キン肉マンの日でもある11月29日、静岡県沼津市のキン肉マンミュージアムで、記念のトークイベントが開催され、スペシャルゲストとして、ゆでたまご原作シナリオ担当・嶋田隆司先生、2代目編集担当者・松井栄元氏、ミノワマンD・Z館長が登場した。
ファンは全国各地から集まった60名。応募者多数で席を増やして対応したものの、それでも見られないファンが多かったということで、特別にイベントの模様をお届け! さらに嶋田先生からコメントをもらっちゃいました。
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イベントの最初は嶋田先生と松井氏の関わりから。
嶋田 初代担当の中野和雄さんが副編集長になって、担当が変わるって登場したのが集英社に入ったばかりの松井さん、プロレスが大好きな方でね。
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松井 最初は、なんで担当になったんだろうって。考えたら当時先生が住んでいた家と、僕の家が近かったんですよ。あの頃はまだ部屋に電話もなくて、先生の家へマンガの進み具合を確かめに行ってました。
嶋田 ちょうどストーリーに悩んでいた時期なんです。そこで松井さんから『ストーリーなんて、シェイクスピアの時代から書き尽くされていて、みんなそれをうまくアレンジしてるだけ』って聞いて、それでパッと視界が拓(ひら)けたんです。それがきっかけで、読者アンケートの順位があがって、初めての1位を取れました。
バッファローマンをベビーフェイスにしたいって言ったのも松井さん。喫茶店でゲームをやりながら打ち合わせしていて、『バッファローマンはいいヤツだと思うんだよね』って言って、じゃあミートくんを助けましょうって、なったり。
あとは超人の強さ。誰が強いかわかんないから、バッファローマンは1000万パワーとか、キン肉マンは95万パワーみたいに、数字を出そうって。
松井「でも、僕は数値化と言っても、10万、20万とかキリのいい数字で考えていたんですよ。それを嶋田先生がラーメンマン97万とか、小刻みな数字にしたんです。結局、これがリアリティの説得力になったんです。
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ミノワマンは嶋田先生とのとっておきのエピソードが!
ミノワマン 僕は、キン肉マンが大好きでプロレスラーになったんですけど、ある日、嶋田先生から会いたいって連絡があったんです。その時はパンクラスの横浜道場にいたんですけど、先生を待っていたら、キン肉マンが僕を肩車した絵を描いて持ってきてくれたんです。それが僕には『おかえり、テリーマン』のような状況に見えちゃって。
と話し、当時の画を披露。持ってきたことは内緒にしていたそうで、会場はもちろん嶋田先生も大喜びの一幕となった。
さらに、嶋田先生の膨大なアイデアの源泉について。
嶋田 絶えず考えているということはないんですけど、たまたまつけたテレビで面白いことをやっていたり、たまたま広げた本に載っていたりとかもあります。ただ、技に関しては、自分でもジムに習いに行ったりして、それは怠らなかったですね。
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ミノワマン 最近では、キン肉バスターだったり、パロ・スペシャルだったり、先生の考えた技をプロレスラーが実際にやる時代になっちゃいましたね。これはすごいことですよ!
イベントの最後には会場から集まったファンからの質疑応答。「もっとキューブマンが見たい!」「映画化の予定は?」といった要望から、ゆでたまご先生がこだわっている手描き原稿についての質問や、「もし超人と結婚することになったら誰?」 といった面白い質問など、ファンの挙手が止まらない。
そしてラストの質問が、ファンなら一度は夢見たかもしれない「いつかキン肉マンとキン肉マン ソルジャーのリアルマッスルブラザーズは登場しますか?」というもの。これを聞いた嶋田先生は「やってなかったですね。そういえば......」と、関心した様子。
最後に嶋田先生からファンに向けての挨拶。
「今回、館長と松井さんのお話を聞いて、昔を思い出しました。改めて色んな人にお世話になってここまで来れたんだなって。これからは皆さんに恩返しをしたいですね。映画の話もそうですけど、皆さんに喜んでもらえるものを、絶対に作っていきますので、見守っていてください!」
トークショー終了後にも、嶋田先生に話を聞いた。
「沼津のキン肉マンミュージアムは4月にオープンして、最初は大丈夫かなって心配もあったんですよ。でも、すごく人気があるみたいで、まだまだ頑張れるし、僕もここを盛り上げていきたいですね。今回のイベントも定員をはるかに上回る応募があったみたいで、うれしかったです。
何より集まってくれたお客さんの熱量がすごかったですよ! 質疑応答とか数人かと思ったら、あんなにたくさん手をあげてくれてね。ちっちゃい子供もいて、それこそアニメ効果だと思うんです。子供が興味を持っているのはキューブマンだったり、ミスターカーメンだったり、見た目が大事っていうのは昔も今も変わらないですね。
あと、リアルマッスルブラザーズの質問、よく考えてたらやってなかったなと。今日、お客さんからたくさんのアイデアをもらったので、これでまた新しい展開ができるといいですね」
- 「キン肉マンミュージアムin沼津」
場所:〒410-0801 静岡県沼津市大手町5‐2‐15 1F/2F
営業時間:10:00〜18:00(2階ミュージアムスペースへの最終入場17:00)
定休日:毎週水曜日
入場料:1000円(大人、大学生)、900円(シニア)、700円(高校生、中学生)、500円(4歳以下)*すべて税込*施設内チケットカウンターにて購入
公式X:@kin29man_museum
公式Facebook:https://www.facebook.com/kin29manmuseum/
取材・文・撮影/関根弘康