―[貧困東大生・布施川天馬]―
2024年も残すところ数週間。世間はクリスマスムード一色となりました。子どもの頃は、数少ない「高価な贈り物がもらえるイベント」であったクリスマス。
いつからか、私たちはもらう側から渡す側へとシフトしましたが、当時は何がもらえるのか楽しみで、毎日胸を躍らせながら12月24日を待っていたはずです。
私がもらったプレゼントで印象に残っているのは、当時はまだまだ出たばかりで人気ハードだったニンテンドーDS。お金がない中であちこちに頭を下げ、やりくりにやりくりを重ねてどうにかプレゼントしてくれた当時の両親の苦労を想うと、頭が上がりません。
おかげで僕は、クラス内から仲間外れになることもなく、放課後に友達と遊んで仲を深めることができていました。
クリスマスプレゼントと言えば、おもちゃにゲームが大定番。ですが、東大生にどんなプレゼントをもらったか調査をしたところ、予想とは全く異なるものをもらっていたことがわかりました。
今回は、東大生が子どもの頃に本当にもらった「予想の斜め上を行くクリスマスプレゼント」についてお伝えします。
◆サンタからもらったゲームソフトは“脳トレ”
まず、一番多かったのは「伝記」。学習に役立つ本のプレゼントが、今回の調査では多く挙げられました。クリスマスプレゼントに伝記をもらって喜ぶ子供がいるのかと思いきや、現在法学部に通う3年生のSさんは外交官の伝記をもらい、杉原千畝のエピソードを読んで感激。そこから東大進学を志したのだといいます。
ただし、本をもらって喜ぶような本好きで、知的好奇心豊かな彼だったからこそ、裏目に出なかっただけかもしれません。
とはいえ、やはり、現代っ子へのプレゼントの王道はゲームでしょう。僕が小学生の頃からゲームはクリスマスプレゼントの大定番。ベネッセ教育総合研究所による577人のお父さんお母さんへのアンケートによれば、小学生に人気のクリスマスプレゼントは男女ともに「ゲーム機・ゲームソフト」が第一位。
ラジコンやぬいぐるみも健闘したものの、やはりゲームの存在感には勝てません。現在東京大学1年生として学業に励むMさんもゲームをせびった一人でしたが、彼女は一風変わったゲームをもらっていました。
「小学生の頃、当時発売したばかりだったニンテンドーDSを買ってもらって、ゲームソフトが欲しいとねだっていたんです。それでクリスマスに記念すべき一本目のソフトを買ってもらったのですが……なんと、よりによって『脳を鍛える大人のDSトレーニング』でした」
驚くべきは、彼女だけではなく、別の学生からも「自分も初めてのDSソフトはそれだった」と声があがったこと。教育熱心な親御さんだったのでしょうが、せめて娯楽目的のゲームくらいは、勉強や知育と関係のないところでリラックスさせてあげてほしいものです。
◆先生からのクリスマスプレゼントは抜き打ちテスト
東大4年生のAさんは厳しい進学校の出身。高校生に上がってからは受験を目指して勉強に励む毎日でした。そんな彼にも、平等にクリスマスはやってきます。
当日、彼を含めたクラスメートが教室に集められました。一体何が起きるのか、戸惑う彼らに対して、先生は驚きのプレゼントを渡しました。
「クリスマス当日に、教室に集められて『いまからクリスマスのプレゼントを配る! これからテストをするぞ!』って、抜き打ちテストが始まったんです。どうやら、先生の出身大学ではクリスマスにテストをするのが定番だったみたいで、そのノリを持ち込んだようなのですが……」
いくら貰い物だとしても、突然一方的にテスト開始を告げられたら、頭が真っ白になってしまうかもしれません。もう少し、もらう側の気持ちを考えて、贈り物を選んでほしいものですね。
◆LEDテープで学習机をライトアップ
東大1年生のSさんがもらったプレゼントは、伝記でも脳トレゲームでもテストでもありませんでしたが、彼の勉強の助けになるものだったといいます。ただ、それは世間一般でいう「ふつう」の支援とは異なった形だったようで……。
「色とりどりのLEDテープをもらって、学習机をライトアップしていました。イルミネーションが味わえて、少し気分が上がりましたね」
イルミネーションがうれしい季節になりましたが、学習机まで飾り付けてしまうとは、確かに非日常感が味わえそうです。クリスマスらしさと受験生としての自分を両立させるいい方法なのかもしれません。
◆「日常的にプレゼントをもらっていた」富裕層的な回答も
東大生のクリスマスプレゼントは、やはり変わったものばかり。勉強に役立つものばかりで、みんな勉強を楽しんでやっている様子が伝わってくるようでした。
今回話を聞いた中では、「日常的にプレゼントをもらっていたし、ほしいものは大体買ってもらっていたから、『クリスマスプレゼント』はもらったことがない」という声も。
行事にかこつけてしか贈り物ができないのは、小市民的な感覚なのでしょう。富裕層出身者の多い東大生らしい答えでした。
ゲームで喜ぶ子もいれば、LEDテープがうれしい子もいる。千差万別のプレゼント事情があります。事前に入念な調査を行う必要がありますね。
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)