“自分の居場所”を求めて、『東北楽天ゴールデンイーグルス』退団を選択した田中将大投手(36、以下敬称略)。日米通算で197勝を積み重ねた、野球界を代表するレジェンドだけに手を挙げる球団がすぐに現れると思われたが、現実はきびしかった。
「実績がありすぎて、他の選手、若い子たちがどうなのかなって。年俸も下がるだろうし」
『北海道日本ハムファイターズ』球団納会に参加した新庄剛志監督(52)は、2億6000万円の高額年俸からダウンすること、また若手選手への影響を考慮した上で田中獲得に慎重な姿勢を示している。
片や、有力候補とされた『東京ヤクルトスワローズ』はというと、12月3日付けの「夕刊フジ」がヤクルトの球団幹部の話として、
《「ウチは獲らない。今年の投球は全然ダメで、戦力として使えないと判断したので動かない」》
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プロ野球復帰後は全盛期と程遠い投球の田中に対し、純粋に「戦力にならない」と厳しい評価を下しているようだ。
そしてセ・リーグを制しながらも日本シリーズ出場を逃した『読売ジャイアンツ』。MVPの菅野智之(35)が海外FA権を行使してのメジャーリーグ移籍を目指しているだけに、契約がまとまれば“大黒柱”を失う。その“穴埋め”として獲得に動くとも。
巨人の優先順位は石川と上沢か
「巨人なら年俸は問題にならないでしょうし、200勝を達成すれば興行面でもプラスになるのは間違いないところ。菅野がつけていた“18番”も用意でき、またマー君とは小学生時代にチームメイトだった坂本勇人(35)もいるだけにチーム内で浮くこともないでしょう。移籍先としてはピッタリと当てはまります。
ただ現時点での優先順位は、FA宣言した石川柊太(32、福岡ソフトバンクホークス)と、アメリカ帰りの元日ハム・上沢直之(30)。この両右腕の動向次第では、マー君は見送られるかもしれない」
ストーブリーグ事情に詳しいスポーツライターによると、つまりは各球団が“動かない”現状にあるのだが、水面下で虎視眈々と“機”を伺っている球団があるとも。
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球団史上初の3年連続最下位でシーズンを終えた、立浪和義元監督が辞任したばかりの『中日ドラゴンズ』だ。しかしながら来シーズンの指揮をとる井上一樹新監督(53)は、
「会社と話したわけではないが、オレの中ではちょっと薄いかな」
早々に“撤退”を匂わせたのに対し、中日OBで元楽天監督の田尾安志(70)は12月2日に自身のYouTubeチャンネルで、
「中日の井上監督はちょっと消極的ということなんですが、今のチーム事情からすると来シーズンやってくれるんじゃないかなという期待値も高いので。きてくれるのであれば、ドラゴンズは獲る方向に向いた方がいいのではないかと思います」
球団に獲得を進言しつつ、田中にも「お金じゃないというところを見ててほしい」と中日入団を勧めている。
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1500万円の格安契約で中日入り
「かつて田中と同じように、帰国後に3年12億円の大型契約でホークスに迎えられるも、たび重なる怪我もあって満足に投げられずに退団した松坂大輔。現役続行を表明するも、引退危機に立たされた彼を12月下旬、最後の最後に拾い上げたのが中日でした。
翌2018年1月、入団テストを受けて中日入りした松坂に用意された年俸は1500万円。戦力としてというよりも、話題作りや経済効果を重視しした補強とも見做され、実際、シーズン開幕前にはグッズ販売で“元”がとれたと言います」(前出・ライター、以下同)
ところが入団後、松坂はいい意味で“期待を裏切る”。移籍後のシーズンで6勝を挙げると「カムバック賞」を獲得し、オフには8000万円の昇給を勝ち取る。背番号も「99」から「18」に変更されたのだった。
「プライドをかなぐり捨てて現役にこだわった松坂は、最後にすがった中日で実力で復活を遂げました。マー君もお金にこだわっているわけではないでしょうが、“オファーを待つ”という受け身ではなく、自分から“どんな条件でも投げたい”とアピールするくらいの気概を見せないといけないのかも。
10月下旬に亡くなった元オーナー・白井文吾(享年96)さんがご健在だったなら、今ごろは“鶴の一声”で獲得に動いていたと思います。来シーズンへの巻き返しのためにも、まずはファンを喜ばせるような明るい話題がほしいところですね」
このまま移籍先が見つからなければ“引退危機”も囁かれる田中だが、プライドを捨てて現役にしがみつくのか、それともーー。