八百屋バイトが「年収4千万円ホスト」になれたワケ。バイト経験が“ホスト成功のカギ”に

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2024年12月10日 16:01  日刊SPA!

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現役ホストの夏葵 千颯(なつき ちはや)さん。デビュー2年半で年収4
「生まれてすぐに息子をホストにしようと思った(笑)」と話すのは、都内でバーを経営している蝶野かず子さん(仮名・45歳)。生後3か月の時点で息子をホストにしようと決意し、16歳の時に水商売の根本が詰まっている「八百屋」の仕事を経験させたという。
 以前、その真意や特異な教育論についての話を伺った。実際、息子は年収4,000万の人気ホストへと成長したわけだが、本人は当時のことや母親のことをどう思っているのか。

 今回、息子である夏葵 千颯(なつき ちはや)さん本人に、その胸の内を語ってもらった。

◆中学生の時に感じた「これは天職だ!!」

 現在21歳の夏葵さんは、人気YouTubeチャンネル「歌舞伎超TV」でも頻繁に取り上げられる新宿の人気店「Lillion」で支配人を務めている。そんな彼は、物心つく前から「アナタは将来、ホストになるんだよ」と母親から言い聞かされていたそうだが、そのときのことは覚えているのだろうか。

「はっきり覚えているのは中学生くらいのときですね。当時、メディアでローランドさんが活躍していたので、自分なりに調べてどんな仕事なのかも大体わかっていました。面白そうというよりは『あ、これ俺がやらなきゃダメな仕事だな』って思いましたね(笑)」

 そして夏葵さんが16歳の時、将来ホストで成功するために、まずは八百屋で働けと母親に言われたのだが、 それに対して特に抵抗はなかったという。

「その時点で、八百屋の仕事には水商売の根本が詰まっているという話を聞いていたので、特に疑問に思うことはなかったです。しかも、働くにあたっていろんな人が絡んでいて、当時一番お世話になっていた人にも勧められたので、自然な流れで行き着いた感じでした」

◆八百屋で働くことの面白味

 八百屋は非常にハードな仕事。正直、給料面だけで見たらもっと割りの良い仕事は他にもたくさんあるので、途中で投げ出しても不思議ではない。特に若い時分であったら尚更である。

「最初はメチャクチャ辛かったですよ。朝は早いし力仕事だし、給料も安いし叱咤激励も多く、かなり厳しい環境だったので……。しかも、自分がここで働くにあたって、いろんな人が絡んでいたので、簡単に辞めるとは言えませんでした。でも、続けていたら途中から楽しくなってきたんです。力仕事も力が付いてくれば苦じゃなくなるし、お店の人やお客さんとも仲良くなって、すごく働きやすい環境に変わりました」

 続けることで力も付き、仕事に慣れてくると面白味も感じられるようになったそうだが、八百屋の仕事で感じた面白味とは具合的にどのような点なのだろうか。

「めっちゃ繁忙店だったので、すぐに商品がなくなるんです。なくなったら新たに在庫を持ってくるのですが、毎回商品の配置を変えていました。さっき売り切れたココのスペースに次は何を置こうか? あっちのスペースにコレを置いたら売れるんじゃないか? と考えながら配置するのですが、考えて配置した商品が全て売れるとすごく嬉しいんですよね。あと、いかに野菜を見栄え良く見せられるかで売上が左右するので、綺麗に並べられてそれが全て売れたときも“やってやった感”があって気持ち良かったです」

◆八百屋を経験して手に入れたもの

 過酷な八百屋と華やかなホスト。見た目も業務内容も全く異なる仕事ではあるが、果たして八百屋時代の経験は今の仕事にどのような形で役立っているのだろうか。

「一番はメンタル面ですね。八百屋での辛さを考えたら、今の仕事は一ミリも辛いと思わないので挫けることはありません。八百屋時代、部長と呼ばれていた気性の荒い上司の方がいて、毎日のように怒鳴られたので、怖いな、辞めたいなって思ったことが何度もありました。でも、その人には社会での生き方も教わり、今では一番好きな人になっていて、たまに飲みに行ったりもしています。もう、人生の先生みたいな存在ですね」

 八百屋の仕事を経験したことでメンタル面が鍛えられたという夏葵さん。さらに、働いていたお店ならではの環境もプラスに作用しているそうだ。

「自分が働いていたのは個人経営のいわゆる『町の八百屋さん』で、すごく安いお店でした。だから、飲食店関係の方もよく利用していて、顔見知りの常連さんも多く、コミュニケーションを取る機会がたくさんあったので、それも今の仕事に役立っているとは思います」

◆今の仕事で一番大事にしていること

 現在、デビュー2年目にして年収4,000万円、さらに他のプレイヤーを仕切る「支配人」にまで登りつめている夏葵さん。そこで、この仕事で成功するためには何が一番大事なのか聞いてみた。

「ホストってメンタル勝負なところがある仕事なんです。デビューして最初にぶつかる壁が売上。単純に売上が上がらなくて辞めちゃう。その後に来るのが、女の子との人間関係で病む、ひどくなるとうつ病になって辞めちゃう。それらの壁を乗り越えるには『ぶれない心』が一番必要ですね。自分の中でしっかりとした軸を持って、何があっても周りに左右されない。これがあれば、多少辛いことがあっても挫けないで続けられると思います。自分は、八百屋での経験があったのでそれを得られました」

 また、ホストという特殊な仕事だけに、日頃から常に意識していることもあるという。

「過酷なうえに給料も安い八百屋を経験したことで、お金を稼ぐことの大変さを知りました。お客さんは、そんな貴重なお金を使うわけですから、常に誠実に対応しないといけない。特にホストはモノを提供するわけではなく、形のない『楽しい時間』を提供する仕事なので、目に見えない分、全力で向き合わないといけません。なので、来ていただいたお客さんに対しては『絶対に楽しませる』、という意識を持ってやっています」

◆子供に“一人の人間”として向き合う母親

 24歳で夏葵さんを産んだ蝶野さんは、諸々の事情で結婚はせず、シングルマザーとして女手一つで育て上げた。幼少期の夏葵さんから見た蝶野さんはどんな母親だったのだろうか。

「子供の頃から説教の仕方が理詰めでしたね。子供って感情で動くじゃないですか。それを『なんでそうした? なんでそう思った?』って。当然、理屈なんてないから何も言えずに『ごめんなさい』って謝ると、『なんでごめんなさいなの?』みたいな。子供の俺に何を言ってるんだ、この人は? って当時は思っていました」

 子供の頃にはわからなかった母親の言動も、大人になった今なら理解でき、それも全ては自分の為だったと感じているという。

「今にして思えば『頭を使う』、『考える』クセをつけさせようとしていたのかなと感じています。自分が何か悪いことをしても、決して頭ごなしに𠮟りつけるのではなく、良く言えば『話し合い』、悪く言うと『取り調べ』みたいでしたから(笑)。でも、それが自分なりに考えるきっかけになっていたのは事実だし、子供であっても一人の人間として向き合ってくれていたのは嬉しいことです。今の自分があるのは母親のおかげなので、ホントに感謝しています」

◆なるべくしてなった今の立ち位置

 八百屋の仕事で鋼のメンタルを手に入れ、お金を稼ぐ大変さを知る。そして、水商売をするうえで何が重要か、自分は何を求められ、何を提供できるかを常に考えている夏葵さん。若くして人気ホストに急成長したのは、決して運や偶然ではないだろう。

 売掛金を巡るトラブルが社会問題となり、世間の風当たりが強くなったホスト業界。なかには悪質なホストが存在するのも事実だが、自分の役割をしっかりと理解し真摯に向き合っている人もいるのである。

取材・文/サ行桜井

【サ行桜井】
パチンコ雑誌『パチンコ必勝ガイド』『パチンコオリジナル実戦術』の元編集者。四半世紀ほど勤めた会社を退社しフリーランスに。現在は主にパチンコや競輪の記事を執筆している。

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  • 誰からどんなふうにムシっての「年収4千万円」なのやら。目指すものでも持て囃すようなものでもなかろう。
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