【競馬予想】阪神JFの勝ち馬も見えてくる「2歳牝馬ランキング」

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2024年12月06日 17:01  webスポルティーバ

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 今年も夏前から白熱の争いを見せてきた2歳戦線。まずは、牝馬の頂点を決するGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月8日/京都・芝1600m)が行なわれる。

 3歳春のクラシックに直結する重要な一戦とあって、今年も好メンバーが顔をそろえた。牡馬混合の重賞やオープンではここ数年ほど際立った成績を残せていないものの、デビュー前から注目されていた素質馬、血統馬が集結。どういったレースが繰り広げられるのか、楽しみでならない。

 その一戦を前にして、ここでは現時点での2歳牝馬を対象にした『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。昨年の同時期、1位にチェルヴィニア、3位にアスコリピチェーノ、5位にレガレイラをランクづけした同番付は今年、どんなジャッジを下しているのだろうか――。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牝馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、出世レースのGIIIアルテミスS(10月26日/東京・芝1600m)を制したブラウンラチェット(牝2歳/父キズナ)。24ポイントと断トツの評価を集めた。半兄は今年、地方交流重賞をはじめ、世界各地のダート戦で活躍してきたフォーエバーヤング。そんな血統的な魅力も高評価の要因となったようだ。

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「フォーエバーヤングの下ということで注目度が高かった1頭ですが、厩舎の評価が高いうえ、どうもクリストフ・ルメール騎手の評価もべらぼうに高いようです。この馬が出走予定の阪神JFがあるということで、早い時点で同じ週にある『香港国際競走には行かない』と決めていた様子。アルテミスSを見た感じでは、そこまで強いインパクトを受けませんでしたが、(陣営としては)着差以上のものがあった印象です」

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「11月24日終了時点の本賞金は3620万円で、JRAに所属する現2歳世代の牝馬としては、ランフォーヴァウ(4350万円)、ダンツエラン(3890万円)に次ぐ単独3位。ただし、一走あたりの賞金は1810万円で、ランフォーヴァウ(1450万円)、ダンツエラン(1296万円)を上回る単独トップとなっています。キャリア2戦で重賞を制している分、ほかの牝馬重賞ウイナーよりも高く評価するべきでしょう。

 近年の阪神JFは、関東圏のレースを主戦場としてきた馬が優勢で、2014年以降の3着以内馬30頭中27頭は、東京か中山のレースで『着順が3着以内、かつ4コーナー通過順が2番手以下』となった経験のある馬でした。該当馬は3着内率も40.3%と優秀ですし、アルテミスSでこの条件をクリアしたブラウンラチェットは、いかにもこのレースが合っていそうなタイプと言えます」

土屋真光氏(フリーライター)
「今年のアルテミスSの勝ちタイムは1分33秒8。これは、ラヴェルが勝ってリバティアイランドが2着になった一昨年と同じ。これよりも速いタイムとなると、チェルヴィニアが勝った昨年(1分33秒6)と、シェーングランツが勝った2018年(1分33秒7)のみ。タイム的にはレベルの高い結果と言えます。

 レースラップは前半3ハロンが昨年より速く、後半3ハロンが昨年と同じ。中間の2ハロンが昨年より遅く、前受けがラクになった分、先手を奪ったミストレス(牝2歳/父キズナ)が2着に残る展開となりました。それをあっさりかわしたブラウンラチェットからは、着差以上の強さを感じます。超大物かどうか、阪神JFが試金石となりそうです」

 2位以下はランキング選出者の評価が大きく割れて、各順位1ポイント差の接戦となった。そのなかで2位になったのは、新種牡馬アドマイヤマーズ産駒のジャルディニエ(牝2歳)。ほかにも父の初年度産駒が次々に勝ち上がっているなか、いち早く2勝目を挙げたのが同馬だ。

伊吹氏
「11月24日終了時点の本賞金は1910万円で、JRAに所属する現2歳世代の牝馬としては16位タイ。実績上位とは言えないものの、1勝クラスのアスター賞(9月7日/中山・芝1600m)を快勝。母のヘアキティーは現役時代に米GIのラブレアS(ダート1400m)を制した馬で、現4歳の半姉ハイランドリンクスはJRAで2勝をマークしています。

 11月24日終了時点におけるJRAの2歳戦を対象とした種牡馬別勝利数を見ると、本馬の父である新種牡馬アドマイヤマーズは18勝で単独6位。デビューした40頭のうち16頭が優勝を果たしていて、勝ち馬率は40%となります。これは前出のランキング上位勢、キズナ(32%)、サートゥルナーリア(34%)、エピファネイア(27%)らを上回る高水準なんですよね。アドマイヤマーズの今後を占う意味でも、代表産駒である本馬には、引き続き注目しておいたほうがいいいかもしれません」

本誌競馬班
「新馬戦(2着。6月8日/京都・芝1600m)こそ取りこぼしましたが、未勝利戦(7月6日/小倉・芝1800m)を完勝。1勝クラスのアスター賞も鮮やかな差しきり勝ちを決め、阪神JFでどこまでやれるか、楽しみです」

 3位には、コートアリシアン(牝2歳/父サートゥルナーリア)が入った。牡馬相手のGIII新潟2歳S(8月25日/新潟・芝1600m)で2着と好走。以降、休養に入って、満を持して阪神JFに挑む。

木南氏
「東京の新馬戦(6月8日/東京・芝1600m)、新潟2歳Sと、鋭く追い込んできて末脚の破壊力は確か。近親に2012年のGI安田記念(東京・芝1600m)を制したストロングリターンがいる血統。母コートシャルマンも2戦2勝で阪神JFに参戦。母は10着に敗れましたが、同馬が母の雪辱を晴らすのか、楽しみです」

 4位は、アルテミスSで2着に粘ったミストレスがランクイン。阪神JFでもこれまでどおり、積極的な競馬を見せて勝ち負けを演じるのか、注目される。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「初戦は余裕残しの体つきで逃げ切り勝ちを収め、2戦目は果敢にアルテミスSに出走。1枠1番の好枠から先手を奪うと、前半4ハロン47秒7のスローペースに持ち込んで、最後まで上々の踏ん張りを見せました。

 496kgのキズナ産駒で、まだ前が強いシルエット。相当な伸びしろを感じさせる状態です。つなぎのクッションはそれほどあるわけではありませんが、現状は前でしのぐ競馬が合っているようです。あとは前半の力みが取れてくれば、もっとパフォーマンスが上がってくる見立て。心身の成長を待ちたい一頭です」

 5位は、カムニャック(牝2歳/父ブラックタイド)。新馬戦(8月11日/中京・芝2000m)の勝ちっぷりが評価されてアルテミスSでは1番人気に推されたが、6着に敗れた。年内は休養し、来春には復帰の予定だ。

吉田氏
「476kgのブラックタイド産駒。クビや胴と脚の長さのバランスが取れており、ストライドもかなり伸びるフットワーク。素材は間違いなくA級です。

 前走のアルテミスSは、1週前の稽古で僚馬2騎にあっさり遅れる地味な走りを見せての結果。馬体やパドックでの雰囲気は悪くなかったのですが、若駒の2戦目にありがちな苦しいところがあったのかもしれません。長くいい脚を使える同馬向きの流れでなかったことも多分に影響しました。

 いずれにしろ、陣営の感触もよくなかったなかで、あの敗戦はある意味、想定内。新馬戦でスケールの大きさを感じさせるレースを見せており、世代トップクラスの逸材であることは確か。早々に来年へと目を向けて、しっかりと立て直しを図っている点にも好感が持てます」

 まもなく迎える2歳女王決定戦。ここでも断然の評価を受けたブラウンラチェットが戴冠を遂げるのか。それとも、名前が上らなかったような伏兵の台頭があるのか。来春のクラシックの行方を占う大一番に注目である。

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