資産家の野崎幸助さん=当時(77)=に多量の覚醒剤を摂取させて殺害したとして起訴された須藤早貴被告(28)は、初公判で「私は殺していませんし、覚醒剤を摂取させたこともありません」と無罪を主張した。被告人質問では、野崎さんから「覚醒剤を買ってきてくれないか」と頼まれたと説明。最終意見陳述でも「ちゃんと証拠を見て判断していただきたいです」と訴えていた。
野崎さんとは2017年12月に知り合った。知人から「『お金持ちの人に興味がないか』と言われ、紹介してもらった」と説明。初対面にもかかわらず現金100万円を渡されて「結婚してください」と言われ、冗談と思い「毎月くれるならいいですよ」と応じた。
当時の心境について「お金をくれる人だからラッキーと思ったし、うまく付き合っていこうと思った」と振り返った。
18年2月に結婚したが、周囲には遺産目当てと話していた。「社長(野崎さん)も遺産をもらってほしいと言っていた。誰にも隠していない」とした上で、「お金の関係です」と断言。毎月もらっていた現金について「100万あれば自由に生活できる。私は未来よりも目先のことが大事」と強調した。
野崎さんからの覚醒剤購入の依頼については、「私が使うわけではないので、お金がもらえればいいと思った」と説明。検察官に捜査段階で話さなかった理由を問われ、「言ったところで警察に信じてもらえるとは思っていないし、余計に疑われると思い、怖くて話せなかった」とした。
弁護人に野崎さんに言いたいことを尋ねられると、「もうちょっと死に方を考えてほしかった」と漏らし、「あのタイミングで死んだせいで何年も人殺し扱い」とこぼす場面もあった。