はじまった国会での本格論戦。政治とカネの問題をめぐり、石破総理が問われたのは30年前、当時の自民党総裁が結んだ「ある合意」でした。
■石破総理「個人献金も企業・団体献金も違いがない」
12月4日、国民民主党・玉木氏のSNSには「役職停止中」の表記が。
「103万円の壁」をめぐる国会論戦でも“台風の目”になるかと目されていましたが、不倫問題で「役職停止」処分を受けたのです。
与党が過半数割れして初めての国会。
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石破総理の答弁も低姿勢で始まりました。
石破茂 総理大臣
「党派を超えて真摯に政治改革の議論を進め、私も誠心誠意尽力をして参る所存です」
しかし、野党との対立が際立つ「企業・団体献金の禁止」について質問されると…
石破 総理
「個人献金も企業・団体献金も違いがありません。我が党としては...」
野党からは...
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立憲民主党 辻元清美 議員
「何千万円も企業が自民党に1社で寄附してる。これに対して、国民も不信を抱いてるんですよ。それを批判されてムッとして答弁する。これこそ『ふてほど』、不適切にもほどがあるんじゃないですか」
石破 総理
「いろいろとご示唆、ご配慮にとんだ質問を頂戴しました。恐縮です」
厳しい批判を受け流した石破総理ですが、“政治とカネ”を巡る与野党協議の場も多勢に無勢で野党ペースで進んでいます。
■自民党の頼みの綱は、国民民主党?
日本維新の会 青柳仁士 政調会長
「『企業・団体献金の禁止』これも、しっかりやりきると」
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共産党 塩川鉄也 国対委員長
「自民党の案の中に企業・団体献金の禁止がないから、それはどうするんですか?」
自民党政治改革本部 小泉進次郎 事務局長
「ストレートにお返しをすると、我々はそもそも禁止すべきだと思っていないからです。別に献金は義務ではないですから、これは自主的な判断ですから、こういった中で、その選択肢を残す」
塩川鉄也 国対委員長
「企業が多額のカネで政治を動かし、政策を誘導する。そのこと自身が90年代(平成の)政治改革の議論」
野党が「企業・団体献金の禁止」で足並みを揃えるなか、自民党にとって頼みの綱は、国民民主党です。
国民民主党 古川元久 代表代行
「企業・団体献金を禁止すれば、なにかすべての政治が良くなるみたいな、そういう単純論法ではない『平成の政治改革』は、相当何年も行きつつ戻りつつしたのに、今のこの状況なんだから」
小泉進次郎 事務局長
「古川先生がまさに『歴史をしっかり見なければならない』とおっしゃった通りですね…」
■30年前の「平成の政治改革」 問われる“当時の認識”
「企業・団体献金」と「平成の政治改革」。
“当時の認識”が問われたのが、5日の予算委員会です。
立憲民主党 野田佳彦 代表
「リクルート事件など、政官業の癒着を象徴する事案がいっぱい発生したから、だから『企業・団体献金の見直し』をしようとすることが度々起こったんじゃないですか」
自民党政権を揺るがした1988年のリクルート事件。
そして、92年の東京佐川急便事件。
企業献金によって政策がゆがめられる懸念は、30年前の「平成の政治改革」へとつながります。
税金を原資とする「政党助成金」を導入し、政治家に対する「企業・団体献金」は禁止されたのです。
そして、政党や政党支部に対する献金についても「5年後に見直す」こととなりました。
当時、細川総理と合意をまとめた自民党の総裁、河野洋平氏は、こう振り返っています。
河野洋平 氏(オーラルヒストリーより)
「5年後に見直しという条件で、企業献金を廃止することで合意できた。公費助成(政党助成金)が実現したら企業献金は廃止しなきゃ絶対におかしい」
ところが、石破総理は…
■過去の合意の解釈でも深まる対立
石破 総理
「公的助成(政党助成金)が入ったので、企業・団体献金がなくなるという意識を持った者は、少なくとも自由民主党にはいなかったと思っている」
立憲民主党 大西健介 議員
「(当時の)自民党の総裁がそれ(廃止)言っているんだから、明らかに今、(石破)総理の言ってることは食い違ってる」
「政党助成金」と「企業・団体献金」の“二重取り”が続くなか、過去の合意の解釈を巡っても深まる対立
立憲民主党 野田 代表
「細川総理と河野総裁が最後にお互いの当事者同士が合意して、2人とも今『企業・団体献金は何で止めないんだ』って言ってますよ。もう一回この原点はごまかさないで、忘れないで、きちっと対応していきましょうよ」
石破 総理
「ごまかすつもりは私は全くなくてですね、『もう一度きちんと共通認識を持とうではないか』ということを申し上げている」
立憲民主党は「企業・団体献金」を禁止する法案を提出する方針で、与野党の攻防が続くことになります。
■裏金問題では再調査を否定
与野党論戦の中身を改めて整理すると、政治とカネの改革を巡り、大きな焦点になっている「企業・団体献金」。
自民党は「企業・団体献金が悪で、個人献金が善という立場に立たない」と強調し、石破総理は「企業・団体献金で政策が歪められたという記憶はない」と述べています。
そして、裏金問題を巡っても攻防が続いています。
裏金作りに繋がったキックバックを誰の判断で再開したのかをめぐり、安倍派会計責任者は「2022年8月、幹部4人が協議し、復活やむなしとの結論に至った」と裁判で証言しました。
安倍派幹部らは関与を否定していたので、主張が食い違う部分でもあります。
立憲民主党の野田代表は再調査を求めましたが、石破総理は「新事実が出れば党として調査するが、そのような認識を持っていない」と再調査を否定しています。