今年の2歳戦線も期待の素質馬が続々と登場している。とりわけ、「今年は牡馬のほうが(素質馬が)多い印象」と日刊スポーツの木南友輔氏が言うように、牡馬戦線で今後が楽しみな質の高いメンバーがそろっている。
そうした状況のなか、2歳GIの朝日杯フューチュリティS(京都・芝1600m)が12月15日に、ホープフルS(中山・芝2000m)が12月28日に行なわれる。そんな注目の一戦を前にして、現時点での2歳牡馬を対象にした『Sportiva オリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、来春のクラシックを目指す2歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。
2位は、新馬(6月23日/京都・芝1800m)、オープン特別の野路菊S(9月21日/中京・芝2000m)、GIII京都2歳S(11月23日/京都・芝2000m)と、ここまで3戦無敗のエリキング(牡2歳/父キズナ)。今年の3歳世代が大活躍している藤田晋オーナーの所有馬だ。故障の具合が心配されるが、来春の大舞台で復帰できることを祈りたい。
土屋真光氏(フリーライター)
「母ヤングスターは現役時、オーストラリアで牡馬相手の中距離路線を中心に活躍。曾祖母が英オークス、愛オークスを制したユーザーフレンドリーという良血だ。ユーザーフレンドリーを祖とする牝系はこれまでに"大当たり"こそ出していませんが、気がつけば日本でしっかり根を張っています。
父は種牡馬リーディングトップのキズナ。実際のレースにおいては、毎回課題にぶち当たりながらも、レース中にそれを克服して結果につなげています。本格化した時を想像すると、底知れぬものを感じます」
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1位は、出世レースとも言えるGII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)を勝ったクロワデュノール(牡2歳/父キタサンブラック)。選者5人中、4人が5点をつけた実力馬だ。同馬はこのあと、ホープフルSに向かう予定。
木南友輔氏(日刊スポーツ)
「新馬戦(6月9日/東京・芝1800m)の内容がすばらしく、東スポ杯2歳Sの時は明らかに順調さを欠いていたような印象があったのですが、それでも勝ちきって、やはり強いと思いました。斉藤崇史厩舎の管理馬で、北村友一騎手ということから、GI4勝のクロノジェネシスを思わせます」
伊吹雅也氏(競馬評論家)
「11月24日終了時点の本賞金は4520万円で、JRAに所属する現2歳世代の馬としては、5620万円のエリキング(牡2歳/父キズナ)に次ぐ2位タイ。なお、一走あたり賞金は2260万円で、パンジャタワー(牡2歳/父タワーオブロンドン)と並んでトップタイです。やはりデビュー2戦目でGIIを制した点は高く評価するべきでしょう。
(出走予定の)ホープフルSは、とにかくノーザンファーム生産馬が強いレース。2018年以降の3着以内馬18頭中12頭を占めていますし、該当馬の3着内率は41.4%に達しています。さらに、同じく2018年以降の3着以内馬18頭中14頭は、前走がオープンクラスのレースだった馬。条件戦を勝ち上がったばかりの馬は苦戦しているので、本馬のような実績上位組を素直に中心視したいところです」
吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「母の産駒からは牝馬三冠すべてに出走(桜花賞8着、オークス4着、秋華賞5着)し、現役時に3勝を挙げたアースライズ(父マンハッタンカフェ)が目立つくらい。しかし、父がキタサンブラックに替わったクロワデュノールは、新馬、東スポ杯2歳Sと連勝。クラシックの有力候補に躍り出ました。
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新馬戦ではパドックからチャカついてテンションが高く、レースの序盤はハミをかんでフワフワするシーンが見られました。それでも、当面のライバルとなるアルレッキーノ(牡2歳/父ブリックスアンドモルタル)をねじ伏せて、能力の高さを証明しました。
2戦目の東スポ杯2歳Sでは、ひと夏越しての発達を示して馬体重は24kg増。パドックでの集中力も高まって、心身両面での成長が見られました。レースでも新馬戦同様にスタートから行き脚がよく、前づけして道中はスムーズに追走。4角を絶好の2番手で迎えて、そこから息の長い末脚を見せて強力なライバルたちをねじ伏せました。そのレースぶりからは、着差以上に強さを感じました。
直線に入ってからスッと抜け出すようシーンはまだ見られませんが、これは2戦ともに相手が骨っぽかったことが影響しています。いずれにしても、ハイレベルな2戦を制して、暮れの大一番で確固たる地位を築くのか、注目されます」
年末に関西、関東で行なわれる2歳戦の大一番。来春のクラシック候補として名乗りを挙げるのは、どの馬か。2歳王者を決する、ふたつの頂上決戦に注目である。
※3位〜5位の記事はこちら>>
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