「アナ雪」はなぜ色褪せないのか 87年の歴史と特別なプリンセス

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2024年12月09日 05:01  日刊スポーツ

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「アナと雪の女王」のアナ(左)、エルサの等身大オブジェの間に入り手を振るMay J.(14年12月撮影)

「アナと雪の女王」の1、2作とスピンオフ作品が日本テレビ系で3週連続放送されている。公開から10年を経て、いまだにこの季節を象徴する作品といえばこれだ。特別な映画なのだと改めて思う。


5歳の孫は、遊びに来るたびに新作には目もくれずに「アナ雪」の再生をねだる。VHS時代だったらとっくに擦り切れているだろう。スピンオフ作品はすべて見ているし、劇団四季の公演にも行ったのにまったく飽きる気配がない。


振り返ってみれば、「アナ雪」にはそんな吸引力を裏打ちする長い歴史がある。


1937年、世界初の長編アニメ映画「白雪姫」が大ヒットした。ウォルト・ディズニー(1901〜66年)が、その次の作品として頭に浮かべたのが、「アナ雪」の原作となったアンデルセンの「雪の女王」だったそうだ。原点は87年前ということになる。


「雪の女王」は、恐ろしい雪の女王に連れ去られてしまった少年を救い出すため、少女が冒険の旅に乗り出す物語だ。つまりエルサは当初まったくの悪役だったのだ。


いろいろあってプロジェクトは休止となり、ウォルトが亡くなってから30年を経た90年代にも再起動の動きがあるが、ここでも再凍結となってしまう。


そして世紀をまたぎ、巨大企業となったディズニー社内では「新世紀のプリンセス像」について議論が重ねられたという。プリンセスはか弱くて王子に守られるだけの存在でいいのか、そして、魔法使いは呪われた存在という単純な定義でいいのか…。「雪の女王」は現代的に大幅に改変されていくのだ。


そのきっかけを作ったのが、フロリダのディズニー・ワールドの舞台劇「ファインディング・ニモ ザ・ミュージカル」の楽曲を書いたロバートとクリステン・アンダーソンのロペス夫妻だった。議論の中でエルサに思いを巡らし「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」を一気に書き上げた。あの曲は、作品に当てて作られたのではなく、作品を生み出す起点となったのだ。


実は、「アナ雪」公開の1年前くらいから、ディズニーの社内試写では、どの作品の上映前にも、「予告編」としてあの氷の城のシーンの断片と「レット・イット・ゴー」が繰り返し流された。


ようやく「アナ雪」の本編にお目にかかれた頃には、関係者はもちろん、私たち担当記者にもあの曲はそらで歌えるほどに刷り込まれていた。後に「声出しOK」のライブ上映会も話題になったが、あの場に身を置きたくなる気持ちが分かる気がする。


改めて言うまでもないかもしれないが、「レット・イット・ゴー」のもっとも革新的なポイントは、それまで「呪い」として描かれてきた魔法の力を「個性」として歌い込んだことだ。エルサという新しいヒロインの形だ。


アナとエルサという「2人ヒロイン」はディズニー作品史上でも初めてのことだそうだが、コアなファンの中でもエルサ派が圧倒的に多いのではないかと思う。


一方で、日本語吹き替え版にはアナ役として今は亡き神田沙也加さんのかれんな声が残されている。


エルサという新しいプリンセス像が最大の特徴だとは思うが、この作品の「特別」な部分を挙げればきりがない。【相原斎】

このニュースに関するつぶやき

  • …昨今は晩婚化が進んでるのに、作中時代背景的に早婚だから、恋愛ものだとお金払える年頃の人には地味にひっかかるものがある…のかも。
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