「デートDV」とは、交際相手から受ける暴力のことです。三重県に住む大学生の女性は、高校時代に交際相手から教室などで性暴力を受けたと訴えます。しかし、被害を学校や警察に相談しても「助けてもらえなかった」と話しています。(「news23」11月21日の放送より)
【動画で見る】デートDV被害女性の訴え 高校時代の同級生から教室などで性暴力 学校・警察に被害相談しても「助けてもらえなかった」
教室でも…交際相手から性暴力高校入学を迎えた春。憧れの制服に袖を通し満開の桜の下でおどけて撮った写真。
しかし、20歳になった女性は今、“高校時代の記憶”に苦しみ続けています。
大学2年 美咲さん(仮名)
「学校に対してや、加害者に対しての怒り、色んな思いを毎日めぐらせて生きている状態」
母親とともに取材に応じた大学2年の美咲さん(仮名)は、高校時代に交際していた同級生の男子生徒から性暴力を受けたと訴えます。
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美咲さん(仮名)
「高校3年生の夏から秋にかけて同級生から性暴力を受けて。性暴力というのは学校の中でもあって、公園とか人目につく場所が多くて・・・」
最初に被害にあったのは近所のグラウンド。被害を打ち明けられた母親によると男子生徒から「花火をしよう」と呼び出され、角にある公衆トイレに連れ込まれたのだと言います。
美咲さんの母親
「この壁に手をつくように言われたそうで。下(の服)を脱がされて、後ろから逃げても押さえつけられて…」
他にも、近くの公園や、学校の空き教室に呼び出され性行為を強要されたという美咲さん。
男子生徒が、行為中の美咲さんの様子や次に会う日時などをグループLINEなどで友人に拡散したこともあったと話します。
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美咲さん(仮名)
「加害者の家で被害を受けているときに、(友人)2人が突然、チャイムもノックもなしに部屋に入ってきて。笑いながら、見世物にされた感じで」
別れ話を切り出せば逆上され、「一緒に死のう」と脅されたと言います。
美咲さん(仮名)
「嫌だって言ったが脅されたりもしたので抵抗できずに…途中から嫌だという気力もなくなって、自暴自棄の状態に今思えばなっていた」
その後、相手方の両親を交え話し合いが行われ、交際関係は解消しましたが美咲さんの苦しみはこれで終わりではありませんでした。
美咲さんの母親
「とにかく謝ってほしいということと、二度と近づかないという約束をしてほしいという話をしたが、向こうの親としては親が口を挟むのはやり過ぎではないか、妊娠でもしたのかと」
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相手側は交際していたのだから「同意があった」と主張。警察にも相談しましたが「証拠がない」「明確に拒否していないなら同意だ」として被害届は受理されませんでした。
一方、両親によると高校側は、男子生徒を自宅謹慎にしましたが…
美咲さんの母親
「同級生にも(情報を)拡散されていて、レイプされている現場に(同級生)2人が乗り込んできて。在学中もその辺は訴えたんですけど、結局、同級生には聞き取りはされていませんし」
両親は、教室で被害に遭っている事や友人に情報が拡散されている事から「いじめ重大事態」として詳細な調査を求めましたが、返ってきたのは「警察が対応すべき」との回答でした。
高校の回答
「警察こそが主体的に対応していただくことが適切な事案である。本件は教育的行為と関連のない生徒間の男女問題であり、学校主体の第三者委員会になじむものではない」
美咲さん(仮名)
「どこにも助けてもらえなくて、不信感だったり、裏切られたというショックがあって…」
泣き寝入りはしたくないと卒業から9か月がたった去年12月、美咲さんは会見を開き被害を訴える事にしました。
高校側は今年になって第三者委員会を設置しましたが、「情報拡散にかかわった同級生ら」が調査対象になっておらず、両親は真相が明らかにならないのではと不安を抱いています。
一連の対応について高校側は「第三者委員会の調査が進んでいるのでお答えできない」と回答しています。
被害を訴えてから丸2年。美咲さんは今もPTSDに苦しんでいます。
美咲さん(仮名)
「寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めて悪夢を見たり。人生の中のこの2年が塗りつぶされているような感じ」
藤森祥平キャスター:
2023年の内閣府の調査では、女性で22.7%、男性は12.0%が交際相手から暴力被害を受けているそうです。このうち、どこにも相談していない割合は、女性が37.4%、男性が43.2%となっています。男性、女性と数字に違いはあれど苦しんでいる方がいるということですね。
小川彩佳キャスター:
内閣府調査では「相談するほどのことではない」「自分にも悪いところがある」「自分さえ我慢すればいい」などと考えて、誰にも相談していない人がいることもわかっています。泣き寝入りしてしまうことも多いということです。
教育経済学者 中室牧子さん:
小学生や中学生も被害者の中に含まれていて、学校で対応している事案が非常に増えているのですが、学校に子どもの性被害の対応を経験したことがある教員が少なく、被害児童に対する支援が十分でないという批判はあります。
藤森キャスター:
こうしたDV被害に詳しい専門家、「エンパワメントかながわ」の阿部真紀理事長によると、「性的同意っていうのは『セックスしていい?』って聞いて『いいよ』と言って初めてできる。1回だけではなく毎回とらなくてはならない。中学・高校の段階から予防教育が必要になってくる」とのことです。
小川キャスター:
さらに「DV防止法」がありますが、対象は配偶者や同居する交際相手であり、美咲さんの事案のような「デートDV」は対象外です。美咲さん側は学校などに更なる対応を求めていて、来週会見を開くということです。
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<プロフィール>
中室牧子さん
教育経済学者
著書「学力の経済学」など 教育をデータに基づいて分析