1分1秒が命取りとなる救急医療の現場。しかし、明らかに緊急性のない119番通報が後を絶たないといいます。そんな「緊急性のない救急搬送には料金を徴収する」という取り組みが茨城県で始まりました。
【写真で見る】119番通報を受ける消防指令センターを取材 救急医療の現場は
茨城 緊急性なき救急搬送“有料化” “全国初”最大1万3200円茨城県つくば市にある消防指令センター。取材をした6日も救急車を要請する多くの電話がありました。その内容は様々です。
「心臓が苦しいんですね。意識はありで顔色どうです 青白いです?」
「不整脈 意識はしっかりしてますか? お話もちゃんとできています?」
「結構大きい犬にかまれたってことですかね。血とまりました?」
つくば市消防本部 消防司令長 久保田正美さん
「通報件数は年々増加傾向にあります」
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茨城県の救急搬送件数は2023年、約14万3000件で過去最多を更新。ただ約半数は軽症者で、緊急性の低いケースがあとを絶ちません。
茨城県 大井川和彦知事(7月)
「包丁でちょっと指先切っちゃったんで 救急要請しました、風邪の症状が3日間続いたので救急車呼びましたなど、ある意味 救急車が無料のタクシー代わりになってしまっている」
この問題は全国で起きていて、病気や怪我と関係のない救急要請も…
「電気が消えなくなった 何とかしてほしい(東京消防庁)」
「カギをなくしたのでドアを開けてほしい(大阪市消防局)」
こうした事態を受け、茨城県は12月2日から、緊急性のない救急搬送の“有料化”に踏み切りました。都道府県では初の試みとなります。
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徴収するのは「選定療養費」と呼ばれるもので、本来は紹介状を持たずに大病院を受診する際に支払われます。救急搬送時に緊急性がなかったと判断された場合は、この「選定療養費」が徴収される仕組みで、料金は病院によって異なり、最大1万3200円となります。
筑波記念病院 榎本強志病院長
「最近 不要不急の救急搬送がだんだん増えてきて救急隊の搬送もかなりひっ迫してくる。軽症の救急車搬送が減れば、より重症の方をちゃんと診られるようになる」
県民からは…
「救急車台数が決まっているので、いい試みだと思います」
「重症なのかという判断は誰がするんですかね」
筑波記念病院では5日の夜も救急搬送がありました。運ばれたのは70代の女性で血尿が出ていて、腹部に痛みもありました。2日から現場では、緊急性の判断をすることになります。
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筑波記念病院 大曾根礼医師
「緊急性があると判断したので選定療養費はいただかない方針としました」
女性は診療を受け帰宅。この女性の長男は今回の有料化に理解を示す一方で、戸惑いも見せます。
救急搬送された女性の長男
「いいことだとは思いますけどね。(Q今後救急車呼ぶとき迷うか)思いますね。基準がちょっとわからない。救急車って本当に助かるので、ありがたいことだと思うんですけど」
日比麻音子キャスター:
茨城県で導入された制度ですが、急を要さない救急車の利用を減らし、救える命を確実に救うためのものです。
呼吸困難、意識障害、けいれんなど、少しでも緊急性があると思ったら、ためらわずにすぐ119番通報をお願いします。
ただ「どっちかな?」と少し迷ってしまうこともあると思います。迷ったら『#7119(シャープ なな いち いち きゅう』という番号を思い出してください。
2024年11月時点で全国36の地域を対象に、医師や看護師等が電話でアドバイスをしてくれます。24時間365日対応で、緊急度が高くない場合は受診できる医療機関の案内もしてくれるということです。