来る2025年シーズンのELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのフルシーズン・エントリーリストが12月3日に発表され、合計44台の参戦が決定した。内訳はLMP2が14台、LMP2プロ・アマが7台、新世代のLMP3が10台、LMGT3は13台となっており、前シーズンの43台から増加することとなった。
LMP2は2クラス合計で21台がエントリーしており、マシンはいずれもオレカ07・ギブソンだ。現王者のAOバイTFはPJ.ハイエットをファーストドライバーとして来年からプロ・アマクラスに参戦する。また、元シリーズチャンピオンのIDECスポールは、新しいジェネシスLMDhプロジェクトとの一環として初めてトップクラスで2台を走らせることになり、女性フォーミュラ・シリーズのWシリーズで3度チャンピオンに輝いたジェイミー・チャドウィックが、このフランスチームの最初のドライバーに指名された。
以前はクール・レーシングとして知られていたCLXモータースポーツは、CLXピュア・レクシングのバナーのもと、WEC世界耐久選手権LMGT3チャンピオンのアレックス・マリキンをメンバーに含む2台のオレカ07を走らせる。インター・ユーロポル・コンペティションが2台体制に戻る一方、パニス・レーシングはVDSパニス・レーシングに改名したうえで、アルピーヌWECドライバーのシャルル・ミレッシを擁する1台での参戦に。
レースの勝者であるアイアン・リンクス・プロトンも同じく1台。DKRエンジニアリングとベクター・スポーツも同様だ。プロトン・コンペティション、ニールセン・レーシング、アルガルベ・プロ・レーシング、ユナイテッド・オートスポーツはLMP2クラスと同プロ・アマの両方にエントリーし、TDSレーシングはAFコルセとともにブロンズドライバーのエントリーが義務付けられたカテゴリーに復帰することとなった。
王者RLR Mスポーツがタイトルを獲得したLMP3クラスでは、リジェ、デュケーヌ、ジネッタの3メーカーが2025年に向けてそれぞれ開発を行い、トヨタエンジンを搭載してレースにデビューする新型マシンが登場予定だ。
同クラスのグリッドは、RLRの15号車を含む10台中8台がリジェJS P325で占められるなか、WTM・バイ・リナルディ・レーシングはデュケーヌD09を、DKRエンジニアリングはジネッタG61‐LT‐P325エボでの参戦となっている。
■コルベット、マクラーレン、メルセデスAMGがグリッドに加わる
一方、LMGT3のグリッドは11台から拡大し、コルベットやマクラーレン、メルセデスAMGが初めてこのクラスにカスタマー・エントリーすることとなった。
TFスポーツは小泉洋史のためにシボレー・コルベットZ06 GT3.Rを1台、同じくWEC LMGT3に参戦するユナイテッド・オートスポーツはマービン・キルヒホーファーのためにマクラーレン720S GT3エボを1台用意する。先に発表されたアイアン・リンクスのメルセデスAMG GT3エボにはグスタボ・メネゼスが加わった。
その他のLMGT3エントリーには、いずれもフェラーリ296 GT3を使用するAFコルセ、スピリット・オブ・レース、JMWモータースポーツ、GRレーシング、木村武史を擁するケッセル・レーシングのほか、プロトンが運営するアイアン・デイムスのポルシェ911 GT3 R、クラウディオ・スキアボーニとマッテオ・クレッソーニのプロトン2号車が含まれる。
さらにレーシング・スピリット・オブ・ル・マンは、アストンマーティン・バンテージGT3エボでWECとELMSの両方へ参戦するプログラムを実施する。
リザーブリストにはLMP2プロ・アマのハイクラス・レーシングを筆頭に合計3台が名を連ねている状態だ。
■シルバーストンの復活はハイライトのひとつ
「来季2025年のチャンピオンシップは、ジェイミー・チャドウィック、シャルル・ミレッシ、ファビオ・シェーラーといったドライバーを中心に、大きく開かれており、熱く激しい戦いになることが予想される」と語るのは、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長。
「ヨーロッパ屈指のサーキットがシーズンの舞台となり、来年に向けて復活したシルバーストン・ラウンドはハイライトのひとつになるだろう」
ル・マン・エンデュランス・マネジメント(LMEM)のボスであるフレデリック・ルキアンは次のように語っている。
「この重要なチャンピオンシップが成長を続け、世界中から最高のチームとドライバーが集まるようになることを大変嬉しく思っている。2025年はメルセデスAMGのELMSデビューイヤーとなり、マクラーレンは2014年以来のELMS復帰を果たす。LMGT3に6メーカーが参戦する2025年はELMSにとって良い年になることだろう」
「今回もLMP2カテゴリーは7台のプロ・アマを含む21台という強力なラインアップだ。LMP3カテゴリーではリジェ、デュケーヌ、ジネッタのトヨタエンジンを搭載した新型車がデビューを飾り、新人ドライバーにとってもベテランドライバーにとっても、ル・マン・プロトタイプのマルチクラス・レースへの素晴らしい入門となるだろう」
「ELMSに復帰するチームとドライバー、そしてバルセロナでELMSデビューを飾るドライバーを温かく歓迎したい。4月にスペインで開催される初戦と、アクション満載のレースを楽しみにしている」
2025年シーズンのELMSは4月6日にスペインのカタロニア・サーキットで開催される『バルセロナ4時間』を皮切りにポール・リカール(フランス)、イモラ(イタリア)、スパ・フランコルシャン(ベルギー)、シルバーストン(イギリス)、ポルティマオ(ポルトガル)の計6戦で争われる予定だ。いずれもレース時間は4時間となっている。