「近所ですれ違えば、必ず頭を下げてくれる礼儀正しい男性です。車を運転中であっても車内でペコリと。妻子持ちで“子煩悩なお父さん”として知られていただけに、事件はとても信じられません。ご家族が一番ショックを受けていると思いますよ」(容疑者宅付近の女性住民)
茨城県警が偽造通貨行使の疑いで先ごろ逮捕した同県石岡市消防本部総務課長の須崎隆史容疑者(51)のことだ。SNSで知り合った女性に性行為の対価として偽造紙幣を渡したといい、捜査関係者によると、「間違いない」と容疑を認めている。
「昨年7月ごろ、パパ活相手を募っていた当時18歳の女性と龍ケ崎市のホテルで性行為におよび、偽造した旧1万円札10枚を渡した疑いです。当時は石岡消防署の副署長でした。女性は後に“福沢諭吉の透かし”がないと気づいて警察に相談。SNSの履歴やホテル周辺の防犯カメラ映像などから容疑者が特定されました。捜査当局は家宅捜索をしてパソコンやカラープリンターを押収しており、自宅で紙幣を偽造していた可能性があるとみて調べています」
と全国紙社会部記者。
熱血漢とクールさを兼ね備えた幹部
石岡市消防本部によると、須崎容疑者は1994年度に採用。階級は同本部ではナンバー2にあたる消防司令長で、職場のハラスメントを含む不祥事防止の対策委員会で委員を務めるなど、職員を指導する立場だった。
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「無断欠勤や遅刻もなく、まじめに職務に取り組んでいました。熱血漢とクールさを兼ね備えた幹部といえます。救急救命士の有資格者で、消防と救急の両方の現場経験を持ち、昨年まで現場を統率していました」(同市消防本部)
事実確認のうえ、厳しい姿勢で処分を検討するという。
石岡市内の容疑者宅近くの住民らによると、妻と1男1女の4人家族で、数年前に父親が病死して以降は母親とも同居するようになった。
「スポーツが好きで、昔は息子さんとキャッチボールなんかをしていました。大声を張り上げたりせず、どちらかといえばおとなしい印象。大変な仕事で疲れがたまっていただろうに、休日もお子さんの部活動の遠征に付き合っていました」(近所の男性)
自宅では小柄な母親が取材に対応するが
母親にも寄り添った。
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「たかちゃんは、ずっとまじめ一本です。家族で出かける姿をよく見ましたし、お母さんの面倒もみて感心していました。こんなことがなければ、うらやましいくらいの孝行息子です」(近所の女性)
表の顔がどうであれ、通貨偽造・同行使の法定刑はいずれも無期または3年以上の懲役と重い。通貨の社会的信用を損ねるため、つくっても、使っても厳しく罰せられる。
犯行には小狡さもにおう。警察に駆け込みにくいであろうパパ活中の女性を狙った可能性があるほか、18歳未満だった場合は児童買春にあたるため、すれすれの低年齢を相手にした疑いもある。
立場も評判も失う犯行に駆り立てたものは何か。
自宅を訪ねると、庭先の洗濯物を取り込む小柄な母親の姿が。話を聞きたいと申し出ると、手早く洗濯物を丸めて抱え「ごめんね」と、ひと言。犯行当時に変わった様子がなかったか尋ねると、洗濯物を脇に挟み、「すいません」と片手でお詫びするポーズをして自宅に入っていった。
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犯行でどれほどの人を落胆させたか計り知れない。