Aさんは長年プログラマーとして働いてきた経験豊富な個人事業主です。ある日彼はその実力を評価され、プログラミングスクールからオンライン講師の業務依頼を受けました。自分のスキルを活かせる絶好の機会だと考え、Aさんは喜んで依頼を受け入れます。
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契約の詳細について話し合う際、Aさんは1時間あたり2,000円という報酬条件に納得し、業務委託契約書にサインしました。Aさんにとって、プログラマー業務に専念したほうが効率よく売上を上げることができますが、彼は自分の経験を若い世代に伝えられることに胸を躍らせ、後進に貢献したいと考えていたのです。
しかし実際に仕事を始めてみると、予想外の事態が次々と起こります。まず、学校側から、授業の準備時間とは別で定期的なミーティングへの参加を求められました。さらに学生からの質問への対応や、教材の改訂作業など、当初の契約には明記されていなかった業務も増えてきたのです。
しかも、これらの追加的な時間や業務に対して報酬が一切発生しなかったのです。不満に思ったAさんは契約書を見直してみるも、これらの業務に関する明確な記載はありません。
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Aさんが対応しているミーティングや生徒への質問対応、教材改訂作業などは、これからも無償で実施しないといけないのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに聞きました。
ーそもそも業務委託契約とはどういうものなのでしょうか。
業務委託契約にはいくつかの種類があり、それぞれ契約の目的や業務内容に応じて区別されます。主な業務委託契約の種類は、請負契約、委任契約、準委任契約があります。
成果物に対して報酬が支払われる契約が請負契約で、一般的に業務委託契約といえば、この契約をイメージする人が多いのではないでしょうか。Aさんの場合は、準委任契約にあたると考えられます。準委任契約は、成果ではなく業務の実施自体に対して報酬が支払われます。
ー無償の会議への出席依頼は契約違反になりますか?
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会議の内容次第でしょう。例えば、契約書に書かれている内容を説明したり、会社側のルールや指導内容を説明したりするのは、契約の範囲と考えられます。
一方で、講師側に新しい指導内容を考えさせたり、会社側が何らかのアイデアを求めたりする場合は、本来は別契約にするべきでしょう。
2024年11月1日に施行されたフリーランス新法では「契約や予定にない業務も命令されたり頼まれたりする」と、業務委託契約ではなく、労働基準法上の労働者に当たる可能性があると示されています。
ーAさんはこの件をどこに訴えるといいのでしょうか
Aさんはまず、発注元であるプログラミングスクールの担当者に相談されるといいでしょう。それが困難であるか、もしくは聞く耳を持ってもらえない場合は、業務委託契約に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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