10日、医療脱毛の大手「アリシアクリニック」が破産を発表しました。負債額は100億円以上。突然のできごとに利用者からは戸惑いの声があがっています。
前払いの“返金きわめて難しい” 脱毛大手「アリシア」破産熊崎風斗キャスター:
帝国データバンクによると、医療脱毛の「アリシアクリニック」が12月10日、全国43店舗を営業を停止し、「自己破産手続きの開始決定を受けた」と発表しました。
負債額は約124億7133万円、債権者9万1818人ということで、過去最大規模の消費者被害になるとみられます。
SNS上には「アリシア」利用者の悲鳴が上がっていました。
「80万円しっかり支払い済み。通い放題だから契約したんだよ」
「先月契約したばっかで1回も施術受けてない。これってお金返ってこないですよね?」
「70万支払って次の施術は明々後日なんだけど、アプリも開かない」
アリシアクリニックの発表によると、▼未施術分の返金は極めて難しい状況、▼事業を停止していて予約の有無にかかわらず、今後施術は受けられない状況にあるということです。
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井上貴博キャスター:
医療脱毛をしていますが、始める前に徹底的に調べて知人に話を聞いて、最終的には一か八かというか、「ここでこの金額で騙されてたら仕方ない」と思って契約しました。
自由診療だと適正価格が見えてこないので自己責任ですが、大手だからいいというわけでもありませんね。
秋元里奈さん:
昨年も別のところが破産になったり、広告費の未払いだったりという話もあります。大手だから、有名だから安心ではないと感じます。金額も大きいので、「返ってこないかも」と念頭に置きながら契約しないといけないかなと思います。
自己資金ではなくて借り入れしているお金で広告をだしている可能性もありますし、なかなか消費者観点だと見抜くのは難しいと思いますが、心持ちとしては余裕資金で出すぐらいがいいのかなと思います。
ホラン千秋キャスター:
消費者が見分ける目安のようなものはありますか。
佐藤みのり 弁護士:
本当に難しくて、一般の消費者には見抜けないところだと思います。
契約時点では経営が良好なこともあるでしょう。長期契約なので、しばらく経った後に経営が悪化するかというリスクは誰にもわからないところなのかなと思います。
ホランキャスター:
「返金は極めて難しい状況」と発表されていますので、返ってこない可能性が極めて高いということですね。
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佐藤弁護士:
今回のケースでは、ほとんど返ってこないと思っていいと思います。
「アリシア」側に資産が残っていれば、分配がされる可能性があるというところです。
熊崎キャスター:
破産の“予兆”はなかったのでしょうか。
11月、20代の大学生は30万円コースを希望しましたが、70万円コースを猛プッシュされました。従業員から「この値段は今日までです!」と言われたといいます。
別の20代大学生の利用者によると、「予約が取りにくいのに行ってみたら店内は空いていた。今まであったウォーターサーバーがなくなっていた」とのことですが、破産を予兆するのは難しいかと思います。
8月から札幌市内の店舗で働いていたという従業員は「おかしいなと感じていた」部分もあったそうです。
10日に解雇された従業員
「(9日)施術部屋に全員集められて、1個のタブレットをみんなで見る感じで。そこで『破産手続き開始しました。本日付けで全従業員を解雇いたします』と聞かされて。
責任者から聞いていたのは、『今週末にオーナーが決まるか、倒産するかが決まるからそれまでは待っていて欲しい』というような内容だった。それよりも早く解雇を言い渡されてしまって、本当に従業員もびっくりしています」
破産の予兆については…
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10日に解雇された従業員
「(これまでに)解雇についての連絡は本当に一切なくて、ただ従業員の間ではカウンセリングを停止したりだとか、『追加でコースをやらないか?』という声かけを患者様にしていたんですけど、『そういう声かけも一切するな』ということがあったので、おかしいなとは思っていた。でも現場には経営がどうだとかという話は一切、下りてきてはいなかったです」
熊崎キャスター:
8月から働いていた従業員が同僚に聞いた話だと、5月に店長から減給・皆勤手当の廃止や、お弁当支給の廃止などの通達があったということです。
そして、12月にはシステム障害を理由に新規カウンセリングやコース延長の声かけを中止していたということです。
熊崎キャスター:
佐藤弁護士によると、脱毛ビジネスは、一度脱毛が終わるとリピートされにくいサービスのため、新規顧客をどんどん獲得しなければ成り立たないということです。
近年は美容脱毛が続々参入し、“セルフ脱毛”として美容家電も増加しているため、ライバルも増えているということです。競争が激化して、新規顧客が頭打ちで低価格化が進む状況にある業界だといえるそうです。
支払った代金を取り戻す方法はないのでしょうか。
▼現金払い・デビット払いの場合
「顧客の優先順位は最後、返金は難しい」ということです。
返済の優先順位は最初に従業員や税金の支払いがあり、その後、取引先、顧客なのでお金を回すのは非常に厳しい状況にあるということです。
佐藤弁護士:
最初に税金や従業員に支払い、その後、余ったお金があったら取引先や顧客に払うというような形です。取引先と一般の顧客は同列の順位になりますが、債権の金額に応じて、余ったお金があれば支払われることになります。
顧客の場合、もらえる配当があったとしても、額は少なくなってしまうということになります。
熊崎キャスター:
▼クレジット払い・ローンの場合
「クレジット会社にいますぐ連絡をしてください」とのことです。
一括で支払った場合の返金は厳しいということですが、分割払いなどの場合、クレジット会社に連絡をして、話し合いで停止することができるかもしれないということです。
ホランキャスター:
未払い分はクレジットカード会社に連絡すると、停止できるかもしれないというのは一つ情報ですね。
佐藤弁護士:
停止を申し立てることは可能です。主張した上で、全額支払わなくていいとなるか否かは、その後の相談や契約内容によってくるので、まずはクレジットカード会社に連絡することが大事だと思います。
井上キャスター:
高額な自由診療の方が利益を上げやすいと考えると、内科・外科を選ぶよりも美容医療という考え方もあると思います。こういう被害が増えていくことも想定した方がいいのでしょうか。
佐藤弁護士:
この業界自体の性質というか、お客さんの取り合いになっていることも考えると、今後もこういうことが起きてもおかしくないという認識は持っておいた方がいいと思います。
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<プロフィール>
佐藤みのり 弁護士
子どもの権利 法律問題に精通
神奈川県弁護士会 子どもの権利委員
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 33歳
神奈川の農家に生まれる