを見せた!」

 スペイン大手スポーツ紙『マルカ』は、手放しで称賛している。

 ELのグループフェーズで脱落圏にいたラ・レアルは一気に16位までジャンプアップ。9〜24位のチームに与えられるノックアウトフェーズプレーオフ圏に入った。残り3試合、ディナモ・キエフ、ラツィオ、PAOKというチームとの決戦になる。

 ラ・レアルは欧州で夢を見続けられるか、そのカギを握るのは日本人だ。
 

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