「中国の若者はまた、自由を求める運動を起こす」天安門事件・元学生リーダー、ウアルカイシ氏が語る“中国の民主化”

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2024年12月10日 11:41  TBS NEWS DIG

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1989年、中国で民主化を求める学生らを軍が弾圧し、多くの人が亡くなった「天安門事件」。当時、運動に参加した人たちは今の中国をどう見ているのでしょうか。学生リーダーの1人、ウアルカイシさん(55)が語る中国の今、そして未来とは。

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元学生リーダーが語る「中国の今と未来」

Q.習近平国家主席が去年、3選されましたが、今の中国をどう見ていますか?

『天安門事件』元学生リーダー ウアルカイシさん:
中国共産党は、明らかに決めたのです。中国を閉鎖的で、より権威主義的で、北朝鮮のように国民を抑圧する、そういう方向に持っていくことを。これは、習近平国家主席個人との考えや価値観と非常に密接な関係があると思います。
もちろん、中国の人々にとっては非常に悪い方向です。世界は、中国共産党の本質、習近平政権の本質をより明確に認識するようになりました。日本がそうした方向性をいち早く察知し、価値観を共有する国々との連携を強めるべきだと決断し、中国に対抗する連合を構築したことに感謝します。安倍元首相が世界に向けて発した中国に対する警告が、今後ますます現実味を帯びてくるのではと心配しています。これは、中国人の不幸であり、世界への挑戦です。

Q.習近平政権の何が問題なのでしょう?

ウアルカイシさん:
天安門事件から30年余りが過ぎましたが、中国政府は基本的に開放に向かわないという決断をしてきました。国際社会が従うべき共通の規範に向かうこともなく、むしろ閉鎖的で、反対勢力や反対意見を抑圧する方向に向かっています。
このような道は30年以上続いてきたのですが、習近平氏はこのような権威主義的な抑圧をさらに極端なものにしてしまいました。かつての中国共産党が一党独裁であったとすれば、今は個人独裁になっている。

Q.去年中国では「白紙運動」が起きました。しかし天安門事件の時のような広がりは起きず数日で終わってしまいました。その違いはなんだったのでしょう?

ウアルカイシさん:
あなたは、すぐに消えてしまった、といいますが、私に言わせれば何十年かぶりに再びこのような運動が起きるのを見たということです。すぐにまた、同じようなことが起きるかはわかりません。しかし、中国共産党への挑戦が無くなったと解釈するのは必ずしも正しくありません。中国共産党への挑戦は、今後ますます強くなっていくと思います。国際社会が中国の正体を理解したとき、中国共産党はこれまでのように経済発展という夢を見せることで、国民に将来の希望や、これからも幸せや豊かさを追求できると思わせることができなくなるのではないでしょうか。新しい冷戦が形成された場合、中国はここ数十年の高度成長を継続できなくなるでしょう。なにより、すべての中国人の言論の自由や政治の自由を奪いながら、経済発展の夢を満たし続けることは難しいと思います。中国国内では共産党に対する挑戦が生まれ、どんどん大きくなっていくと思います。

中国の若者はまた、自由を求める運動を起こす

Q.今の中国の若者たちは生活に満足していて、政治に興味がないともいわれます。また若者が立ち上がって、民主化を求める日が来ると思いますか?

ウアルカイシさん:
確かに、今の若者たちは、私たちとは全く違います。私たちは、集団主義的な価値観で育ってきたのでしょう。当時の我々のスローガンは、「世の中の興亡に我々は責任がある」というものでした。今の若い人たちの心はもっと個人主義的なのでしょう。個人の自由をより重視する。 個人のパフォーマンスをより重視する。しかし、これはすべて表現の自由や表現のためのスペースが十分にあることを前提にしています。この点、今の中国は次世代の若者から完全な自由、情報の自由、表現の場を奪っているのです。彼らは世界のことを自分の責任とは感じていないでしょうし、天安門事件の時のように知識人としての責任を感じて街頭に出ることもないでしょうが、個人の自由を追求し守ることについては、私たち以上に強い思いがあると思います。
だから私は、中国の次の世代の若者たちは必ず自分たちの自由を追求する新しい運動を起こすと信じています。その運動がどのような形になるかは、まだわかりませんが、抵抗は必ずまた出てくるのです。

Q.中国はいつか民主化するのでしょうか?

ウアルカイシさん:
間違いないです。 中国のような規模の国が、自由、平等、開放の価値を完全に拒否してしまう理由はないのです。もし拒否すれば、世界は中国の存在を受け入れなくなるでしょう。北朝鮮くらいの規模の国であればそれほど世界に影響を与えないでしょうが、もし中国が自由や平等を拒否する国になったとすれば、世界に計り知れない影響を及ぼし、それは中国国民にとっての悲劇であるだけでなく、世界にとっても脅威となるでしょう。中国共産党のような権威主義的な政権は、国民の自由を略奪し続けることはできない、と私は考えています。中国はいつの日か、開かれた自由な世界の一員、世界の家族の一員となるのです。

Q.天安門事件当時、あなたはどのような中国を目指したのでしょうか?

ウアルカイシさん:
中国のような権威主義的な環境で若いころを過ごした私たちは、確かに民主的な世界がどのようなものか完全には理解できていません。しかし、非民主的な国や社会がどのようなものであるかは十分に理解しています。私たちは自由と民主主義を望んでいます。1989年、学生たちは中国はポーランドに似ていると想像していました。ポーランドはすでに「連帯」という市民権力を通して共産党の独裁に挑戦していたのです。ポーランドが複数政党制を構築しようとしていた時期に、中国共産党が私たちに出した答えは、虐殺でした。
1989年6月4日、中国政府が平和的な請願者を虐殺したその日、ワルシャワでは民主的な選挙が行われ、共産党独裁政権から開かれた民主主義への平和的移行が成功したのです。私たちのポーランドのようになりたいという願いは、後に正しいことが証明されました。
そして、言論の自由を含む結社の自由、私有財産権の保障、市場経済など、私たちが行った政治的要求もまた、正しいことが証明されました。
民主的な環境で生活していなかった中国の大学生でも、本を通して、あるいは開いた窓から外の世界を見たり、別の共産主義国であるポーランドを想像したりして、89年の学生運動は民主化運動と呼ぶにふさわしいものであったことが証明されたのです。
また、当時20代だった私たちが、これほどまでに的確な未来像を持っていたことを誇りに思います。

台湾の民主化は「自身が獲得したもの」

===天安門事件後、中国を出ることを余儀なくされたウアルカイシさん。1996年から台湾で暮らしています。台湾の民主化の歩みともにいたというウアルカイシさんに今の台湾はどうみえるのでしょうか===

Q.台湾に民主主義は根付いたと思いますか?

ウアルカイシさん:
はい。 台湾もかつては、権威主義的な政府でした。しかし、民主化が実現できたということは、台湾の人も中国人も、自由と民主主義を志し、追求することに強い決意を持っていることを証明しています。

Q.中国はまだ民主化できず、一方で、台湾は民主化した。その違いはなんでしょう?

ウアルカイシさん:
中国共産党は、アジア全体の歴史、20世紀の中国の歴史の発展において、最大の不幸でした。中国共産党は、民主的な自由を実現することを全く望まず、拒んだのです。

Q.中国の台湾統一に向けた圧力が強まっていると感じますか?

ウアルカイシさん:
中国共産党が中国で行っているのは、言論や思想の自由ではなく、長期にわたる洗脳で、中国国民に統一という考えを持たせ、いつか台湾を統一できるようにすることだと思います。しかし、ますます彼らが真実を知り、世界の仕組みを見るやいなや、中国と台湾が全く異なる2つの「国」であることを知ることになるでしょう。
この相容れなさは、まず第一に、それぞれの人が大切にしている価値観に反映されます。中国と台湾は「まったく違う」ということが、台湾との統一を望む人たちを含め、中国人でさえも「統一はそんなに簡単なことではないのかもしれない」と感じさせているのです。
私は長年台湾で暮らしていますが、台湾は中国から独立した「国」である。将来の運命は、台湾の人が決めるしかないのです。

Q.いずれ香港のように台湾にも中国の影響力が及んで、中国色に染められてしまうことはありませんか?

ウアルカイシさん:
まず、現在の台湾は完全に独立しています。そして、完全に民主的です。
私たちの政府は自分たちで選んだものです。植民地ではないので、中国に戻るということはないのです。これが香港との最大の違いです。
さらに根本的な違いは、台湾の自由と民主は、自身が獲得したものであるということだと思うのです。中国共産党は、台湾が香港と同じではないことを知っています。彼らが台湾を完全に支配する手段はないのです。これは、台湾も知っているし、中国も知っている現実だと思います。

Q.どのような形であれ、中国は台湾を将来統一すると思いますか?

ウアルカイシさん:
中国共産党を理解すれば、彼が言うことが必ずしも本心ではないことがわかるはずです。
彼が語る目標は、必ずしも彼が達成するために追求するものではありません。彼が言うことの多くは、実はスローガンなのです。それらは、自国の人々を欺くためのものです。
彼はまた、世界をも欺いているのです。共産主義、社会主義、民族主義、愛国主義などの言葉は、彼らの欺瞞の一部なのです。この政権は、国民を騙すことに非常に慣れている。
願わくば西側諸国、日本のような国々が、発言と意図することの大きな違いを見分けることができるようになればいいのですが。

Q.台湾の民主主義は、中国の圧力をかわして、生き延びることはできると思いますか?

ウアルカイシさん:
私たちの自由と民主主義は、私たち自身の努力によって獲得されたものです。台湾の民主化のプロセスに参加できたことを光栄に思っています。私の個人的な経験からすると、このような民主主義と自由は、私たちが最も誇りに思うもののひとつです。
確かに軍事的脅威にさらされています。ここは島です。逃げ場はありません。自分たちの身は自分たちで守らなければならないのです。しかしある日、共産党が台湾に対して軍事的手段、つまり侵略を行うリスクを取った場合、私は2300万人の台湾人が立ち上がり、抵抗すると信じています。 我々の自由と民主主義を守ることを。私たちは、自由と民主主義を放棄することはできないというのが、台湾の99%以上の人々のコンセンサスとなっています。

「いつか中国に帰って民主主義の発展の力になりたい」

Q.いつか、中国に帰りたいですか?

ウアルカイシさん:
その通りです。亡命は一種の精神的拷問です。私は、幸運にも台湾に自分の新しい家を見つけることができましたが、ふるさとで両親に会ってから30年以上が経ちました。もちろん、とてもとても寂しいです。

Q.どういう中国になったら、帰りたいですか?

ウアルカイシさん:
いつでも帰りたいのです。これからの中国に起こりうる変革の一翼を担いたいのです。これまで何度も中国に戻ろうとしました。自首して中国への帰国を果たそうとしたこともあります。いつでも、どんな方法でもいいから、戻りたい。
もちろん、中国が自由と民主主義の方向に進んでくれるのであれば、その発展に関わりたいと考えています。しかし、たとえ今が逆の方向に進んでいたとしても、今すぐ中国に戻り、民主活動家として、抵抗したいです。

Q.あなたは中国の民主主義を信じていますか?

ウアルカイシさん:
はい、そうです。中国はいつか自由で民主的な国になると信じています。
そして私は、中国をその方向に押し進めるために、ベストを尽くしたいのです。

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  • 反乱が起きそうになったらまた武漢からコロナをバラまくから無問題。
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