※ネタバレあります。
「『踊る大捜査線』シリーズはフジテレビのキラーコンテンツ。スピンオフを含めると8作も映画化されています。正直、ドラマで終わっていたら楽しい世界線のままだったのに、と思ってしまいます」(ドラマウォッチャー)
現在公開中の『室井慎次 生き続ける者』で、柳葉敏郎演じる室井が亡くなる衝撃のラストにドラマファンからは悲鳴が上がっている。
「ドラマで完結していてほしかった──」
この12月には、『グランメゾン東京』『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の映画版も公開に。
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そこで、テレビドラマは最高だったのに、映画化でがっかりしてしまった作品を1000人の視聴者に聞いた。
“ゆとり”のないバタバタ展開にうんざり?
「ドラマから引き続き笑えるし、ジーンとくるシーンもあったんだけど、期待しすぎてしまったからちょっとがっかり」(40歳・東京都)
「新キャラの韓国人役をぶち込んできたから冷めた」(大阪府・36歳)
5位にランクインしたのは、宮藤官九郎脚本、主演に岡田将生、松坂桃李、柳楽優弥の3人を迎え、ゆとり世代の男性たちを描いた人気ドラマ『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系・'16年)。
ドラマ放送から7年後の昨年、『ゆとりですがなにか インターナショナル』が公開され、オリジナルキャストに加え木南晴夏や上白石萌歌などが新たに参戦。ヒットはしたものの、テレビ版が好きすぎるファンにとっては「がっかり」だったようで。
「ドラマ版と変わらずキャストそれぞれが芸達者で笑えるのですが、下ネタが多すぎだったり、ドタバタに終始したのが残念でした。最後に『つづく』と出たので、これで終わりじゃないのはうれしいですが、テレビスペシャルでもよかったんじゃないかなと思ってしまいました」(ドラマウォッチャー、以下同)
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大人気BLドラマのカップルにヤキモキ
「モヤモヤした終わり方はやめてほしい」(神奈川県・36歳)
「最後のシーンの意味がわからないってどういうこと?」(山梨県・39歳)
視聴後にモヤモヤを抱える観客が多かったのが、ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』('18年・フジテレビ系)。韓国ドラマのリメイク版として坂口健太郎主演、主題歌をBTSが担当した。
謎の無線機が現在と過去の2人の刑事をつなぎ未解決事件を解決していくというストーリー。ドラマ版ではさまざまな解釈ができるラストで、続編に含みを持たせていた。
待望の『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』('21年)では日本オリジナルストーリーで期待も高まったが──。
「映画版ではいよいよ大山(北村一輝)と三枝(坂口)が会えると思っていたのに結局、最後まで会えないまま。韓国ドラマ版に忠実に作ったのでしょうが、劇場版は日本オリジナルなんだから会わせてほしかったです。
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また、謎を多く残したまま終わってしまった。ドラマではそこまで主張が強くなかったBTSの主題歌、挿入歌ですが劇場版ではこれでもかと流されてファンじゃない人にはうるさく感じたかも」
「続編やる意味あった?」(静岡県・39歳)
「せっかくドラマでいい感じに終わったのに台無し」(千葉県・41歳)
3位にランクインしたのは社会現象をも巻き起こした『おっさんずラブ』(テレビ朝日系・'16年)。田中圭演じる春田創一をめぐって黒澤武蔵(吉田鋼太郎)、牧凌太(林遣都)が火花を散らすラブコメディー。
放送から3年後の'19年に『劇場版おっさんずラブ LOVE or DEAD』が公開され、ヒットはしたものの満足度は低い結果に。
「ドラマで結ばれた春田と牧を引き離してしまうように見えるラストは、ドラマファンからしたらがっかりですよね。大げさな爆破演出などもいらなかったし、テイストが変わってしまったのが何より残念でした。
この劇場版の評価を覆したかったのか、パラレルワールドと称したシーズン2『おっさんずラブ―in the sky―』は、林さんも出ていないし、航空会社を舞台にしてコケました。
林さんが復帰した『おっさんずラブ―リターンズ―』は再び、春田と牧が幸せになるラストだったので、もうこれで完結して劇場版は勘弁、と思っているファンは多いと思います(笑)」
カップル推しも多かっただけに、彼らが離れることはNG?
「風呂敷広げすぎて意味不明」(千葉県・50歳)
「大島優子がかわいそうだけど役が浮いちゃっていた」(東京都・44歳)
2位にランクインしたのは『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』(TBS系・'10年)。戸田恵梨香と加瀬亮がバディを組み、捜査一課が手に負えない超能力などを使った特殊な事件を捜査する。
『ケイゾク』('99年)と同一の世界線であることから『ケイゾク・サーガ』と呼ばれることも。
「同作は連続ドラマのあと、スペシャルドラマ『SPEC〜翔〜』('12年)があり、劇場版『SPEC〜天〜』('12年)と続き、またスペシャルドラマ『SPEC〜零〜』('13年)から『劇場版SPEC〜結〜』('13年)の前後編で完結します。
完結といっても『結』に至るころには世界観が壮大すぎてついていけなくなった視聴者が多い。当麻(戸田)が無間地獄に落ちるというのも後味が悪い。
劇場版から登場した大島優子さんの演技が当時とても叩かれていましたが、あの役の正解の演じ方はあるのでしょうか(笑)。誰がやっても無理だと思いますよ」
他の作品がここ5年以内に公開されたのに対して、10年以上前の作品が唯一ランクイン。ドラマと劇場版の格差がよっぽどひどかった?
希望に満ちた感動作のはずだったのに……
「希望を描いてほしかった。引退した子役がこの作品のためだけに復帰したのにあんな設定ひどい」(神奈川県・55歳)
「ドラマ版は優しい世界だったのに、島のみんなで先生を搾取しているように見えた」(愛知県・42歳)
「生田絵梨花の役いらないでしょ」(兵庫県・36歳)
多くの票を集めた1位は『Dr.コトー診療所』(フジテレビ系・'03年)。吉岡秀隆を主演に迎え、離島医療に情熱を注ぎ、命の尊さに執着する青年医師の孤軍奮闘を描く。
「吉岡さんの優しい語り口と島の人々の暮らしを丁寧に描いたドラマ版は、間違いなく名作。スペシャルドラマの他にシーズン2も放送され、このまま『北の国から』のような作品になるのではという期待も持っていたのですが……。
原作漫画があるので大きくそれたことはできないのはわかりますが、この劇場版はひどかった。これまでのドラマで一度も登場していないオリジナルキャラの生田さんを、さも今まで島にいたかのような役で登場させ、世界観を壊しました。
さまざまな苦労をした原親子(時任三郎・富岡涼)が報われる展開にしてほしかった。剛洋役の富岡さんは子役を引退後、この作品のために一時復帰して挑んだのに、あんな未来なら見たくなかった。コトー先生が最後、亡くなったのかどうかわからないラストはもっと見たくなかった」
亡くなってしまっては続きも見られない──。
「がっかり作品といっても今回はドラマ版は名作ぞろい。ドラマも映画も駄作で人々の記憶に残らない作品よりずっといい。だからこそ、映画化に落胆してしまう人が多いのでしょう。できるならこの5作品全部、ドラマの世界線のままもう一度作り直してほしい」
どの作品もドラマが名作ゆえに期待値も高まってしまうのだろう。安易な映画化はしないでほしい?