眞子さま佳子さまが仲良く鑑賞した『アナ雪2』 日本に「女性天皇」が誕生しないのはなぜ?

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2024年12月06日 15:11  日刊サイゾー

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(写真/Getty Imagesより)

 プリンセス姉妹の葛藤と冒険を描いたディズニーアニメ『アナと雪の女王』(2014年)は世界的な大ヒットとなり、続編『アナと雪の女王2』(2019年)も興行的な成功を収めました。日本での興収は『アナ雪』が254.7億円、『アナ雪2』が133.6億円を記録しています。

 先週放映された『アナ雪』に続き、神田沙也加さんがアナ王女役で日本語吹き替え版を演じた『アナ雪2』が、12月6日(金)の『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で本編ノーカット放映されます。

 日本での劇場公開時には、秋篠宮家の眞子さまと佳子さまが仲良くチャリティー上映会に出席されたこともニュースになりました。そんな『アナ雪2』にまつわる話題を振り返ります。

神田沙也加さんの切々とした歌声

 前作から3年後。「アレンデール王国」の王女として生まれたエルサとアナの姉妹は、距離を置いていた時期もありましたが、今ではすっかり仲直り。姉のエルサは、なんでも凍らせてしまう魔法の力を制御できるようになり、アレンデール王国の女王として平穏に国を治めていました。

 そんな折、エルサは自分を誘う不思議な歌声を聞くようになります。時を同じくして、アレンデール国を次々と災害が襲うのでした。不思議な歌声の正体を確かめるため、エルサは冒険の旅へと向かいます。今回は、妹のアナ、雪だるまのオラフ、山男のクリストフとその相棒・トナカイのスヴェンも一緒です。

 神田沙也加さんが切々と歌い上げる「ずっとかわらないもの」「わたしにできること」など、感動的な曲がヒロインたちの冒険を彩っています。

北欧の先住民族に伝わる精霊信仰

 前作『アナ雪』は他の人とは異なる個性を持つことに悩む長女のエルサが、実家(王室)を飛び出し、精神的に解放されていく物語でした。長男や長女として生まれ、実家に縛られることを苦痛に感じている人たちにとっては、とても身近な問題を描いた作品でした。きょうだい間の軋轢を抱えている人たちにとっても、共感を覚える内容だったようです。

 続編は自分の個性を受け入れたエルサが、両親や祖父にまつわる秘密を知り、自身のアイデンティティーを確立するという、よりディープな物語となっていきます。

 北欧に言い伝えられる妖精トロールが前作に続いて登場しますが、今回は北欧の先住民族である「サーミ人」がフィーチャーされています。サーミ人は差別され、迫害されてきた歴史がありますが、古くから伝わるサーミ人の精霊信仰が『アナ雪2』の大きなモチーフとなっています。

 文化の多様性を積極的に取り上げるようになった、近年のディズニーアニメらしい物語だと言えそうです。大地の精霊・アースジャイアントが、東映アニメ『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)に登場する岩男・モーグっぽいビジュアルになっており、日本のアニメからの影響も感じさせます。

国連が改正を求めてきた皇室の伝統

 当時はまだ皇族だった眞子さまが、妹の佳子さまと一緒に『アナ雪2』を鑑賞したのは、2019年の12月でした。眞子さまが結婚してNYへと去った今では、ずいぶん昔のことのように感じられます。日本の皇室は、今世紀に入ってからずっと後継問題で揺れ動いています。女性天皇、女系天皇を認めるかどうかで、容認派と反対派とで意見が相容れない状態が続いています。

 現在の天皇にはひとり娘の愛子さまがいるわけですが、皇位継承権は弟の秋篠宮皇嗣殿下、次いで秋篠宮家の長男・悠仁さまとなっています。女性である愛子さまには皇位継承権は認められていません。これは皇室に関する法律「皇室典範」で「皇統に属する男系の男子」のみに皇位継承権があると定められているからです。国連の女性差別撤廃委員会が「男女平等な皇位継承を」と勧告してきたことでも注目を集めました。

 女性天皇は、飛鳥時代の推古天皇をはじめ、日本の歴史上これまで8人誕生しています。女性天皇を認めない人たちは、女性天皇は女系天皇につながり、皇室の歴史を変えてしまうことを懸念しているようです。女系天皇を認めると、神武天皇から男子に脈々と受け継がれる「Y染色体」が途絶えてしまうというのが大きな反対理由となっています。

「一夫一妻制」で皇室を続けるのは困難?

 ジャーナリスト・評論家の故・立花隆氏は2006年に刊行した著書『滅びゆく国家 日本はどこへ向かうのか』(日経BP社)の中で、興味深い考察をしています。

 長い長い歴史を持つ皇室ですが、実は嫡出子より、庶子(正室ではない女性から生まれた子)のほうがずっと多いそうです。明治天皇は9人の側室を持ち、生まれた男子は1人だけでした。その男子が大正天皇になったわけです。明治天皇も父・孝明天皇の側室の子どもでした。

 昭和、平成、令和と3代にわたって皇后との間に生まれた第一皇男子が皇位に就いていますが、皇室の歴史から見ると逆に珍しいケースのようです。戦後からは皇室も「一夫一妻制」となっており、男系の血統を今後も守っていくのは生物学的にかなり難しいと予測されています。

 男系維持論者たちは「男系の天皇たちは、神武天皇と同一のY染色体を伝えてきた」ことに「万世一系」の価値があると主張しています。これに対する立花氏の考えはかなりユニークです。皇室の祖神とされる天照大神のミトコンドリアは、女性にしか伝えられないもの。女性天皇容認論者は、そのことを訴えればいいと記しています。天照大神のミトコンドリアのほうが、神武天皇のY染色体よりもはるかに貴いのでないかという理屈です。

 宮崎駿プロデュースによる劇場アニメ『耳をすませば』(1995年)で、小説家志望の主人公・月島雫の父親役にジブリ独自の“有識者枠”で抜擢されただけあって、さすが考えることが違うなぁと思った次第です。

 エルサたちは封印されていた王室の驚くべき秘密を知り、自分らのやるべき使命を自覚することになります。皇室関係者はどんな気持ちで、『アナ雪』シリーズをご覧になっているのでしょうか。ハリウッドで起きた脚本家や俳優たちの大規模ストライキの影響で制作が遅れた『アナ雪3』『アナ雪4』の行方とともに、気になるところです。

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